長引くコロナ禍の影響で品不足が深刻化している給湯器。状況が改善する見通しは立っていないのだろうか。メーカーに話を聞いた。
給湯器の品不足はSNSなどで秋ごろから話題になり始めた。直接の原因はベトナムを中心とする東南アジアのロックダウン。給湯器の部品を供給する企業が多く大きな影響を受けた。
給湯器大手のリンナイによると、夏ごろから影響が出始め、7月以降は出荷量が通常より2割ほど減ったという。「8割供給できているなら」と思うかもしれないが、その状態は12月に入っても続いている。同じく給湯器大手のノーリツも「生産・出荷は続いているが、納期は遅れている」と話している。
つまり継続的な供給不足により販売店などが保有していた流通在庫が底をつき、品薄が表面化した。凍結などで給湯器が故障しやすい本格的な冬を迎えても「新規の注文を受けても納品は2月から3月になる」(リンナイ)。リンナイとノーリツは2社で国内給湯器の8割近いシェアを持っている。
消費者に直接対応する販売店にとっても事態は深刻で、WebサイトやSNSを通じ「壊さないで」と呼びかけている。一方、東京ガスの公式販売サイト「東京ガスWebショップ」のように販売を中止したケースも。「給湯器の需要ひっ迫により商品の供給が不安定になっているため」と説明している。
メーカーの見通し
直近の対策として、ノーリツは「冬場に多い配管の凍結などに対応できる部品を多く用意した」という。給湯器の交換ではなく、なるべく修理で対応する体制を作った。
併せて代替部品の購入や生産、製品ごとの部品共用化、重要部品の内製化といった対策をも進める。「以前のように注文を受けた当日や翌日に出荷できる状態に戻るメドは立っていない。しかし主要製品の納期遅延は年明けに解消できるように全力で取り組んでいる」(ノーリツ)。
リンナイも対応は進めているものの「生産量が戻るメドは立っていない」としている。仮にノーリツの供給量が増えてもバックオーダーの解消に時間がかかると予想され、給湯器の状況は未だ不透明といわざるを得ない。
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