ロジテックのHDカード「LMC-CFHD2G」 |
まずはロジテックのHDカード「LMC-CFHD2G」のスペックを紹介していこう。記憶容量2.2Gバイト、ディスク回転数4200rpmでバッファメモリ256Kバイト、平均シークタイムは10ms、重量は16グラムだ。電源は5/3.3V(自動対応)で、消費電流は待機時18mA、動作時275mAとなっている。
スペック的には3600rpmでバッファメモリ128Kバイトのマイクロドライブよりもよく、データ転送速度は同程度。また、回転数が速い割には、アイドル時18mA、書き込み時275mAとマイクロドライブの18/16mA(アイドル時)、314/305mA(書き込み時)と比べて、消費電力もむしろ抑え目のうれしい仕様となっている。
今回この「LMC-CFHD2G」を取り上げるのは、なによりも記録サイズの大きいRAWモードデータのハンドリングにはうってつけだからである。一応、RAWデータの利点のおさらいをしておこう。
デジカメはもはや当たり前で、一般ユーザー向けのデジカメもコンパクトタイプだけでなく、以前ならばプロカメラマン向けだけだった一眼レフタイプも入門機が登場している。一眼タイプは画素数もさることながら、大判の撮影素子で感度を上げてもノイズが出にくく、さらにレンズが交換可能で撮影の幅が大きく広がっているのが魅力だ。この入門用デジ一眼の画質をさらに上げる手はないだろうか? 手持ちの入門一眼レフデジカメでももう一段画質を上げられるモードが用意されている。それがRAWモードだ。
RAWとは生を意味しているが、デジカメのRAWモードはより生に近いものと思ってよいだろう。通常のデジカメでは最終的にJPEG画像が得られるが、各色(RGB)8bitの階調を持つ画像を離散コサイン変換という非可逆方式で圧縮したものだ。非可逆圧縮は圧縮比を任意に選べる反面、情報を完全に元に戻せないだけでなく圧縮が高すぎるとまったく判別できなくなる欠点を持っている。つまり、元々デジカメが撮影した画像よりも劣化した画像が記録されるのだ。
これに対し、RAWモードはより高い階調度のまま完全に元に戻せる可逆圧縮で記録している。このため、後で細かいパラメーター設定を与えて、より美しい画像を得ることができるというものだ。つまり、あとで加工のしやすい記録がRAWモードというわけだ。
代表的な入門一眼レフデジカメ「ニコン D70」と「キヤノン EOS Kiss Digital」 |
RAWモードのデータを扱うことができるニコンの純正ソフトNIKON Capture 4。D70には体験版が添付されている |
ただしRAWモードを使う場合にひとつ大きな問題がある。それは記録サイズが大きいことだ。例えばD70はカタログに記録サイズを明示していないが、256Mバイトカードに書ける枚数の目安から逆算するとJPEGの最高画質では3.5Mバイト。RAWでは11.1Mバイトとやはり記録サイズが非常に大きくなってしまう。
D70の場合、256Mバイトのカードで23枚が目安と書かれているので一般的なフィルム一本分も撮影ができず、撮影数を絞り込まざるをえない。失敗を恐れずに取れるデジカメとしてはちょっと厳しい。
この記録サイズが大きい問題は大容量のCFを購入することで解決するものの、大容量のCFは高価だ。1Gバイトの普及版で2万5000円程、ハイスピードタイプならば3万円以上して手を出しにくい上、2Gバイトモデルともなるとその二倍以上の価格となる。RAWで一日撮影することを考えるとできれば2Gバイトが欲しくなる。
ここで注目したいのがCFタイプのHDカードだ。1インチ以下のHDをCFサイズに詰め込んだHDカードは、CFと変わらぬサイズと大容量ながら、CFの半分以下の単価で購入できる。
ロジテックの「LMC-CFHD2G」はGS MAGICSTOR INC.製造の製品で、より高いコストパフォーマンスが魅力となっている。HDタイプはCFほどショックに強くないと思われがちだが、カメラの中に入れておけばそんなに神経質になる必要もなく、動作時でも175G(2ms)のショックに耐えられる。
LMC-CFHD2Gは2.2Gバイトと大容量ゆえ、RAWでの撮影でも十分な撮影枚数を確保することができる。ニコンD70でファイルサイズがもっとも必要になるRAW+BASICで181枚、RAWのみなら196枚の撮影が可能と表示された。この表示は余裕を持った内容なので、実際にはそれ以上の撮影枚数が期待できる。これに対し512MバイトのCFカードではD70で47枚と1/4以下の枚数だ。JPEGの最高画質でもD70は145枚なので、JPEG最高画質よりも多くの枚数が取れる計算になる。
これだけの撮影枚数があれば、一日撮影しても途中でいっぱいになる心配はまずないだろう。対して、512MバイトのCFの場合、D70のRAW+BASICで43枚、RAWのみで47枚だった。これでは途中で画像の整理をしないと足らなくなってしまう不安がある。撮影チャンスを逃さない意味でも、撮影時はメモリの残量を気にせず撮影し、撮影が終了してからゆっくり選べばよい。
RAWモードを使用することによって、細かな色味や露出バランスを変更することが可能でデジカメの利用を一層広げることが可能だ。それを支えるのは大容量のメモリカードでHDDタイプのものはコストパフォーマンスに優れる。ロジテックの「LMC-CFHD2G」は高いコストパフォーマンスで大容量要求に応える製品だ。
ベンダー名 |
製品名 |
製品タイプ |
容量 |
価格 |
ロジテック | LMC-CFHD2G | HDカード | 2.2Gバイト | 2万5500円〜 |
S社 | SDCFB-2048-J60 |
CFカード(普及版) |
2Gバイト |
4万4500円〜 |
S社 | SDCFH-2048-903 | CFカード(Ultra II) | 2Gバイト | 6万9079円〜 |
L社 | CF1GB-40-278 |
CFカード(40倍速) |
1Gバイト |
2万7825円〜 |
L社 |
CF2GB-80-380 |
CFカード(80倍速) |
2Gバイト | 4万4100円〜 |
※ITmedia Shopping調べによる2Gバイトクラス製品の価格(04年9月1日現在)
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