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就職活動に役立つ? Amazon Echoで「圧迫面接」を体験してみた山口真弘のスマートスピーカー暮らし

スマートスピーカーやその関連デバイスについて、試行錯誤を繰り返しつつ、機能をバリバリ使えるようになる(予定)までの過程を、時系列でお届けする本連載。今回はAmazon Echoで圧迫面接を疑似体験できるAlexaスキル「圧迫面接」を紹介する。

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 スキルを追加することで新しく使える機能が増えるのがスマートスピーカーの特徴だが、筆者が常々思うのは、せっかくスマートスピーカーを使うのだから、音声でやりとりできることを生かした内容であってほしいということだ。

 スマートフォンでもできることをスマートスピーカー用に置き換えただけならば、ディスプレイがない分、情報の一覧性が下がるだけであり、音声のスキルでなくてはならない何らかの必然性はあってほしい。

 その点、今回紹介するAlexaスキル「圧迫面接」は、音声でやりとりして面接を疑似体験できるという、スマートスピーカーの特性を最大限に生かしたスキルといえる。ビデオを見たり書籍を読んだりしても練習が難しい面接のやりとりをスマートスピーカーでうまく再現したこのスキルを試してみた。

Amazon Echo
Alexaスキル「圧迫面接」。2018年3月に登録されたばかりのスキルだ

アレ山クサ男さん「そしたら、次の質問に行こうかー」

 「圧迫面接」はその名の通り、Amazon Echoを使って圧迫面接を体験できるスキルだ。「アレクサ、圧迫面接を開いて」でスキルを呼び出すと、新卒採用責任者の「アレ山クサ男」さんが登場し、面接がスタートする。

 自己紹介に始まり、志望動機、性格の長所と短所、学生時代に力を入れて取り組んだことなど、採用試験ではおなじみの内容を聞かれるので、それに対して回答していくフローになっている。

 現行のAlexaスキルでは、こちらの回答をAIを使うなどして解析し、それに応じた質問を投げ掛けるのは技術的に難しく、本スキルもそこまで作り込まれているわけではない。しかし本スキルでは、質問の合間に「それで?」「だから?」「なんでそう思ったの?」などと挟み込まれるせいで、面接官が回答を読み取ってツッコミを入れてきているように感じられるのが秀逸だ。

 こうした合いの手は、こちらの回答が短すぎたり、あるいは回答に詰まったりするとランダムに発せられる仕組みになっているようで、簡潔に答えて済まそうとするとすかさずツッコんでくるなど、その行動パターンや間の取り方が確かに圧迫面接のそれに近い。随時挿入されるホイッスルの音や、気合を入れるための「ハッ」という合いの手など、緊張感を高めるための演出も抜かりがない。

 口調についても「ちょーっと違うんだよなあ」「そっかそっか、オッケー」「ちょっと意味分かんないけど、続けて」など、やや上から目線の面接にありがちな、ぞんざいな口調が的確に再現されており、妙なリアルさがある。音声がAlexaの棒読みっぽい声そのままというのも、ある意味で圧迫面接らしさを醸し出しており、なかなかの怖さを感じさせる。オリジナルの音声だと、ここまでの怖さはなかったかもしれない。

 約5分間、一通りの質問に答えたら終了となるわけだが、途中で回答に詰まったまま数秒間経過すると「えっ、どうしたの? 答えられないの? 答えられないなら今日はもう帰ってもらっていいですよ」とアレ山クサ男さんがキレてしまい、そのまま放置しておくとスキル自体が終了してしまう。

 こうなったらゲームオーバーなので、そうならないように頭をフル回転させて(実際には内容を聞き取っているわけではないのだが)粘るしかないというわけだ。

Amazon Echo
面接官となったAmazon Echoに緊張してしまうかも

圧迫面接のシミュレーションとしてアリ

 当初このAlexaスキルをストアで見つけたときは、せいぜいジョークスキルだろうとたかをくくっていたのだが(もしかすると作者もそのつもりで作ったのかもしれない)、実際に使ってみると問答に対するリアクションがかなり作り込まれており、この種のシミュレーションを行うプログラムとしてはレベルが高い。取りあえずプログラムの腕試しに作ってみたというスキルとは一線を画している印象だ。

 個人的な要望としては、想定外の質問が挟み込まれればなおよいと思う。今回何度か試してみたが、基本的には同じ質問を順番通りに出しているだけのようなので、ここに想定外の質問がランダムに挟み込まれれば、より圧迫面接らしさが向上するだろうし、繰り返し利用する動機にもなるはずだ。

 いわゆる面接は、本を読んだりビデオを見たりするだけではなかなか練習になりにくいもの。その点、本スキルでそれらしき問答に慣れておけば、実際に面接、それも圧迫面接に遭遇しても余裕を持って受け流せるはずで、そうした意味でもシミュレーションとして大いに意義がある。新卒でこれから就職試験を受ける予定がある人は、一度体験しておいて損はないだろう。

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