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Surface Book 2を漫画家がガチで仕事に使ったらどうなる?(2/2 ページ)

漫画「AIの遺電子」で第21回文化庁メディア芸術祭マンガ部門の優秀賞を受賞した山田胡瓜氏が「Surface Book 2」をレビュー。仕事で使ってみた結果は……?

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実戦投入 喫茶店で漫画を描いてみる

 目下作業中の原稿はほぼ完成してしまっていたので、ひとまず喫茶店で擬音などの描きこみを完成させることにした。やはり、外で仕事ができるのはうれしい。まず、PCを開いた途端、Windows Helloの顔認証ですぐさまロックを解除できるのが未来的だし便利だ。これなら、スタジオモードでもタブレットモードでもキーボード操作がいらない。


PCを開くとWindows Helloの顔認証でサクッとロックが解除される

擬音を描いてみた。ちなみに擬音も大切な絵だ。雑さも残しつつ勢いのある感じを出したいのだが、あんまり上手じゃなくて、自分の課題の一つになっている

 42ページのモノクロ原稿をCLIP STUDIOで開いてみる。展開速度は、デフォルトのバッテリー設定だとちょっと遅さが気になる。バッテリー設定を「最も高いパフォーマンス」に設定すれば、結構速くなる。


「最も高いパフォーマンス」で42ページの完成原稿を読み込むのに、15秒ほどかかった

 ラップトップモードだと絵は描きにくいのでスタジオモードに。ディスプレイの取り外しボタンを押すとヒンジ部のロックがガコっと外れる。前述の通り、スタジオモードにするとカーソル位置が右にずれる問題がある。

 これを防ぐため、ヒンジの限界まで画面を倒すのではなく、キーボードとディスプレイの間にちょっとしたものを挟んでみる。こうすることで、ラップトップモードと同じ天地でディスプレイが表示できる。ただ、見た目がスマートではない。


ヒンジを上にしたスタジオモードだとディスプレイの上下がラップトップモードと逆になる。そうするとカーソルの位置がちょっと右にずれるみたいだ(個体差の可能性もあり)

ヒンジを下にして、角度をつけるためにディスプレイ側とキーボード側の間に小物を挟む。ラップトップモードと同じ画面の天地となるが、見た目が不格好

 そのため、キーボードと分離したタブレットモードで使うことにした。これなら画面を上下左右どちらの向きでも利用できる。タブレットモードにするや、「15型のデカくて軽いお絵描きディスプレイ」といった感じで軽快感と未来感が高まる。

 一方、キーボード側の外部GPUが使えないのでパフォーマンスは下がる……と思ったが、モノクロのイラスト作業ではほとんど差は感じない。むしろ、ボディーの取り回しがよくなってストレスが減る。これはなかなか感じがいいぞ……!

 ただ、困ったのがキーボードショートカットが使えなくなってしまうこと。スタジオモードもタブレットモードもボディーのキーボードが反応しないのだ。せめてBluetoothか何かで無線キーボード化できればいいのに……。もちろん、ソフトウェアキーボードは利用できるが、例えば、Shiftキーの押しっぱなしで直線を引いたりといったショートカットを使うときにソフトウェアキーだと使い勝手が悪いのだ。

 とはいえ、豊富な周辺機器を利用できるのがWindowsの利点。ちょっとスマートではないが、Bluetoothキーボードを持ち歩く手もあるし、いわゆる「左手デバイス(左利きの人は右手デバイス)」で代用するのも手だ。ついでに言うと、USB Type-Cポートもついてるので、モバイルディスプレイをケーブル1本で使えるはず。原稿全体と作画部分とで2画面が欲しい筆者としては、これはぜひ試してみたい。

 こんな風に使い方をいろいろカスタマイズできるのがSurface Book 2のいいところなのだろう。今、この原稿もSurface Book 2で書いているが、ラップトップスタイルで、しっかりしたキーボードで気分よく物書きができる。書類のあれこれといった事務作業も、これなら安心だ。絵が描けるだけでなくPCとしての使い勝手も求めたい筆者にとっては、ラップトップモードでの使い勝手の良さはかなり好印象だった。

 ひとまず、ファーストインプレッションはここまでにする。次回の記事では、周辺機器などをそろえて、より快適にモバイルお絵描きができないか、探求してみようと思う。

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