延長サポート期間が過ぎたWindows 7の維持費はどれだけ高くつくか:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」
2020年1月に延長サポートが終了するWindows 7だが、Microsoft自身が有償のサポートメニューを用意している。現時点で判明している価格と仕組みをチェックしよう。
延長サポート終了まで1年を切ったWindows 7だが、調査データによっては4割近いWindows OSでのシェアを抱えており、おそらく2020年1月時点でも20%台のシェアが報告されるのではないかと筆者は予想している。
サポートが終了したソフトウェアを使い続ける危険性は繰り返し説明するまでもないが、Microsoftではさまざまな事情を鑑みてWindows 7を維持せざるを得ないユーザーのために「Windows 7 Extended Security Updates(ESU)」という追加の有償サポートメニューを用意しており、3年間限定ながら追加料金の支払いで継続サポートを受けることができるようになっている。
このESUだが、「毎年値段が上昇していく」「デバイス単位での課金」という以外での情報がMicrosoftからは提示されていなかったが、情報の出所は不明ながらZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏がESUの料金メニューの存在を報じており、話題となっている。
それによれば、Windows EnterpriseとWindows 7 Proで料金が分かれており、前者が1年目で1デバイスあたり25ドル、後者が50ドルとなっている。これが2年目にはそれぞれ50ドルと100ドル、3年目には100ドルと200ドルという形で倍々ペースで増え、最終的にESUは終了する。1デバイス単位からの契約が可能で、対象デバイスには1年間のパッチ提供が保証される。サポートが終わったOSの維持がいかに大変なのかが分かるだろう。
なお、Microsoft側では情報の真偽に対するコメントを出していないものの、割引プランの存在を示唆しており、パートナー経由などでのESU購入状況によってはいくらかの割引が適用される模様だ。
さて、このESUの値段が妥当かどうかという点だが、何らかの理由で維持しなければいけないWindows 7クライアントが企業内に存在する場合、臨時措置としてESUで延命させるという手段は十分に考えられる。それでも数百台、数千台といった単位ではなく、あくまで特定のWindows 7以前の環境で動作させるアプリケーションが必要なケースなど、少なくとも数台のマシンを残さなければいけない場合を想定すべきで、基本的にはWindows 10以降の環境へと移行を早めに進めるべきだろう。
仮に多くの台数が延長サポート期間を過ぎて稼働する状況に陥ってしまっても、あくまで移行が間に合わなかった臨時措置として1年〜2年のESUで済ませるべきだ。
関連記事
- Microsoftの決算に見るWindows 10への移行とIntel製CPU供給量の関係
Microsoftが2019年度第2四半期の決算を発表した。そこから読み取れるWindows 10の現状と、当面は影響があると思われるIntel製CPUの供給量に関する部分を見ていこう。 - サポート終了まで1年を切ったWindows 7のOSシェアは36%超 トップはかろうじてWindows 10が逆転
Windows 7の延長サポートが終了を迎える2020年1月14日まで、1年を切った。このタイミングで、ついにWindows 7とWindows 10のシェアが逆転したという。 - 最初のWindows 10「19H2」ビルドが間もなく登場
4月には一般公開が始まると予想されるWindows 10の次期大型アップデート「19H1」だが、速くも“次々期”に提供されるバージョン「19H2」が間もなく姿を現すようだ。 - Windows 10「October 2018 Update」のファイル消失問題とは何だったのか
ファイル消失問題によって配信停止に追い込まれていたWindows 10の大型アップデート「October 2018 Update)」。ようやく配信が再開されたが、Windows 10における開発体制や配信手順には見直しが必要との声が少なくない。 - Windows 7と10のサポート期限がより複雑化 法人向け7は有償で3年延長も
新Windows、新Office、そしてクラウド環境への移行を加速させたいMicrosoftだが、市場動向や顧客ニーズに合わせたサポートポリシーの変更で例外が多くなり、ユーザーにとってより分かりにくい状況になってきた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.