「シェールガス革命」が日本にも、中部電力と大阪ガスが初の輸出許可を受ける:電力供給サービス
中部電力と大阪ガスが、米国からのシェールガスの供給を受けられるめどが立った。2017年にテキサス州の天然ガス液化基地からの輸入を開始する。
米国政府のエネルギー戦略変更が、日本のエネルギーにも大きな影響を与えそうだ。米国政府はこれまで、自由貿易協定(FTA)を結んでいない外国に対し、自国の液化天然ガス(LNG)の輸出を認めていなかった。
米国は頁岩からのシェールガス*1)抽出技術の改良により、大規模生産に成功。他の地域のガス価格が上昇傾向にあるなか、価格を押さえ込むことに成功している。例えば、2012年時点でアジアではガス価格が100万Btu*1)当たり、16米ドル、欧州では10米ドルという状況のなか、米国は4米ドルと安価である。
*1) シェールガスの主成分は天然ガスと同じメタン(CH4)。低温で液化し、LNGとして輸送できる。
*2) Btu(British thermal Unit)とは、カロリーやジュールに相当する熱量の単位。1Btu=約1000ジュールである。
米国は世界最大のガス消費国だが、シェールガス革命により余剰分が発生、これをまずFTA締結国に販売し始めた。2013年5月には米エネルギー省がFTA非締結国に対する輸出許可の発行を開始した。
米国では主要なガス基地ごとに輸出プロジェクトが進んでいる。6カ所が計画中であり、テキサス州フリーポート市では、2017年の操業開始を目指したフリーポートLNGプロジェクトが進んでいる(図1)。同プロジェクトは年間約440万トンのLNGを液化する設備を2系列備える予定だ。
中部電力と大阪ガスは、2011年7月にフリーポートLNGプロジェクト第1系列における天然ガス液化加工契約を米Freeport Developmentの子会社と締結済み。今回の米エネルギー省の輸出許可を受け、2017年からのLNG調達が可能となった。
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