風力発電を関西電力が中部電力へ供給、愛知県で3900世帯分:自然エネルギー
日本で初めて再生可能エネルギーの供給が電力会社間で実施されることになった。関西電力が愛知県に建設する風力発電所の電力を中部電力に販売する。2014年6月から運転を開始する予定で、6MW(メガワット)の発電能力により、一般家庭で3900世帯分の電力を供給できる見込みだ。
関西電力が風力発電所を建設する場所は、愛知県の田原市にある東京製鉄の工場の敷地内である(図1)。三河湾に面した一角に、発電能力が2MW(メガワット)の大型風車を3基、合わせて6MWの発電設備を建設する計画だ。2013年6月に着工して、1年後の2014年6月から運転を開始する予定である。
年間の発電量は約1400万kWhになり、一般家庭で約3900世帯分に相当する電力を供給できる見込み。建設予定地は中部電力の営業地域内にあり、発電した電力は全量を中部電力に販売する。このように電力会社間で再生可能エネルギーの取引が実施されるのは今回が初めてのケースだ。固定価格買取制度を利用すると、関西電力の収入は年間に約3億円になる。
関西電力は兵庫県で12MWの風力発電所、大阪府で10MWの太陽光発電所を稼働中だが、いずれも自社の営業地域内で電力を供給している。このほかに京都府や和歌山県、さらに福井県の若狭地域でも太陽光発電所を建設中である。
今回あえて他の電力会社の営業地域内で発電所を建設することにした理由は明らかにされていないが、固定価格買取制度を利用して売電するほうが収益は大きくなる可能性がある(買取価格は1kWhあたり22円)。
愛知県の田原市は太平洋に突き出た渥美半島のほぼ全域を占めていて、海からの風が安定して吹くため風力発電に適している。現時点で9つの風力発電所が稼働中だ(図2)。特に関西電力が発電所を建設する田原地区は年間の平均風速が6.6メートル/秒に達し、風力発電に必要な5メートル/秒を大幅に上回る。
加えて愛知県の太平洋側は日射量が多いことから、田原市では大規模なメガソーラーの建設プロジェクトも相次いで始まっている。
関連記事
- 電力会社で最大のメガソーラー、関西電力が和歌山県に30MW
東燃ゼネラル石油が保有する遊休地に - 「原発銀座」に小規模な太陽光発電所、関西電力が建設に着手
「大飯発電所」がある福井県おおい町で - 巨大メガソーラーに風力を併設、2014年稼働開始に向けて着工
太陽光50MWと風力6MWを愛知県の田原市に - 最大出力は77MW、日本最大級のメガソーラー建設計画が動き出す
愛知県田原市の三河湾沿岸で2014年度中に稼働へ - 太陽光発電と自動車で全国1位、2020年にソーラー普及率14%へ
日本列島エネルギー改造計画(23)愛知
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.