大飯発電所の近くで「ミドルソーラー」を運転開始、発電能力は原子力の約1万分の1:自然エネルギー
関西電力が運転停止中の原子力発電所からわずか5キロメートルしか離れていない同じ福井県の町内に、0.5MW(メガワット)の太陽光発電所を稼働させた。発電能力ではほぼ1万倍の開きがあり、原子力と太陽光の差を見せつけるかのようだ。
福井県の大飯郡おおい町で11月6日に、関西電力が「若狭おおい太陽光発電所」の営業運転を開始した。太陽光発電所は日本海につながる若狭湾に突き出た大島半島の南端近くにある(図1)。この半島の北端には、関西電力で最大の原子力発電所「大飯発電所」があり、わずか5キロメートルほどしか離れていない。
若狭おおい太陽光発電所は南側に海がある横に長い空き地に建設した(図2)。発電能力は0.5MW(メガワット)で、いわゆる「ミドルソーラー」の範ちゅうに入る。年間の発電量は50万kWhを見込み、一般家庭で150世帯分の電力を供給することができる。関西電力の太陽光発電所としては、大阪府の堺市で2011年に運転を開始した「堺太陽光発電所」(10MW)に次いで2番目になる。
関西電力によると、若狭おおい太陽光発電所の目的は2つある。1つは再生可能エネルギーの普及・拡大であり、もう1つは大規模な太陽光発電所が電力系統に与える影響を検証することである。とはいえ0.5MW(500kW)では2つの目的に対して規模が小さすぎる。
一方で運転停止中の大飯発電所は、4基の原子力発電設備を合計すると471万kWに達する。発電能力の差は9420倍にもなる。関西電力は同じ福井県大飯郡にある「高浜発電所」(339万kW)の近くにも、「若狭高浜太陽光発電所」を0.5MWで建設中だ。運転開始は2014年度の予定だが、ここでも発電能力の差は6780倍ある。
しかも原子力発電所は通常80%程度の設備利用率(発電能力に対する発電量の比率)で稼働することができ、太陽光発電所の平均12%と比べて6倍以上の効率を発揮する。これは意図したことではないだろうが、原子力発電所の威力を示すための取り組みにも見える。
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