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廃棄物の処理熱で5000世帯分の電力、ベトナムで初実証:自然エネルギー
日立造船はベトナム初となる廃棄物焼却発電プラントの建設、試運転を完了し、2017年4月1日から実証実験を開始したと発表した。1日当たり75トンを安全に焼却処分し、排熱回収により1930kW規模の発電を行うという。この発電量は、一般家庭約5000世帯に相当する。
75トンから1930kW規模の発電
生活ごみや産業廃棄物が1日当たり計約7000トン発生するベトナム・ハノイ市。同市のナムソン処理場の敷地内で廃棄物処理を手掛けるのがHANOI URBAN ENVIRONMENT Co(以下、URENCO)だ。URENCOは約7000トンのうち5000トン以上を処分しており、埋立地の逼迫(ひっぱく)や環境衛生面の問題が懸念されているという。
日立造船はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)プロジェクトで、ベトナム初となる廃棄物焼却発電プラントの建設、試運転をURENCOと取り組み、2017年4月1日から実証実験を開始した。期間は2017年9月末まで。さまざまな種類の産業廃棄物に適した処理方法を検証し、プラントの実用性と省エネルギー技術の有効性を検証する。
1日当たり75トンを安全に焼却処分して約10%にまで減容化し、排熱回収により1930kW規模の発電を行うとする。この発電量は、一般家庭約5000世帯に相当する。
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