Microsoft、Windowsを「ハイブリッドインテリジェンス」の基盤に ローカルとクラウドのAIを使い分け CopilotはファイルやPC操作にも対応

 米Microsoftは10月7日(現地時間)、Windowsを「ハイブリッドインテリジェンス」の基盤と位置付ける新たな方針を発表した。AIエージェントを必要に応じてローカルPC上で実行し、より大きな能力が必要な場合はクラウドを使う仕組みをOSレベルで整える。同日に米国で開催したWindowsとSurfaceの発表イベントに合わせ、Windows + Devices担当エグゼクティブバイスプレジデント(EVP)のパヴァン・ダヴルリ氏が公式ブログで説明した。

 AIモデルの大規模化に伴い、ユーザーのAI利用ニーズがクラウド予算を上回りつつあると同社は指摘。ローカルとクラウドのAIを組み合わせることで、最先端の能力を維持しながらトークン消費を抑えられるとしている。同日には、最大128GBのユニファイドメモリを搭載する「RTX Spark」チップ搭載のWindows機「Surface Laptop Ultra」の発売も発表した。

Windowsを「ハイブリッドインテリジェンス」の基盤に|Microsoft

エージェント向けサンドボックス「MXC」が正式提供に

 セキュリティ面では、AIエージェント向けの実行環境「Microsoft Execution Containers」(MXC)の一般提供を始めた。エージェントがアクセスできるファイルやネットワークを組織が定義し、そのポリシーを実行時に強制できる。分離方式はプロセス/セッション分離のほか、WSLc、仮想マシン、Windows 365 for Agentsなどから選べる。

 エージェントが常時稼働し、ツールの利用やコードの記述、ファイルアクセスなどを人の監視なしに行う点で従来のアプリとは異なると同社は説明。「封じ込め(containment)」「アイデンティティー」「管理性」の3要素を柱に、どのエージェントが何をしたかを区別し、Microsoft Agent 365やIntuneと連携して組織全体で統制できるようにする。

 MXCには既に、OpenAIのCodex、GitHub Copilot、OpenClaw、Replit、LM Studio、NVIDIAのOpenShell、Unsloth AIが対応済み。今後、Anthropicの「Claude Code」やBox、Manus、Perplexity、Raycastなども対応する予定だ。米Metaの個人向けAIエージェント「Muse」も、MXCと統合したWindowsネイティブアプリとして近く登場するという。

大規模モデルをローカルで GitHub「HydraFusion」がローカルモデルにも振り分け

 ローカルAIの強化策として、5月の開発者会議「Build」で発表したコーディング向けモデル「MAI Code 1.1 Flash」(総パラメータ数1370億、アクティブパラメータ68億)をローカルで動かせるようにする。3bit精度への量子化でモデルサイズを約8割削減しつつ、コーディング品質を維持し、25万6000(256K)トークンのコンテキストウィンドウにも対応するとしている。なお、ここで言うローカルとはRTX Spark搭載PCかそれに準ずるメモリや計算資源を持つマシンを指すと思われる。

 このほか、NVIDIAの700億パラメータ超の「Nemotron」(2bit量子化で約20GBのメモリで動作)や、2840億パラメータの「DeepSeek V4 Flash」なども、RTX Spark搭載PC上でローカル実行できるようにする。

 モデルの振り分けには、米GitHubの「HydraFusion」を活用する。タスクごとに最適なクラウド上のモデルへ処理を振り分ける技術で、これをWindowsに拡張し、PC上のローカルモデルも振り分け先に加える。GitHub Copilotアプリ、GitHub Copilot CLI、Visual Studio Codeで、10月中に実験的プレビューとして提供予定。

 モデル実行基盤の「Windows ML」では、オープンソースの推論エンジン「llama.cpp」のサポートも発表した。

CopilotがローカルファイルやPCを操作

 AIアシスタント「Copilot」もハイブリッドインテリジェンスで強化する。Copilot+ PCでは、ユーザーの許可を前提に以下の3つのローカル機能を利用できるようになる。

  • ローカルコンテキスト:PC上のファイルや最近のアクティビティーなどを理解し、作業に取り込む
  • ローカルアクション:ファイル整理やデバイス診断、トラブルシューティング、コーディングなどをユーザーに代わってWindows上で実行
  • ローカルモデル:PC上のAIモデルを適切なタスクに使い、必要に応じてクラウドと組み合わせる

 新Copilotを構成する「Home」「Code」「Autopilot」の各機能に適用する。Codeでは単一のプロンプトからWindowsネイティブアプリを作成でき、MXCによる安全なコード実行にも対応。常駐型のパーソナルエージェント「Autopilot」は、ユーザーが別の作業をしている間も処理を続けられるという。これらの機能は今後数カ月でCopilot+ PC向けに順次展開する予定。

RTX Spark搭載PCの予約開始 「Surface Laptop Ultra」も

「Surface Laptop Ultra」と「Surface RTX Spark Dev Box」|Microsoft

 ハードウェアでは、NVIDIAと6月に発表したPC向けチップ「RTX Spark」を搭載した「Surface Laptop Ultra」の予約受付を開始した。このほか、ASUS「ProArt P16/P14」、Dell「XPS 16 Creator Edition」、HP「OmniBook Ultra 16」、Lenovo「Yoga 9n 2-in-1」、MSI「Prestige N16 Flip AI+」が登場し、10月16日から出荷を始める。

 Surface Laptop Ultraは「Surface史上最も強力」をうたうモデルで、最大128GBのユニファイドメモリと15インチのタッチディスプレイを備え、1200億パラメータを超えるAIモデルをローカルで実行できるという。開発者向けの「Surface RTX Spark Dev Box」も予約を受け付け、米国で11月に出荷する。

 価格はメモリ24GBモデルが51万3480円。128GBモデルが109万4280円。

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