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生成AIブームは終わる気配がない。新たな基盤モデルやアプリケーションが続々とリリースされており、企業が活用を模索する動きも活発だ。
読者の中には、自社独自の情報やノウハウを取り込んだ業務効率化アプリを作りたい、あるいは生成AIの機能をプロダクトに実装したいと考えている人もいるだろう。しかし漠然としたイメージは抱いていても、何ができるか一歩踏み込んで考えるのはなかなか難しい。
さまざまな基盤モデルがある中でどれを選べばいいのか、期待通りに動作するのか、複数の機能を組み合わせるとどのようなアプリが作れるのかなど、確認したいことは山ほどある。実際に生成AIを触ることができればいいが、そんな環境を用意するのはエンジニアでもハードルが高い。
そんな企業にちょうどいいサービスが現れた。米Amazon Web Services(以下、AWS)が提供する「PartyRock」だ。開発環境の用意やプログラミングは不要で、生成AIアプリが簡単に作成できる。主要な基盤モデルをラインアップしており、無料で利用可能だ。
これを使えば頭の中にあるアイデアを具現化できて、主要なモデルの性能や実現可能性を検証する一助となるだろう。では具体的にどのようなモデルがあり、本当に簡単にできるのか。文系の記者が実際にPartyRockを使い倒してみた。
実際に触る前に、PartyRockの概要を知っておこう。
UIは英語版のみだが、複雑な説明はなく、単語を見るだけでも理解できる。それでも自信がない場合にはWebブラウザの翻訳機能などを使えば問題なく利用可能なレベルだ。
利用できる基盤モデルには、米Anthropicの高性能な「Claude 3 Sonnet」、高速で手頃な「Claude 3 Haiku」、イスラエルのAI21 Labsが発表した多言語に対応する巨大なモデルの「Jurassic-2 Ultra」、英Stability AIの画像生成AIモデル「Stable Diffusion XL」などがある。モデルは随時変更・追加されており、Claude 3 Haikuや米Meta Platformsの「Llama 2 Chat 70b」などは2024年2月に追加されたばかりだ。
モデルを組み合わせて利用することも可能だ。例えば文章を生成した後にその挿絵となるようなイラストを出力させたり、多言語に強いモデルに翻訳させた文章を他のモデルに推敲(すいこう)させたりできる。
ハルシネーション(AIが事実に基づかない情報を生成する現象)が気になるなら「回答の引用元を表示しなさい」「参照元のテキストに書かれていないことを出力している場合は警告を出しなさい」など正確性をチェックするためのウィジェットを別に作るのもいいだろう。
ではここからは、非エンジニアの記者が複数のモデルを組み合わせてAIアプリを作ってみよう。
PartyRockにアクセスし、Google、Apple、Amazonのいずれかのアカウントでサインインする。わざわざ専用アカウントを作らなくていいのがうれしい。次の画面でユーザー名を登録すればすぐに利用できる。
アプリを作るには「Build your own app」ボタンを押し、出てきたポップアップに作りたいアプリの簡単な説明を書く。今回は、目的に合わせておすすめの料理とそのレシピを教えてくれる日本語のアプリを作ってみる。「Generate app」を押すとアプリのひな型が自動生成される。
まずは自動生成されたアプリをそのままの状態で使ってみる。日本語のアプリと書いたからか、「Introduction」の文章やウィジェット内の例文など部分的に日本語が表示されている。各ウィジェットのタイトルは英語になっていて理解しにくいものもあるが、後で変更するとして今はこのまま使う。
ユーザーが入力するウィジェット(ここでは「User Goal」というタイトル)に「鶏肉を使った健康的なメインディッシュ」と入力すると、下の「Recommended Dishes」に複数の料理とレシピを提案してくれる。
その下にはチャットbotが用意されている。詳しいレシピを知りたい料理名を入力すると、チャットで教えてくれるようだ。チキンカレーのレシピを尋ねたところ以下の回答が出た。一部不明瞭な箇所もあるが、プロンプトやモデルを調整すれば精度は上げられそうだ。一通りチェックできたので、ここからアプリをカスタマイズしていこう。
自動生成されたアプリをカスタマイズするために、画面右上の「Edit」を押して編集画面に入る。ウィジェットのタイトル、説明文、ユーザーが入力する項目、利用する基盤モデル、プロンプトなどが編集できる。
まずはRecommended Dishesのウィジェットを調整する。デフォルトでは基盤モデル(Model)がClaude 3 Sonnetになっているが、Jurassic-2 Ultraに変更。プロンプト(Prompt)はリストアップする料理を3つから5つに増やす。
これで変更を確定したところ、英語で回答が出力されたのでプロンプトに「日本語で回答してください」と追記する。するとJurassic-2 Ultraは日本語で以下の回答を返した。
1. 鶏肉の煮込み 鶏肉を煮込み、野菜やごはんを加えた健康的なメインディッシュです。
2. 鶏肉の煮込み丼 鶏肉の煮込みをごはんに合わせた丼の形です。
3. 鶏肉の煮込みラーメン 鶏肉の煮込みをラーメンに合わせた日本の伝統的なメインディッシュです。
4. 鶏肉の煮込みサラダ 鶏肉の煮込みをサラダに合わせた健康的なメインディッシュです。
5. 鶏肉の煮込みラーメン 鶏肉の煮込みをラーメンに合わせた日本の伝統的なメインディッシュです。
料理が偏っている上に重複もあり、健康的という目的も満たしていない。追記したプロンプトから日本語で回答する部分を削除し、あらためて英語の回答を見るともっともらしいものが出力された。モデルによって得意な言語や分野が違うことが分かる。
1. Chicken Stir Fry: Chicken Stir Fry is a quick and easy dish that is perfect for a weeknight meal. Simply cook chicken and vegetables in a wok or skillet, and season with soy sauce, ginger, and garlic.
2. Chicken Salad: Chicken Salad is a light and refreshing dish that is perfect for a summer lunch. Simply combine cooked chicken, vegetables, and a dressing of your choice.
3. Chicken Soup: Chicken Soup is a classic comfort food that is perfect for a cold day. Simply cook chicken and vegetables in a broth, and season with herbs and spices.
4. Chicken Curry: Chicken Curry is a flavorful and spicy dish that is perfect for a winter meal. Simply cook chicken and vegetables in a curry sauce, and season with herbs and spices.
5. Chicken Tacos: Chicken Tacos are a fun and flavorful dish that is perfect for a weeknight meal. Simply cook chicken and vegetables in a skillet, and season with taco seasoning.
英語では読みにくいので、新しい機能を追加する。画面最上部の「Add widget」もしくは最下部の「Create widget」を押し、追加したいウィジェットのタイプや使う基盤モデルを選ぶ。作れるウィジェットのタイプは「User Input」「Static Text」「Text Generation」「Image Generation」「Chatbot」から選べる。
Jurassic-2 Ultraの回答を日本語に翻訳するウィジェットを作るためText Generationを選択し、Recommend Dishesに表示されている文を日本語に翻訳するプロンプトを書く。
日本語はClaudeの方が得意なようなので、Claude 3 Sonnetを選択。Recommend Dishesウィジェットの内容を日本語に翻訳するプロンプトを書く。これで「Save」を押せば翻訳ウィジェットの完成だ。
文字ばかりのアプリになっているので画像生成AIも使おう。提案された中から選んだ料理を入力すると、完成イメージの画像が生成されるようにする。ユーザーが入力するウィジェットと画像生成ウィジェット、この2つを作る必要がある。
ユーザー入力欄を作るためには、ウィジェットタイプでUser Inputを選ぶ。ウィジェットタイトルも変えられるので、ここでは「選んだ料理」にする。ちなみに、User Inputは現時点ではテキストしか入れられないが、今後ファイルのアップロードに対応する予定があるという。
次にImage Generationのウィジェットを追加して、モデルはStable Diffusion XL、プロンプトは「選んだ料理」に入力したもののイメージを生成するように書く。チキンタコスと入力したところ、それらしきイメージが出力された。
この他に、選んだ料理をテーマにしたコラムを書くウィジェットと、さらにそのコラムを要約するウィジェットを追加した。ウィジェットのサイズや位置、アプリのタイトルと概要も変更できるので、最後にそれらを全体的に調整して、複数の生成AIを使ったレシピアプリの完成だ。
初見では少し迷ったところもあるものの、実際に触るとすぐに要領がつかめて1時間ほどでこのアプリが作れた。プロンプトは英語で書いた方が回答の精度が高くなりやすいようだが、日本語で書いても違和感のない回答が得られた。
これだけの機能が無料で使えるのだから、少しでも生成AI活用に興味があるなら使わない手はないだろう。
なお、念のために注意したいのが使える回数だ。PartyRockは最初に「クレジット」がユーザーごとに付与され、生成AIの利用量に応じてクレジットを消費する。高価なモデルほどクレジットの消費は大きくなる。具体的なトークン数などは非公開だが、記者の場合この後しばらく触って5つほど簡単なアプリを作ってもクレジットの消費量は1.2%だった。100%消費し尽くすにはかなりの回数がかかるので、あまり気にする必要はなさそうだ。クレジットはユーザーのプロフィールページで確認できる。
クレジットを全て消費するとPartyRockでは新しいアプリの生成や入力ができなくなるが、フィードバックフォームからリクエストすれば、正当な理由があればクレジットが追加される場合がある。
PartyRockは大手クラウドベンダーであるAWSが提供しているサービスなのでセキュリティ面でも性能面でも安心して使える。最近ではAWSの生成AIサービスを採用する企業が大手を中心に増えている。AWSの生成AIサービスやその導入企業の例についてはこの記事を参照してほしいが、海外では米Pfizerや独BMW、日本では竹中工務店などが採用し、活用を進めている。
PartyRockは、APIを使って主要な基盤モデルが利用できるAWSの生成AIサービス「Amazon Bedrock」を活用して作られたサービスだ。PartyRockを触ってみて、より本格的な開発をしたくなったらAmazon Bedrockを利用するといいだろう。前述の導入企業の多くもAmazon Bedrockを採用している。
企業で活用するレベルの生成AIアプリケーションを作成したいなら、2024年4月にリリースした「Amazon Q Apps」も役立ちそうだ。自然言語でアプリの説明を記述するだけで、業務を遂行するアプリを生成できる。
生成AIの選択肢は増え続けており、ユーザーは目的に適した生成AIサービスを柔軟に選べるようになっている。生成AIは今後社会やビジネスの変革を促し、次の時代を創っていくテクノロジーだ。まずはPartyRock遊んで、生成AIの世界、そして基盤モデルやプロンプトを扱う楽しさを感じて欲しい。
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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia AI+編集部/掲載内容有効期限:2024年5月31日