生成AI活用を成功させるには? 実例でポイント解説 プロンプト例からセキュリティ対策まで

» 2024年07月03日 10時00分 公開
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 「ここ30年来、成長の機会を逃し続けてきた感のある日本においても、変革の時代は大きなチャンスの到来である。ChatGPTの流行は、世界中が予想しない形で昨年11月末(注:2023年11月末)から始まり、AIの急速な進展が多くの人の共通認識となった。その後の急速な展開は、国や地域の別を問わず、企業組織の大小も関係なく、スピード感と技術力を頼りにして、だれもが競争に参画できる状況が生まれていることを示している」――内閣府のAI戦略会議が2023年5月に公開した「AIに関する暫定的な論点整理」にこのような記述がある。

 ChatGPTに代表される生成AIは、ビジネスを変革する力を持っている。ここで生成AIのインパクトを改めて説明する必要はないだろう。本記事の読者は生成AIのすごさが知りたいのではなく、「いかに業務に取り入れるか」「安全に利用するにはどうすればいいのか」という点に悩んでいるはずだ。

 この苦悩の背景には、生成AIの導入時に避けては通れないセキュリティやデータガバナンスの課題がある。生成AIを安全かつ手軽に活用するベターな方法は何か。ITmedia AI+が2024年6月に開催したオンラインイベント「生成AIトップランナーが本音で語る2024年のAI市場」におけるソフトクリエイトの講演を基に考えていく。

生成AIで業務効率化 実例に見る活用ポイント

ChatGPTなど生成AIのプロンプトなどを解説するソフトクリエイトの中野氏 ソフトクリエイトの中野七海氏(事業推進本部 製品開発部 AIインテグレーショングループ SE)

 「『2025年の崖』が迫るなど、企業はDXの推進や人手不足への対応が求められています。業務の効率化や生産性の向上が急務になる中、企業の課題を生成AIで解決できるようになりました」――こう話すのは、AI導入支援サービスを手掛けるソフトクリエイトの中野七海氏(事業推進本部 製品開発部 AIインテグレーショングループ SE)だ。

 これまで、AIシステムの構築・運用には高度な専門技術が必要だった。しかし生成AIが登場したことで、チャットでAIに指示するUIが一般的になった。技術者ではないビジネスパーソンでも使えるので、企業課題の解決やビジネスの加速に役立つと期待されている。

 生成AIのメリットを最大限に生かすには、日常的な利用を定着させる必要がある。利便性を高めるためには自社データの活用も重要だ。ソフトクリエイトが提供する生成AIサービス「Safe AI Gateway」が取り入れている工夫をヒントに、生成AIの活用ポイントを整理していく。

 Safe AI Gatewayは、ChatGPTにも使われている米OpenAIのAIモデル「GPT」を安全に利用できるサービスだ。企業ごとに専用のデータベースを設けることで、データの分離が明確になり、他の企業とデータを共有することなく運用できる。米Microsoftの「Azure OpenAI Service」を基盤に、「便利なChatGPTを安全・簡単に」を掲げて独自の機能を追加している。申し込みから最短5営業日で使い始められるのが特徴だ。

ChatGPTを自社独自の環境で使えるSafe AI Gateway の利用画面 Safe AI Gatewayの利用画面

活用ポイント:プロンプトを使いこなせている?(プロンプト例あり)

 生成AIを使うには「プロンプト」(指示文)で命令する必要がある。プロンプトの内容によって回答結果の精度が変わるので、指示の出し方が重要だと中野氏は話す。

 「あなたは◯◯の専門家です」「小学生でも分かるように◯◯文字で整理してください」などプロンプトのテクニックが多数あるが、毎回入力するのは大変だ。「自分で作業した方が早い」となって、生成AIの利用が定着しない原因にもなりかねない。

 Safe AI Gatewayには、効果的なプロンプトがテンプレートとして組み込まれている。用途に合ったテンプレートを選んで、補足情報などを記入して送信するだけでいいのでプロンプトを入力するハードルが下がる。ユーザーが入力したプロンプトの保存や社内共有も可能だ。

 Safe AI Gatewayで利用できるプロンプトのテンプレートとして次のようなものがある。

ChatGPTを自社独自の環境で使えるSafe AI Gateway で使えるテンプレート Safe AI Gatewayに標準搭載されている基本テンプレートの一例

ChatGPTを自社独自の環境で使えるSafe AI Gateway でユーザーが自作できるカスタムテンプレート ユーザーが自作できるカスタムテンプレートの使用イメージ

プロンプト例:メールマガジンの文面を作成する

#役割
IT企業のマーケティング担当として、以下の状況にあわせた、メールマガジンの時候の挨拶文を書いてください。

#季節・時期
【時候の挨拶の下となる季節や時期を記載】
例:盛夏

#背景や前提
【メールマガジンを配信する目的や背景を記載】
例:資料ダウンロードにつなげる

#売りたい製品
【メールマガジンの中で紹介したい製品について出来る限り詳細に記載】
例:安全・簡単な企業向け生成AI「Safe AI Gateway」
  「Safe AI Gateway」は、セキュリティを担保した生成AI製品


#挨拶文の条件
・親しい顧客に対する丁寧な文体で
・最後は、{売りたい製品}の訴求に自然に繋がるように
・300文字程度



活用ポイント:社内データを活用している?

 生成AIを効果的に使うには、社内データを組み合わせることが肝心だ。社内規定に関するドキュメントや製品仕様などのデータを生成AIが参照することで、業務に直結する内容を生成したり企業独自の質問に答えたりできる。

 一般的な生成物で十分なら無料で使えるAIサービスを使えばいい。しかし、企業として導入するからには、自社のビジネスに役立つ使い方をしたいと考えるのが当然だ。社内データを使うことで「独自の強みを持った生成AI」になり、それは競合他社にはない武器になるはずだ。

 Safe AI Gatewayは「簡単チャットボット作成」という機能を備えている。社内資料やデータを取り込んで独自のチャットボットを最短1分で作成できる機能で、企業ごとに異なる生成AIの利用ニーズに応えられる。回答内容に参照元を表示することで、情報の根拠と正確性を確認しやすいことが特徴だ。

ChatGPTを自社独自の環境で使えるSafe AI Gateway でチャットボットを作る方法 チャットボットの作成手順。5つの項目に必要事項を入力してチャットボットを作成する。参照するデータのアップロードも可能だ

活用ポイント:社内システムと連携できる?

 生成AIと社内システムを連携できると、より高度な生成AIの活用が実現できる。業務アプリケーションや情報共有サービスと連携することで社内データを自動的に取り込み、生成AIの回答に反映。「あの案件の詳細は何だっけ?」「プロジェクトの最新情報が知りたい」といった従業員の質問に対して、高精度な回答を導けるようになる。

 ソフトクリエイトはサイボウズの「kintone」やMicrosoftの「SharePoint Online」「Outlook」とのシステム連携機能をSafe AI Gatewayに実装予定だ。中野氏は「これらのシステムと連携することで、生成AIの基盤モデルが学習していない企業独自の情報を踏まえた回答を生成できます」と説明する。

情シスの50%が「セキュリティ懸念あり」 生成AIのリスク対策を解説

 生成AIへの期待とは裏腹に、生成AI活用の前に立ちはだかる壁が存在する。中野氏は「興味はあるが導入に至っていない現実がある」と指摘する。

 ソフトクリエイトが情報システム部門を対象に実施した調査で「生成AI/ChatGPTを業務で利用する上で、情シスとして懸念する点」という設問に、回答者の約50%が「セキュリティ懸念あり」と答えた。「情シス人材に不足を感じるか」という設問では「人手不足を感じる」という回答が約74%に上った。社内の体制を聞くと約66%が「情報システム部員が4人以下」という結果で、セキュリティ対策の必要性を感じつつも、人手不足という課題が重くのしかかっているという実情が浮かび上がった。

 こうした懸念や課題の対策をすることで、管理者の手間を減らしつつ安全に生成AIを利用できる。そのポイントを説明する。

社内データを守れるか?

 生成AIを巡る懸念の一つが、ユーザーが入力した情報を生成AIベンダーがAIモデルの学習に使うことで外部に流出するリスクだ。「社内情報や機密データを入力しないように」と従業員に指示したとしても個人のITリテラシーに頼るしかなく、安全だという保証はない。

 社内データを守るには、Azure OpenAI Serviceのように「顧客のデータをAIモデルの再学習に使わない」と明言しているサービスを利用するなど、システム面での対策が重要だ。

 Safe AI Gatewayはサービス基盤にAzure OpenAI Serviceを採用している。会社固有のデータは、ユーザー企業専用の保管場所に格納するようになっており、安全にサービスを利用できる仕組みだ。 そのため入力したデータが社外利用されることはないと中野氏は説明する。

安全性と利便性を両立させられる認証機能があるか?

 生成AIサービスを導入した場合、そこに業務の情報を入力したり社内データを連携させたりするなら、アカウント管理も忘れてはならない。不正アクセスなどで部外者に生成AIを使われてしまうと社内情報が筒抜けになる可能性がある。

 Safe AI Gatewayはディレクトリサービス「Microsoft Entra ID」やシングルサインオンツール「Microsoftアカウント」と連携した認証が可能だ。導入済みの認証基盤を使えるので、アカウント管理に掛かる情報システム部門の工数を削減可能だ。

管理者が利用状況を把握できるか?

 生成AIサービスを導入したら、利用状況を確認して適切な利用を促すことが管理者の役割になる。定期的にチェックする必要があるので、ダッシュボードで一括管理できるなど手間を減らす工夫が大切だ。

 中野氏によると、Safe AI GatewayのUIも使いやすさを重視しているという。利用状況をビジュアライズした管理画面を用意し、直感的なUIで会話履歴や利用トークン数、課金状況などを一目でチェックできる。

ChatGPTを自社独自の環境で使えるSafe AI Gateway の管理画面 Safe AI Gatewayの管理画面

Safe AI Gatewayは無料トライアル可能 生成AIの効果を検証できる

 生成AIの利用を定着させるには、安全かつ利用しやすいサービスを選ぶことが近道だ。日夜進化する生成AIの利便性をビジネスに取り入れるには、日進月歩する生成AIの技術や機能が使えるサービスかどうかも選定時にチェックしたい。

 「Safe AI Gatewayはお客さまの声を取り入れて頻繁にバージョンアップしています。直近3カ月だけでも4回のアップデートを実施して、AIの精度向上を含む60項目以上の改善を行いました」

 中野氏は「AIを企業インフラに」というビジョンを掲げてSafe AI Gatewayの継続的なアップデートを行うと明言。今後は企業ごとのカスタマイズへの対応やデータの識別に強い分類型AIの提供を視野に入れている。

 Safe AI Gatewayの無料トライアルを利用すれば、生成AIの効果や可能性を検証できる。ソフトクリエイトは生成AIの導入支援も手掛けているので、生成AIを安全かつ手軽に導入したいという企業は相談してみてはいかがだろうか。

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提供:株式会社ソフトクリエイト
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia AI+編集部/掲載内容有効期限:2024年7月16日