「わが社も生成AIを」と言われたら?  “成果を生む”AI活用プロジェクトのポイント Microsoftが解説

» 2024年07月08日 10時00分 公開
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 経営者が「当社も生成AIを活用しよう」という方針を掲げて、生成AIを使った業務の効率化やビジネスの変革に取り組む企業が増えてきた。ここで重要なのは「導入=活用」ではないということだ。生成AIを利用し始めたのに成果につながっていないなら、導入から活用にステップアップできていない可能性がある。

 「AI活用の成果は一朝一夕では得られません。参考にできる手本も少ないので、成功ルートを見つけるためには苦労は避けられません」――こう話すのは、日本マイクロソフトの内藤稔氏(業務執行役員 パートナー事業本部 パートナー技術統括本部長)だ。

 日本マイクロソフトはAI活用を積極的に支援してきたパイオニアだ。生成AIが話題になる前から同社のクラウドサービス「Microsoft Azure」で使えるAIサービスで企業の課題解決に貢献。ChatGPTの登場から約2カ月で「Azure OpenAI Service」の提供を始めて、ユーザー企業への技術的支援や同社のパートナーと連携したプログラムを通じてAI活用を多面的にバックアップしている。

 AI活用の知見を持つ日本マイクロソフトに、生成AIの活用を成功させるポイントを聞いた。

生成AIの活用ポイントを解説する日本マイクロソフトの内藤氏 日本マイクロソフトの内藤稔氏(業務執行役員 パートナー事業本部 パートナー技術統括本部長)

広がるAI利用 84%が「AI施策に投資/検討中」

 アジア太平洋地域でのIT調査やコンサルティングに実績を持つ調査会社Tech Research Asia(TRA)がアジア太平洋地域の経営者を対象に実施した調査レポート「AI in APJ」(アジア太平洋日本におけるAI、2024年3月発行)から、大半の企業が生成AIを業務に取り入れているという実態が浮かび上がった。

 生成AIの利用動向に関する問いに対して、全体の84%が「現在AIプロジェクトに投資しているか、今後12カ月以内に投資を検討している」と答えた。調査当時はChatGPTが登場して約1年というタイミングだが、これほどのスピードで経営者の関心を集めた技術は過去にほぼ例がないと内藤氏は驚きをもって説明する。84%という数字は、一部の大企業だけではなく中堅・中小企業にまで利用が広がっていることがうかがえる。

 生成AIへの関心が高まった背景には、生成AIへの期待と活用できなければ生き残れないという危機感があると内藤氏は分析する。

AIプロジェクトの特性 求められる「ビジネスへの直接的な貢献」

 AIプロジェクトに取り組む上でIT担当者やDX部門が注意するとよいのが、意思決定者の姿勢だ。意思決定者は生成AIに対して、他のITツールやソリューション以上にビジネスへの貢献や新たな価値創出を強く求める。

 生成AIへの期待の大半がビジネスへの直接的な貢献であることは、TRAの調査レポートからも分かる。調査結果から「優先度の高いAIプロジェクト」を分析すると、経営層は「セールス&マーケティング」「セキュリティ、リスクとコンプライアンス」「カスタマー・オペレーション」という3領域の優先度を重視していることが分かった。企業の収益やリスクの観点で影響が大きなものばかりだ。

 「AIの用途が事業や利益に直結する領域なので、導入の主体はIT部門ではなくビジネス部門になります。TRAの調査でも『AI導入の推進担当は経営幹部』という回答が72%に上りました。IT担当者はこの状況を理解した上で、ビジネス側との適切なコラボレーションや密なコミュニケーションをすることが不可欠になります」

生成AIの活用ポイントを解説する日本マイクロソフトの内藤氏 日本マイクロソフトの内藤氏

「AIを導入して終わり」にしない活用プロセス

 生成AIの活用に取り組むことになったら、AIプロジェクトは中長期的なものになると理解しておく必要がある。プロジェクトを成功に導くには、実現したい目標と保有するデータやリソースを突き合わせて最適な手法を探っていくことになる。

 「一度で最適解が見つかるとは考えにくく、活用の方向性やデータの種類など手を替え品を替えての試行錯誤が当面続きます。そのサイクルを円滑かつ高速に回すための『AIジャーニーモデル』を知っていれば早期に成果を出すことができます」

 内藤氏が触れた作業モデルは「AI戦略」「プロジェクト計画」「導入、管理、最適化」のフェーズで構成される。ここに「アイデア創出」というフェーズを加えて、AI活用プロセスの全体像を見ていこう。

生成AIの活用を促進するプロセス AIジャーニーモデルの全体像。左から右に向かって「AI戦略」「プロジェクト計画」「導入、管理、最適化」と進んでいく

AI戦略フェーズ

 AI戦略フェーズでは、ビジネス目標の設定やビジネス上の優先順位付けを行う。それを踏まえて評価指標や予算規模、予算の調達方法、プロジェクト担当者の役割と責任なども決定する。

 「最初にAI活用のゴールを定めます。ここで忘れてはならないのが評価指標の設定です。例えば利益への貢献やコスト面の影響など、ビジネス上の評価指標を置くことが重要です。指標がないと失敗や成功の判断ができず、何をどう見直すべきかの検討も困難になります。結果的に『なぜかうまくいかなかった』という、一過性の取り組みで終わりかねません」

 戦略の策定はどの企業にとっても“生みの苦しみ”を伴う。生成AIは新しい技術であるだけに、企業の中に知見やノウハウがない状況ではなおさら難しい。内藤氏はAI活用に詳しい外部パートナーの力を借りるのが現実的だと提案する。TRAの調査でも「生成AIの活用に向けてパートナーと協力する意向だ」という回答が73%に達している。

アイデア創出フェーズ

 アイデア創出フェーズで行うのが、AI戦略に基づいた活用アイデアの考案と評価指標に基づくアイデアの評価、アイデアを実現させるためのプロセスの設計だ。一般的なITツールは「この課題を解決するためにあのITツールを導入してこう使う」というように、利用内容やプロセスが明確なことが多い。しかし生成AIの場合は、AI戦略を実現させるアイデアの具現化から始めるケースが大半だと内藤氏は言う。

 ゼロベースでアイデアを考案するのは難しいので、日本マイクロソフトとパートナー企業は顧客のアイデアの考案や評価をサポートする「アイデアソン」(AIdeathon)を実施している。生成AIに関する基礎知識を参加者にインプットした上で、参考になる事例を紹介、参加者同士で議論しながらアイデアを生み出すという方法だ。

 「株主総会の想定問答集を作る」「自治体の過去資料を参考にして議会の答弁草案を生成する」などの事例を紹介することで、参加者が気付いていなかった視点を得られる。

 議論の段階では「業務プロセス」「データ資産」「サービス革新」といったアイデア出しの切り口を用意しておくことで議論の方向性を調整する。最後にアイデアを評価して、取り組む優先順位を付ける。

AI活用を成功に導くアイデアソンの方法 アイデアソンの流れ

計画、導入、管理、最適化フェーズ

 プロジェクト計画、導入、管理、最適化フェーズは、AIを利用するインフラの整備と継続的な最適化が主なミッションだ。AI活用プロジェクトというと、AIサービスの選定や開発に注力しがちだが、AI、データ、アプリという3つの視点を持って検討を進める必要がある。

AI活用のポイント AI活用にはさまざまな検討ポイントがある

 このフェーズではデータの整備、ネットワークの構築、セキュリティ対策、従業員が使いやすいアプリケーションやインタフェースの開発などの技術力が必要になる。内製はもちろん重要だが、パートナー企業の力を借りるという選択肢も有効だ。プロに任せつつ、知識やノウハウを習得したら段階的に自社内に引き取るシナリオを内藤氏は推奨する。

 自社内に引き取ることで継続的な最適化が可能になる。生成AIを導入して数年間はそのまま使い続けることもできるが、それでは生成AIの技術革新のスピードについていけない。ChatGPTの進化を見れば明らかだ。登場時は「チャットAI」だったChatGPTは、わずか1年2カ月でテキストだけでなく画像や音声をリアルタイムで処理できる「マルチモーダルAI」に進化した。

 「生成AIが日々進化する状況で、一度作って終わりではもったいない。継続的な見直しや最適化が欠かせませんが、外部パートナーへの依存度が高いほど改善コストも高止まりしてしまいます。導入時にサポートしてもらい、次第に自走へと切り替えるのがベターです」

信頼できるパートナー選びのポイントは?

 ビジネスへの直接的な貢献が求められる生成AIの活用を頼むパートナーをどう選べばいいのだろうか。内藤氏は「その企業の状況や目標を深く理解して、一連のフェーズの作業を担ってもらえるか、中長期にわたる伴走が期待できるかどうかを考えるとよい」とアドバイスする。

 パートナー候補として期待できるのが日本マイクロソフトのパートナーだ。「Microsoft リファレンスアーキテクチャパートナー」はAIの知見はもちろんクラウド基盤の構築やデータの扱い、セキュリティ対策などの実績を豊富に持っている。その経験を企業のAIプロジェクトに取り入れることができれば心強い。

 日本マイクロソフトはパートナー支援に注力しており、技術支援やベストプラクティスの共有、認定制度などを通してパートナーのスキルアップや顧客の支援体制を強化している。顧客への支援にはアイデアソンで使える「BXTフレームワーク」の提供やAI基盤の早期実装に向けたクラウド展開に役立つ「FastTrack for Azure」などがある。

 生成AIの活用はビジネス戦略、アイデア創出、プロジェクト計画・導入・管理・最適化という3つのフェーズに分解して着実に取り組むことが肝心だ。従来のITプロジェクトはフェーズ3の計画・導入・管理・最適化からパートナーと連携するケースが多かったが、AI活用プロジェクトでは戦略やアイデア創出の段階から知見と実績を持つパートナーの力を借りるのが近道だろう。

 「生成AI活用の主役はユーザー企業です。主役が新たな価値創出に集中するために、AIやMicrosoft Azureに精通したパートナーは主役を支える“伴走者”のような存在としてサポートします」

 日本マイクロソフトは「地球上のすべての個人とすべての組織が、より多くのことを達成できるようにする」というミッションを掲げている。生成AIを活用してビジネスを加速させたいと考えている企業は、日本マイクロソフトとそのパートナーに相談してみてはいかがだろうか。

 適切なパートナーの協力を得ながら、IT活用のビジネス戦略やAIの活用シナリオを常に最適化し、多くのプロジェクトの実装を通して知見をため得ることで、成果を生む生成AI活用が実現するはずだ。

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提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia AI+編集部/掲載内容有効期限:2024年7月26日