「ChatGPT」の登場からもうじき2年が過ぎようとする中、AIブームが加速し続けている。ビジネスにおいてAIをいかに活用していくかがDXや生産性向上のカギとなることは言うまでもない。そこで重要になるのが、従業員がいかに手軽にAIを使えるかだ。つまり業務の中心であるビジネスPCがAI活用の成否を左右するポイントであり、多くの企業がPC選びにアンテナを張り巡らせている。その状況を踏まえ、PCベンダー各社が「AI PC」と銘打った最新モデルを市場に投入している。
AI時代にフィットする機能を搭載したAI PCを提供し、注目を浴びているのが日本HPだ。これからの時代にふさわしい相棒となるビジネスPCに必要な条件について、同社に話を聞いた。
AI PCとは、AI処理が得意なNPU(Neural Processing Unit)を内蔵することによって、AIをローカルで高速かつ省電力に処理できるPCを指すケースが多い。Windows搭載PCの場合は、MicrosoftのAIアシスタント「Copilot」を即座に呼び出せるボタン「Copilotキー」をキーボードに追加したPCも登場している。
このAI PC領域でHPが打ち出した最新モデルが「HP Elite x360 830 G11」だ。大きな特長として「インテル® Core™ Ultra プロセッサー」を採用していることが挙げられる。
インテル® Core™ Ultra プロセッサーは、NPUはもちろん、従来の高性能なPコアと高効率のEコアに加え、低消費電力コア(LP Eコア)も追加している。負荷に応じてこれらを使い分けることで、前世代と比較してAI処理を高速化し、低消費電力で実行できる。
「既存のWeb会議ツールに備わっているバーチャル背景やノイズキャンセリング機能にもAIが利用されていることがありますが、そうしたPC上でAI処理をするような機能が劇的に向上します」と日本HPの松本英樹氏(エンタープライズ営業統括 営業戦略部 部長)は説明する。
ほかにも、セキュリティソフトウェアが実行するウイルススキャンをNPUにオフロードすることで、脅威の検出を高速化しつつCPUやGPUの負荷を軽減するのだという。
「インテル® Core™ Ultra プロセッサーのおかげで、これまでクラウド側やCPU、GPUでされていたような高負荷なAIの処理が、PCのローカルでもより低消費電力で早く実行できるようになります。対応するAIツールさえ入っていれば、PCがオフラインであってもチャットbotを使えたり、画像生成AIを動かせたりするようになります」
HP Elite x360 830 G11は、AI利用はもちろん普段の業務も快適にするビジネスPCとして設計されている。ディスプレイが360度回転するコンバーチブル型で、タッチパネルを搭載している。タッチペンを利用する際に、手には反応せずペン先だけを認識する「パームリジェクション機能」にも対応しているので、ペンでの入力もしやすい。
コラボレーションに適した機能も搭載されている。HPが買収した「Poly」のオーディオを採用しており、高性能な集音マイクやAIを使ったノイズ軽減フィルターも搭載しているため、高品質なサウンドで快適なWeb会議を実現する。
生成AI活用を検討しているものの、セキュリティ面が気になるという企業にもHP Elite x360 830 G11は適している。
「社内情報をクラウド上の生成AIに学習されたくないというニーズもあります。企業特有の情報資産や個人情報、ガイドラインや社内用語などがその典型ですが、ローカルのPC上でAIの推論処理をするという解決方法があります。その技術革新は日進月歩で、数カ月前の生成AIでは実現不可能だったり、レスポンス品質がいまいちだったようなケースも、今ではほとんど解消しています。こうした理由を背景に、生成AIを自分たちが扱うPCでも動かしたいというニーズは増え続けているのです」
HP Elite x360 830 G11は、快適なユーザー体験ができるとインテルが評価する規格「インテル® Evo™ エディション」に準拠している。
「インテル® Evo™ エディションはハードウェアの仕様において、応答性や瞬時の起動、長時間バッテリー、高速充電などのテストをパスしたモデルにだけ付与されるバッジです。また、PCでの作業をタブレットやスマートフォンへ拡張できる『インテル® Unison™ ソリューション*』などに対応しているのも特長です。
PCの選定に当たってはさまざまな選択肢があると思いますが、インテル® Evo™ エディションのバッジがあるものを選んでおけば、ハイパフォーマンスや周辺機器の使い勝手の良さが約束されます。実はHPはEvoに特化したヘッドセットやマウスも製造しており、極めて快適に利用することが可能なのです」
*詳細URL:https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/products/docs/unison/overview.html
さらにHP Elite x360 830 G11は「インテル® vPro® プラットフォーム」(以下、vPro®)にも対応している。vPro®はPCの遠隔管理やセキュリティ機能などを搭載した統合型プラットフォームだ。セキュリティ面ではファームウェアやアプリケーション、データを保護し、さらにはセキュリティソフトウェアの脅威検知の高速化を支援する機能も備える。
PCの電源がオフの状態でも遠隔操作や監視ができ、自社のファイアウォールの外側にあるPCに対してソフトウェアのインストールやアップデートなども可能だ。まさにハイブリッドワーク環境での管理に適した機能となっている。
HP Elite x360 830 G11が対応しているのが、HPのソリューション「HP eSIM Connect」だ。対応モデルを購入すれば、データ通信が追加料金不要で5年間使い放題になるというもので、4G LTEと5G通信に対応している。HPが2023年11月に発表して以来、問い合わせが殺到していると松本氏は振り返る。
「HP eSIM Connectはこの半年間で、私たちの予想をはるかに上回る反響をいただいています。すでに数千にも上る企業からお問い合わせをいただき、すでに導入されたお客さまからも好評です」
背景には、在宅勤務やハイブリッドワークの浸透で、オフィス外での通信環境に個人差が出てしまうという課題がある。例えば集合住宅の場合、Wi-Fiはコアタイムになると遅延が起こりがちだ。外出先ではスマートフォンのテザリングを利用するのにもひと手間かかる上、カフェなどのフリーWi-Fiにつなぐのは情報セキュリティやガバナンスの観点から懸念がある。
「在宅勤務やハイブリッドワークを採用している企業が、全ての従業員に高速で安定したセキュアな通信環境を用意するのは簡単ではありません。こうした理由から、高品質で手軽に使えるLTEや5G通信に対するニーズはこれまでも根強く存在していました。しかし、使用料金が高額であるという点がネックとなり、導入を見合わせていた企業が多かったのです。HP eSIM Connectはこうした課題を解消します」
またPCを管理するIT部門にとってもうれしいポイントが、eSIMタイプであるということだ。物理SIMカードを管理する手間が不要なので、紛失や設定ミス、破損といったトラブルを防げる。回線の開通手続きもオンラインで完結するため、スムーズに利用を開始できる。
AI PCとHP eSIM Connectの組み合わせによって、ビジネスにはどのような影響があるのだろうか。
「AI PCがローカルでのAI活用に強みがあることは先にも触れた通りです。しかし、実際にはクラウドのAIサービスも並行して使うケースが多いはずです。HP Elite x360 830 G11はオフィス外に持ち出すことが多いPCです。その際にHP eSIM Connectがあれば、高品質な通信環境を確保できます。ハイブリッドな環境において、生産性向上や業務効率化を実現するための環境構築が可能な製品とソリューションの組み合わせといえます」
また、HP Elite x360 830 G11はHPのモバイルデバイス管理(MDM)ソリューション「HP Protect and Trace with Wolf Connect」にも対応している。
これは、電源がオフになっている状態のPCに対して、遠隔操作で「探す」「PCをロックする」「データを消去する」といった命令を実行できる。
日本では、PCを使っていない時には電源をオフにする文化が根強く、その状態で盗難や紛失があった際、従来のMDMでは対処が遅れる可能性が高かった。しかしこの機能を使えば、GPSをはじめとした複数の技術によって探査開始時点の位置が特定できる。
「この『探す』機能は、LTE Cat-Mという低消費電力で広域通信が可能な通信技術の採用によって実現しています。場所の特定も、基地局が多い日本の場合、都心部であればかなりの精度で特定できます」
PCロックについては、BIOS/ファームウェアレベルの強固なもので、管理者以外はOSや初期画面すら見られない。そのため第三者が簡単にログインすることは難しい。データ消去はNIST(米国国立標準技術研究所)が定めている「Purge」レベルの処理をするので、復旧は不可能でPC廃棄と同等の対応ができる。
これだけの機能が備わっていれば、ハイブリッドワークでAI活用を進めながら、安全かつ快適に作業ができて、IT部門にとっても管理しやすい環境が実現できる。
「今後もHP eSIM ConnectやHP Protect and Trace with Wolf Connect対応モデルは拡充していく予定です。AIを上手に活用しながら、HPのサービスによってさらなる価値を加え、ビジネスを加速したいと考えている企業のお役に立てると確信しています」
ビジネスにおいてAIを活用していく流れはもはや止めることはできない。変化に適応し、AI活用のノウハウを蓄積するためにも、一日でも早い環境整備は必然といえる。その環境を実現するPCとサービスを手に入れたいなら、ぜひ一度HPの製品群に触れてみるといいだろう。
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提供:株式会社日本HP
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia AI+編集部/掲載内容有効期限:2024年8月30日