文化庁「AIと著作権の考え方」の“パブコメ反映版”はどんな内容? 弁護士が注目ポイント解説(1/3 ページ)
生成AIと著作権の考え方は──その論点を整理した「AIと著作権に関する考え方について(素案)」を公開した文化庁。1月23日から2月12日にかけて、この「考え方」のパブリックコメントも募集した。計2万4938件の意見が集まり、同庁はこの結果を反映した「考え方」の最新版(2024年2月29日版)を発表した。
この最新版では、パブリックコメントのどのような意見が反映され、どんな変化があったのか、シティライツ法律事務所(東京都渋谷区)の前野孝太朗弁護士が解説する。次の段落から前野弁護士の文章。
「考え方」の位置付けがより明確に
「AIと著作権に関する考え方について(素案)」について、パブリックコメントの結果が反映された2024年2月29日版が公開されました。パブリックコメントの対象だった1月23日版からどのような点に変化があったのかなど、2月29日版の注目ポイントを簡単に整理したいと思います。
まず、全体として「考え方」のこれまでの整理に大きな変更はありませんでした。パブリックコメントの結果を踏まえ、各論点における文言の補充などが行われ、整理がより明確になった印象です。
序盤の注目ポイントとして「考え方」の位置付けがより明確に示されました。以前の記事でもお伝えした通り「考え方」は、法制度小委員会の見解を示すもので、裁判になった場合に、裁判所を拘束するものではありません。
この点について、パブリックコメントでも、素案の内容が踏み込み過ぎているとの懸念や、解釈について謙抑的な記載であるべきなどの指摘がありました(パブコメNo.8, 10など)。
そこで、この点をより明確にするため「本考え方自体が法的な拘束力を有するものではなく、また現時点で存在する特定の生成AIやこれに関する技術について、確定的な法的評価を行うものではない」との明記がされました(『考え方』1.(2))。
また「本考え方は、関係する当事者が、生成AIとの関係における著作物等の利用に関する法的リスクを自ら把握し、また、生成AIとの関係で著作権等の権利の実現を自ら図るうえで参照されるべきもの」といった追記もされ、パブリックコメントでは「今後、これを踏まえ、当事者間での共通理解が醸成されていくことが望まれます」との考えも示されています(パブコメNo.8)。
法的な拘束力はなく、関係当事者の議論の土台という側面をより明確に打ち出した印象です。
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