「ChatGPT」の次に来るサービスは何か? 注目を集める「AIエージェント」 従来の生成AIとの違いとは:小林啓倫のエマージング・テクノロジー論考(2/4 ページ)
いまやChatGPTや生成AIという単語をニュースで見かけない日はない、と言っても過言ではない。そうなると気になるのが、「ChatGPTの次にくるのは何か」という点だ。その候補として有力視されているものの一つが「AIエージェント」である。
自分でタスクを考えてくれるエージェント
米Reworkd AI社が提供するAIエージェント「AgentGPT」は、手軽にAIエージェントを体験できるWebサービスの一つだ。論より証拠ということで、早速試してみよう。
通常の生成AIと比較するため、いまGPT-3.5を使い、ChatGPTに「AIエージェントとは何ですか?」(What is “AI agent”?)という質問を投げてみた。結果は次の通り(実際には英語でやりとりした結果を、Google翻訳で自動的に日本語に訳している)。
ChatGPTは、AIエージェントの簡単な説明をした上で、用途について簡単に触れている。それでは同じ質問を、AgentGPTに投げてみよう(先ほどと同様にやりとりは英語で行っており、Google翻訳で日本語に変換している)。
実行までにいくつか設定が必要になるのだが、先ほどと同じ質問をしたにかかわらず、より詳しい回答が返ってきた(ちなみに使用したモデルはChatGPTの場合と同じGPT-3.5)。ただ、これだけなら普通の生成AIと変わらない。なんならプロンプトを工夫してやれば、AgentGPTに近い回答を引き出せるだろう。
しかしAIエージェントの利点は、人間が細かな指示を出さなくても(それこそプロンプトエンジニアリングのような努力や工夫をしなくても)、自律的に「考えて」、必要なタスクを設定してくれるところにある。例えば今回のテストでは、AgentGPTは先ほどの定義の後に、こんな文章を出力している。
スクリーンショットでは途中で省略してしまったが、要するにここでAgentGPTは、AIエージェントの「種類」を調べてくれている。筆者が指示したのは「AIエージェントって何?」というあいまいな問いの答えを探すことだったが、そこから必要と思われるタスクを自律的に設定し、実行してくれているのである。
さらにどのようなタスクを設定し、実行してくれたのか全文を紹介したいところだが、ここでは主なものを挙げるだけに留めよう。
- AIエージェントの歴史と進化を研究する
- AIエージェントのアプリケーションと実際の例を調査する
- 医療業界における AI エージェントの実装を研究する
- AIエージェントの使用に関連する倫理的考慮事項と潜在的なリスクを調査する
- AIエージェントの将来の可能性と進歩を研究する
繰り返しになるが、これらは筆者が考えて設定したわけではなく、全て「AIエージェントって何?」という質問、つまり「あらかじめ設定された目標」からAgentGPT側が導き出したものだ。生成AI以上に、AIに仕事を「丸投げ」できる可能性を秘めた技術、それがAIエージェントというわけである。
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