Appleが作ったAI 「Apple Intelligence」とは結局何なのか、改めておさらいしてみる(4/4 ページ)
生成AIでAppleは出遅れたように見えたし、それゆえAppleがChatGPTなどに対抗するシステムを作り上げると思った人が多かったようだ。だから、Apple Intelligenceについて多くの人が誤解した。しかしAppleは、Apple Intelligenceは「パーソナルなインテリジェンス」と定義している。
「ChatGPT搭載」とは何だったのか
Appleが作り上げたオンデバイスの生成AIと、それを拡張したPrivate Cloud Computeの組み合わせだが、Webにある大量の専門知識から作られたクリエイティブな回答は難しいようだ。そこで発表されたのがChatGPTとの連携だ。「カブを使ったメニューを10個挙げて」といったような質問に関してはChatGPTとの連携機能が使われる。
Apple Intelligenceの発表と、ChatGPTとの連携が同時に発表されたため、メディアで「ChatGPT搭載」などと報じられたが、実態は少し異なる。基本的にはApple Intelligenceが動作し、オプションとしてChatGPTの回答が必要な時にだけ連携を行う。ユーザーアカウントの作成も必要なく、ChatGPTと連携する場合はその旨を伝えてくるため、勝手にユーザーのデータが開示されてしまうことはない。あくまで最低限のデータが、ChatGPTに対して提供される。
ChatGPTに渡すプロンプトはApple Intelligenceが生成する。ユーザーが一切プロンプトを思案する必要がないというのも面白い。Appleが求めるのは、あくまで技術的知識のない一般ユーザーでも使えるAIサービスなのである。
「iPhoneがウソをついた」と言われないために
Apple Intelligenceを作るにあたり、従来のAIのネガな部分にも慎重に対処しているのも興味深いポイントだ。
iPhone/iPad/Macに搭載されるApple Intelligenceは、既存の生成AIサービスと異なり、非常に広いユーザーベースを獲得することになる。生成AIは使い方によってはハルシネーションなどが起こるが、それをそのまま一般のユーザーに提供すると「iPhoneがウソをついた」ということになる。また、画像生成でもディープフェイクなどさまざまな問題が起こっているのはご存じの通り。
「iPhoneがウソをついた」などといわれて、製品の販売成績が下がるような事態は絶対に避けなければならない。その辺、Apple Intelligenceは注意深く学習データを精査し、「パーソナルなインテリジェンス」という立ち位置にとどまることで、生成AIのネガティブな部分を最小限に抑えようとしている。
画像生成機能「Image Playground」でも、生成される画像はアニメーション、イラスト、スケッチという3つのテイストに限られている。つまり、フォトリアリスティックな画像は作れないということになる。フェイク画像や腕が3本あったり、指が7本あったりするリアルな人間の画像を作ってしまう可能性も低い。フォトリアリスティックな画像を避けることで、当面の問題はだいぶ減るはずだ。
大規模なサーバモデルの生成AIは、大量の電力を消費することでも知られる。米The New Yorker誌によると、ChatGPTのサーバは50万kWhの電力(米国の家庭での平均電力消費量の1.7万世帯分に相当)を必要とするという。もちろんPrivate Cloud ComputeやChatGPTとの連携もあるが、オンデバイスで動作する間はそのデバイスのNPUが使う電力で済むため、消費電力は相対的に少なくて済むだろう。
米国外でのサービス提供は25年からとだいぶ先の話なので、実際にサービスが始まってみないと分からない部分も多いが、実にAppleらしい生成AIの活用方法といえる。
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