Google、科学者の研究を助けるマルチエージェントAI「AI co-scientist」提供開始
Googleは、科学研究を加速させるための新AIシステム「AI co-scientist」を発表した。「Gemini 2.0」ベースで、複数の専門エージェントを使って仮説を生成、評価、洗練する。
米Googleは2月19日(現地時間)、科学研究を加速させるための新しいAIシステム「AI co-scientist」を発表した。「Gemini 2.0」を基盤に、サイエンティスト(科学者)が新たな仮説や研究計画を立てるのを支援することを目的としている。
科学者が自然言語で研究目標(例えば、病原性微生物の拡散をより良く理解するなど)を指定すると、AI co-scientistは検証可能な仮説、関連する文献の要約、可能な実験的アプローチなどを提案する。
このシステムは、科学的な推論プロセスを反映するように設計された複数の専門エージェント(Generation、Reflection、Ranking、Evolution、Proximity、Meta-review)を使用し、仮説を生成、評価、洗練する。
ただし、あくまでも科学者が研究を洗練させるのに役立つ共同ツールであり、科学的プロセスを自動化することを意図してはいないとGoogleは強調する。
AI co-scientistは、科学者から研究目標や過去の研究への参照を入力として受け取ると、システム内の異なるエージェントを互いに連携させ、ネットにアクセスして出力を改善する「自己改善ループ」を作成する。科学者は、AI co-scientistの出力に基づいてチャットボットインタフェースでさらにAIと話し合うことができる。
実際に人間の生物医学研究者がAIの提案を評価したところ、他のAIシステムよりも高く評価され、AI co-scientistの出力は、標準的なAIモデルと比較して、影響と新規性の可能性が高いことが示されたとしている。
例えば、米スタンフォード大学での研究では、肝線維症の治療に関するAI co-scientistのアイデアが、さらに研究する価値があることが示されたという。
Googleは、AI co-scientistシステムへのアクセスを、Trusted Tester Programを通じて研究機関に提供している。このプログラムでは、AI co-scientistのUIと、既存のツールと統合できるAPIにアクセスできる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
Google、「NotebookLM Plus」を「Google One AIプレミアム」で利用可能に
Googleは、AI搭載のリサーチアシスタント「NotebookLM Plus」を「Google One AIプレミアム」加入の一般ユーザーにも利用可能にした。無料版の6倍のソースを参照でき、5倍のノートを作成できる。
Google、推論AI「Flash Thinking」をGeminiアプリで利用可能に 「Gemini 2.0」拡充の一環で
Googleは、生成AI「Gemini 2.0」の提供範囲を大幅に拡充。GeminiアプリでOpenAIの「o1」やDeepSeekの「R1」と競合する推論モデル「2.0 Flash Thinking」の実験版を利用可能にする他、プラットフォームで「Gemini 2.0 Pro」の実験的提供を開始する。
Google、Geminiアプリで推論AI「Gemini 2.0 Flash」の提供開始
Googleは、GeminiアプリのAIモデルとして「Gemini 2.0 Flash」の提供を開始した。無料版でも利用可能なこのモデルは、推論能力を含む多様な機能を持つLLMだ。
Google、AIモデル「Gemini 2.0」発表 Advancedで利用可能に
Googleは、次世代AIモデル「Gemini 2.0」と、それに関連する多数の取り組みを発表した。一部の機能は有料プランで既に体験可能だ。マルチモーダルエージェントProject Astraの進捗も紹介している。

