Google DeepMind、AIが自らアルゴリズムを発見・進化させる「AlphaEvolve」発表
Google DeepMindは、AIが自らアルゴリズムを発見・進化させるAIエージェント「AlphaEvolve」を発表。Geminiでアイデアを生成・評価し、進化させていくもので、既に同社のデータセンターや数学分野で成果が出ているという。学術向け早期アクセスを計画中だ。
米Google傘下のGoogle DeepMindは5月14日(現地時間)、AIが自らコンピュータの計算手順やアルゴリズムを発見し、さらに進化させる新しいAIエージェント「AlphaEvolve」を発表した。
AlphaEvolveの目的は、コンピュータサイエンスの基礎となるアルゴリズムや複雑な数学的課題に対する解法を、人間がゼロから開発するのではなく、AI自身が見つけ出し、最適化することにあるという。
このシステムの大まかな流れは、高速な「Gemini Flash」でアイデア候補を生成し、それを「Gemini Pro」が深く洞察して提案することで、アルゴリズムを実装するプログラムを生み出す。このプログラムを、AlphaEvolveに組み込まれた自動評価ツールが検証、実行、スコアリングすることで、アイデアを「進化」させていく。
AlphaEvolveは、既にGoogle内部で多岐にわたる成果を挙げている。例えば、データセンターの効率化では、世界中のコンピューティング資源を平均0.7%継続的に節約できたという。
また、「TPU」の設計でも、AlphaEvolveが提案した回路のコード改善を採用することで開発を加速させている。
コンピューターサイエンスや数学の理論的な分野でも大きな進歩をもたらしている。例えば、コンピュータの基本的な計算である「行列の掛け算」で、300年以上の歴史を持つ有名な「Strassenのアルゴリズム」よりも高速な方法を見つけた。
数学分野の50以上の未解決問題に適用したところ、約75%で既存の最高性能の解法を再発見し、約20%で既存の最高解を改善した。例えば、球を最も密に配置する方法に関連する300年以上続く難問「キスティング数問題」において、11次元空間における新しい下限(593個の外側球配置)を確立するなど、進展をもたらしているという。
Google DeepMindは、学術ユーザー向けにAlphaEvolveの早期アクセスプログラムを計画している。
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