X上で、あるゲームが注目を集めている。その名は「パイレーツアニメクエスト」。5月26日までに、任天堂の公式オンラインストア「マイニンテンドーストア」に登場した。同作は海賊をモチーフにしており、「欲望の海を航海し…禁断の果実を組み合わせて、理想の海賊(女海賊)の心を手に入れよう」と銘打っている。
マイニンテンドーストアの販売ページによると、パイレーツアニメクエストには「ワンボーイの冒険と島のピース」と「ワンガールの冒険と島のピース」の2種類を用意。どちらにも海賊を模したキャラクターが登場する。キャラクターとの選択肢を通じたやりとりと、パズルゲームとみられる「『運命の果実融合』モード」の2つのシステムを切り替えながら操作する仕組みで、ユーザーの選んだ選択肢などにより、複数のエンディングに分かれるという。
同作は22日ごろからX上で注目を集めているのだが、その理由がマンガ「ワンピース」との類似性だ。海賊モチーフという共通点や、「ワンボーイの冒険と島のピース」というタイトルがワンピースを連想させる点、さらにはキャラクターの画風などの点で、似ているとの声が続出。キャラクターについては、一部で「ワンピースの絵をAIに学習させて作ったのでは」など、画像生成AIの利用を指摘する声も出ており、否定的な反応を示すユーザーも見られる。
パイレーツアニメクエストを開発したのは、Red Fablesというメーカー。26日時点で、マイニンテンドーストアでは、37点のゲームを配信。PCゲーム配信プラットフォーム「Steam」では、マイニンテンドーストアにあるゲームと一部重なる9点を配信している。
他方、Steamではゲームの開発にAIを活用した場合、販売ページにその旨を明記する必要がある。Red Fablesのゲームは、全9点のうち、同社の既存ゲームのダウンロードコンテンツ1点を除く8点のページで、生成AIを利用していると記載している。例えば、ゲーム「Dungeon of Love」の販売ページでは「色調補正やライティング、キャラクターのポージングにAIを使用した」と説明している。
こうした点も踏まえてか、パイレーツアニメクエストに対してもAI利用を指摘する声が出ている状況だ。ただし26日時点で、パイレーツアニメクエストはSteamに販売ページがない。マイニンテンドーストアには開発におけるAI活用を示す仕組みはないため、同ゲームが開発にAIを使っているのかは不明だ。
なお、生成AIによって既存の作品に似た画風の画像を生成する行為を巡っては、3月に米OpenAIのChatGPTに画像生成機能が追加され、SNS上で多くのユーザーが“ジブリ風”の画像を生成。一部で権利侵害の可能性を指摘する声が出るなど、波紋を広げていた。これを受け、文部科学省の中原裕彦文部科学戦略官は4月、「(著作権法においては)単に作風・アイデアが類似しているのみであれば、著作権侵害に当たらない」との見解を述べていた。
パイレーツアニメクエストは29日に発売予定。定価は2種類ともに2290円で、6月19日までは60%オフの916円で購入できる。どのようなゲームに仕上がっているのか、興味のあるユーザーはチェックしても良いかもしれない。
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