AIスタートアップ・オルツの不正疑惑 予兆の「フラグ」はあったのか? “数字”から検証:マスクド・アナライズの「AIしてま〜す!」(4/4 ページ)
AIスタートアップのオルツは4月、売上金額の不正が疑われたため調査を行うと発表した。同社は2024年10月に東証グロース市場に株式上場したばかりで、わずか6カ月で問題が発覚したことになる。問題発覚“前”からその予兆はあったのか。
議事録ソフトは売れなかったのか?
この記事を執筆したきっかけは、「AI GIJIROKU」の販売代理店における有料契約の不正計上でした。そこで公開情報であるプレスリリースや決算資料を調べたところ、売上“以外”にも疑問点が生まれました。投資家や株価への影響ばかりを考え、開発の実態が伴っているとは考えづらいプレスリリース、売上に対して異様な割合を占める広告費など、いくつかの“フラグ”が浮き彫りになりました。
これらの情報から、不正の疑いが発覚する前からフラグは立っていたと考察できます。それにしても自社でパーソナルAIやデジタルクローンや大規模言語モデルを開発する技術力があるならば、売上の不正も自慢のAIで見抜いてほしいものです。一方でスタートアップは前人未到の領域に挑む存在であり、失敗に対して嘲笑するものではありません。
もしも今回の売上の架空計上が事実であれば、議事録ソフトはこれまでの公開情報よりも売れていなかったことになります。デジタルクローンやパーソナルAIにおいては、売上につながるような開発段階ではないように思えます。売上がなければ、研究開発を継続できません。この状況で信用を失えば資金調達はできず、研究開発はおろか会社としても存続も危うくなります。
いずれにせよ、同社にとっては正念場。よくあるスタートアップの末路としてここで退場となるのか、もしくは汚名をすすぎ復活を遂げるのか。調査結果の開示が待たれます。
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