速報
AIなのに“うっかりミス”? 「スト6」、数百万人分のプレイ学んだAIプレイヤー「まねもんくん」開発秘話(2/2 ページ)
カプコンは、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2025」で、対戦型格闘ゲーム「ストリートファイター6」のAI対戦機能「Vライバル」の仕組みや開発について紹介する講演を行った。
AIが人間の“うっかりミス”も再現?
AIプレイヤーの学習には、人間のプレイヤーたちのオンライン対戦データを活用した。このデータは、元は対戦のリプレイ動画を作成するためのもので、ユーザーのキー入力情報が含まれている。学習では、特定のキーの入力情報に、その際のキャラの体力や位置といったデータをひも付け。各シチュエーションに対する入力キーを、複数の対戦データから抽出してAIに学習させ、キャラの動きを調整した。
安原氏は、この調整について「『強さよりもらしさ』を大切に作った」と語る。各シチュエーションにおいて、勝つために最善の入力ではなく、人間の“うっかりミス”を含めた実際の入力を反映。ユーザーと実力の拮抗したプレイヤーの動きの再現を図った。
また、フィードバック機能についても「勝ち負けより、昨日の自分より強くなれたかを伝える」ことを重視した。勝ちにつながる可能性の高い「ガード」「対空」「崩し」などの操作を評価項目に設定。できていた操作を褒め、できなかった操作は次の対戦に向けた課題という形でアドバイスする。褒める内容は、ユーザーのランクごとに異なるという。
安原氏は「Vライバルによって、対人戦へのハードルを、自身の程良い成長と向き合いながら楽しむ体験に変えることができた」と振り返る。加えて「これは開発者寄りの目線」として、オンライン対戦という既にあるシステムを中心に開発したことにも言及。「比較的コストを抑えながら機能を実現できた」と明かした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
セガが「ローカルLLM」業務活用 不適切発言のチェックツールなど内製、効果は?
セガがローカルLLMの業務活用を進めている。カスタマイズのしやすさやコストの低減を見込み、ローカルLLMを使ったツールを内製。開発用のハイスペックPCが多いというゲーム会社の利点を生かしつつ、ローカライズやゲームプレイヤーの不適切発言のチェックに活用しているという。
「生成AI=悪ではない」――セガ、ゲーム開発でAI活用するための取り組みを紹介 “安心安全”担う方法とは?
セガは、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2025」で、同社の生成AI活用のガバナンス体制を紹介する講演を実施した。リスクを抑えながら、AIを効果的に活用するための取り組みを解説した。
Yahoo!きっず、生成AIで“オリジナルゲーム”が作れる「AIでゲームつくりエイター」提供開始
LINEヤフーは、子ども向けポータルサイト「Yahoo!きっず」上で、生成AIを活用したゲーム制作ができる「AIでゲームつくりエイター」の提供を始めた。
「安心安全に生成AIを使おう!」 セガ、ゲーム開発者会議「CEDEC」で講演 社内の知見シェア
コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が7月22〜24日にパシフィコ横浜で開催するゲーム開発者カンファレンス「CEDEC2025」で、セガが社内の生成AI活用について講演する。CESAが6月2日に公開したタイムテーブルから明らかになった。
「1番大切なのはAIに負けないこと」――ゲーム「東方」最新作でAIを使った理由は? ZUNさんが明かす
ゲームを中心とした作品群「東方Project」シリーズを手掛ける同人サークル「上海アリス幻樂団」主宰のZUNさんは、新作ゲーム「東方錦上京 Fossilized Wonders.」で生成AIを使用した理由を明かした。




