iPhone 4のアンテナの欠陥をいまだ認めないApple(2/2 ページ)
Appleは依然として、iPhone 4のアンテナ設計でへまをやったことを認めようとしていない。このままでは、同社の評判を傷つけ、集団訴訟を指揮する弁護士の懐をふくらませることになる。
iPhone 4の問題は単純だ。本体側面下部にあるプラスチックの絶縁体の両側の金属部分に手で触れると、アンテナの特性が変わってしまう。正確にどう変わるかは、手の表面の導電性の度合いによる。手が乾いていれば、濡れている場合よりも変化は少ないかもしれない。だが、どちらにしても変化はある。その変化でアンテナの効率が落ち、受信感度が低下する。電波状態が悪ければ、通信が途切れる可能性が高い。
これはまったく不思議なことではない。技術者は、マロン・ルーミスが南北戦争時代に無線電信を発明したときから、アンテナを設計している。もちろん、ルーミスはアンテナ設計を決定する共振の概念を理解していなかったが、それを利用していた。言い換えれば、Appleの技術者でもどの会社の技術者でも、端末の縁に金属アンテナを露出させればユーザーの手が触れることになり、それが電波感度に影響するという事実を見逃したら言い訳はできないということだ。
それに、薄いプラスチックの層でアンテナを保護すれば、そうした問題を防げることにAppleの技術者が思い至らなかったわけがない。わたしが1984年に初めての自分のアンテナ設計を発表したとき、その重要な特徴の1つはアンテナ部品を保護するプラスチック層だった。当時でさえ、これは秘密でも何でもなかった。もちろん、それでもユーザーの手が触れれば、静電容量が変化してアンテナ性能に影響が出る。だが、わずかに離れた2つのアンテナ部品の間に中度から高度の電気抵抗がある場合ほどには変化しないだろう。
では、ダクトテープをはるくらい簡単に対処できるのに、Appleはなぜ対策を取らなかったのだろうか? 同社のエンジニアに分別がなかったのかもしれないが、わたしが思うに、対策を取っていたらもう数セントの費用がかかり、iPhone 4の幅がもう数ミリ広くなっていたのだろう。スティーブ・ジョブズ氏でも誰でも、端末のクールさを判定する人に、あまりかっこよくなく見えたのかもしれない。だが、そうしていればiPhone 4はちゃんと機能していただろう。
そして今、Appleはユーザーの持ち方が間違っていると非難するという間違いを犯している。それから、すべての携帯電話は持ち方によって(電波感度に)影響が出ると主張している。その通りなのだが、iPhone 4ほど大きく影響が出ることはない。これは純然たるエンジニアリングの失敗だ。Appleがこのままミスを認めなければ、高品質な製品を設計する企業という評判に傷を付け、集団訴訟を指揮する弁護士を富ませることになるだろう。だが、同社がやろうとしないのが、顧客を公正に扱うことだ。それが何より最大の過ちだ。
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