ITプロセスコンサルタント 細川義洋

IT訴訟事例を例にとり、システム開発にまつわるトラブルの予防と対策法を解説する本連載。今回は特別編として、IT紛争の回避と解決のプロフェッショナルであり、IT小説のクリエーターでもある細川義洋氏が、「セクシー田中さんドラマ化」問題を解説する。

「お前らはセンスを持ち合わせていないのか」「自分がこの部屋から出て行ったら終わりだぞ」。担当プロジェクトが遅延し、ユーザー企業担当者から責められ体調を崩したベンダーのエンジニア。その原因は、ユーザー企業、ベンダー、どちらにあるのか――。

ユーザー企業が作った仕様書に抜け漏れがあり、その通りに作ったシステムが使いものにならなかった。悪いのは、ベンダー、ユーザー企業、どちらなのか？

顧客企業のプロジェクトのために下請け企業が用意したのは、プログラミングのいろはも知らないエンジニア。結局、契約期間途中で退場することになったが、責任は誰が取るべきなのか――。

仕様確定が遅れ、プログラム数が大幅に増え、スケジュールが2カ月以上遅れ、しかも納期順守を求められたプロジェクト。そこに従事するエンジニアがある日、遺体で見つかった――。

発注者は請負だと思い、受注者は準委任だと思って進めていたシステム開発プロジェクト。だがトラブルが起きて契約書を見直してみると、請負、準委任、どちらの文字も書面になかった。トラブルの責任はどちらが負うべきなのだろうか。

移管と再構築を行ったデータセンターから大量の個人情報漏えいの可能性が発生した。損害賠償を求める発注者、セキュリティ機器の設定は契約外と主張するベンダー。契約書に書かれていない要件の不備は、どちらの責任になるのか――。

準委任契約で要件定義を行い、請負契約で設計以降を行ったシステムが使用に耐えないものだった。悪いのはベンダー、ユーザー、どっち――？

システム開発プロジェクトの途中で認識の齟齬が発生したベンダーとユーザー企業。至急の打ち合わせを求めるユーザー企業にダンマリを決め込んだベンダーは、その後、大変なことになる。

担当者の急逝によって所在が分からなくなったソースコードを引き渡せとせまられたベンダー。契約書に記載されていない納品物を渡す義務は果たしてあるのだろうか――。

ソフトウェアを転売しても窃盗罪には当たらないんだってね。じゃあ、アクティベーション回避プログラムをじゃんじゃん売っちゃおうぜ。

パワハラにより退職に追い込まれた元社員vs.あることないことWebに書かれた企業。真実はどこにあるのか――。

社長同士のトップ営業で決まったシステム案件。だが、出来上がったシステムには不具合が多く、社長たちの信頼関係にも不具合が発生。この契約、解除できるのか――!?

社員が同僚を全員引き連れて転職し、顧客も奪われてしまったために支社を閉鎖せざるを得なくなったソフトウェア開発企業。泣き寝入りするしかないのか？　ないのか？　ないのかー!?

個別面談し、業務も軽減し、医者との面談も行い、実家を訪問して治療方針の進言もしてきました。でも、従業員は病気になってしまいました。これ以上、どうすればよかったのでしょうか……。

はーい、読者のみんな。アタシ、江里口美咲。他の連載の登場人物だけど、IT訴訟解説が連載100回を迎えたって聞いて、お祝いに駆け付けたわよ。

既製品でいいと思ったけど、やっぱりあれも付け足して、これも変更して。いや、いっそ根本からまるっとこちらの希望に合わせてよ。

会社から資格取得支援金をもらって、CCNPとOracle Masterを取得したエンジニア。退職時に支援金の返却を求められたが、応じるべきなのだろうか――。

毎日のように怒鳴られ、発言を禁止され、最後はコスト削減のためにリストラされた。この恨み、晴らさでおくべきか！

わが子同然にかわいがってきた社員を奪われて、夜も眠れません。まあ、近いうちに事業譲渡するつもりだったんですけどね。

基本設計がFIXしない状態のまま完成したシステム。基本契約と個別契約、どこまでが支払い対象と認められるのか――？

業者がイーサリアムの売買を停止したから3500万円損をした。「NEMが流出したから」だなんて言い訳は許さん！

昭和の経営者は、社員のことを一生面倒見るつもりで雇用してきたじゃないか。それなのに、たった数年評価が低いだけで解雇だなんて……！

民間人材の登用、標準ガイドラインや工程レビュー。政府は健全なベンダーマネジメントを行うためにさまざまな施策を行ってきた。だがしかし、1番大きな問題がまだ残っている。

マイナポータルの不具合、1円入札、COCOAのゴタゴタ──失敗の宝庫ともいえる政府ITの失敗と改善の歴史から、ベンダーマネジメントの勘所を学ぼう。

説明拒否、確認拒否、追加開発強要、契約なし――協力義務違反の展覧会のようなユーザー企業に対して、ベンダーの専門家責任はどこまで求められるのか。

要件定義から製造までまるっと一括で請け負ったベンダー。後だし要件に対応する義務はありや、なきや――？

ユーザーが持ち込んだソフトウェアにセキュリティの不備があった。「知らんがな」と言いたいところだが、訴えられてしまったら仕方がない。戦いましょう！

契約したのは弊社ですが、セキュリティホールを作ったのは従業員です。悪いのはアイツです！

えっ？　システムが実用的でないって？　でも、要件を決めたのはあなたでしょう？

ユーザー企業が契約範囲外の作業を行わせたり、不合理な方針変更をしたりして頓挫したプロジェクト。だがユーザー企業は、責任はベンダーにあるとして、20億円の支払いを要求した。

納品物のデキが悪いからと発注者が検収を放棄。合否が伝えられないまま「みなし検収」の期間を過ぎたシステムの開発費用を、ベンダーは支払ってもらえるのか――？

上からの指示に従い、個人で判断できる範囲はごくわずか。もちろん、残業代の支払いはなし。これ、本当に裁量労働制なんですか――？

2021年秋に始動するデジタル庁創設など、政府のデジタル改革に注目が集まっています。デジタル改革の実現でどのような課題解決が期待されているのか。また、霞が関で注目されている「ベースレジストリ」を解説します。

言った言わないではなく、言わない言わないの揚げ句、プロジェクトが頓挫。こんなシステムにお金は払えません！

埋められないパッケージソフトと業務の差、それは不具合なのか仕様なのか、悪いのはベンダー、ユーザー、どっち――？

政府のデジタルトランスフォーメーション（DX）を考え、民間企業にも通じる知見を共有する本連載。今回は政府が作成し、ガバナンス強化のために活用している「デジタルガバメント推進標準ガイドライン群」を解説します。

俺がコツコツ集めて無償で公開したデータを使って商売するなんて、ふてえ野郎だ！

デジタル庁創設や脱ハンコなど、政府のデジタル改革に注目が集まっていますが、その必要性は以前から訴えられてきました。今回注目されているデジタル改革は今までと何が違うのか。政府CIO補佐官として活動する筆者が、デジタル改革の現状、目指しているゴールを解説します。

イツワ銀行内で横行していた偽装請負は頭取の知るところとなり、事態は改善され行内の関係者は更迭された。もう一方の主犯格、サンリーブスの布川は逃げ切れるのか――。

偽装請負を率先して享受することで会社を大きくしてきた新興ベンダー「サンリーブス」。創業社長の思惑は――。

偽装請負に苦しむ先輩を助けるために、白瀬が乗り込んだのはユーザー企業の法務部だった。そのころ江里口はある老人を訪ねていた――。

契約外で行った作業のミスが元で地獄と化したプロジェクト現場。倒れるエンジニア、姿をくらます経営者。孤立無援のプロマネに救いの手は来るのか――？

不幸にも中断してしまったプロジェクト。納品も検収もまだだけど、ベンダーは代金を回収できるのか？

新興ベンダーが契約外作業で手伝ったシステムでデータが消失した。責任は誰が？　補填（ほてん）はどこが――？

契約外作業の依頼をやめない担当者に業を煮やしたベンダーのプロマネは担当者の上司に直訴。このアクション、吉とでるか凶とでるか、果たして――。

会社の方針で契約外作業も積極的に行っているベンダーのメンバーは、本業がピンチなのにサービスをやめようとしない。みんな「ゆでガエル」なんじゃない？

イツワ銀行の勘定系システム刷新プロジェクトで、テストデータが消えた。その原因は……？

偽装請負が横行する銀行の勘定系システム刷新プロジェクト。ベンダーのプロマネは契約外作業の依頼を止めてくれるよう銀行の担当者にお願いするが……。

勤怠に問題があるメンバーの遅刻の原因は、（ある意味）サービスな残業だった――。