「もうプロンプトは書かない」 Claude Code生みの親が明かす“ループエンジニアリング”の衝撃(1/4 ページ)
「もうClaudeにプロンプトを打っていない。私の仕事はループを書くことだ」――。対話型コーディングツールの生みの親ボリス・チェルニー氏らがたどり着いたのは、人間が指示する役から退き、AI自身が仕事を回す「ループエンジニアリング」だった。指示文を書く時代はわずか2年で終焉へ。莫大なトークン消費や暴走リスクを抱えつつも、コーディングから全ビジネスへと広がるAI新時代の働き方に迫る。
「私はもうClaudeにプロンプトを打っていない。ループが走っていて、そのループがClaudeにプロンプトを打ち、何をすべきか判断している。私の仕事はループを書くことだ」――。
AIコーディングツールの代名詞となった「Claude Code」を生んだ米Anthropic(アンソロピック)のボリス・チェルニー(Boris Cherny)氏が、今春のカンファレンス登壇やメディアインタビューで繰り返しこう語った。
AIとの対話ツールを作った本人が、AIに話しかけることをやめたというのだ。同氏は2026年に入ってから自分では1行もコードを書いておらず、スマートフォンから1日に何十本ものプルリクエスト(コード変更の提案)を出して承認しているだけだという。
プロンプトを書くのではなく、AIが自律的に仕事を回し続ける「ループ」を設計する。この新しい仕事のやり方は「ループエンジニアリング」と名付けられ、米シリコンバレーの技術者コミュニティで話題となっている。
「プロンプトを打つな」が500万表示 短い投稿が火をつけた
議論が爆発したのは6月上旬だ。
オープンソースのAIエージェント「OpenClaw」の開発者として知られ、現在は米OpenAI社に籍を置くピーター・スタインバーガー(Peter Steinberger)氏が、X上にこう投稿した。
「もうコーディングエージェントにプロンプトを打つべきではない。エージェントにプロンプトを打つループを設計すべきだ」
この投稿は24時間足らずで500万ビューに達したとされ、AI開発者のタイムラインは「ループとは何か」を巡る議論一色になった。
その数日前から、冒頭で紹介したチェルニー氏の発言も、Xで急速に拡散していた。AnthropicとOpenAI。競合する2つのAI企業の、それぞれ看板ツールを作った実務家が、示し合わせたわけでもなく、同じ結論に達していたのだ。
概念を整理したのは米Googleのエンジニアリングリーダー、アディ・オスマニ(Addy Osmani)氏だ。同氏が発表したエッセイ「Loop Engineering」は、この新しい働き方に明確な定義を与え、決定版の解説として広く読まれている。
さらにAI業界で影響力のあるニュースレター「Latent Space」が、スタインバーガー氏、チェルニー氏、そして元OpenAIの著名研究者アンドレイ・カルパシー(Andrej Karpathy)氏の動きを「Loopcraft」(ループ職人術)という言葉で一つの潮流としてまとめ、概念は一気に市民権を得た。
AI教育の第一人者アンドリュー・エン(Andrew Ng)氏も「ループエンジニアリングはホットなバズフレーズになった」と反応し、自身のループ論を展開している。
© エクサウィザーズ AI新聞
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