パフォーマンスが落ちた40代社員、理由は「怠慢」か? 組織を惑わすミッドライフクライシス:働き方の見取り図(1/3 ページ)
40〜50代になると「このままでいいのか……」と将来への不安を感じる人は少なくない。こうした心の揺らぎは「ミッドライフクライシス」と呼ばれるが、その要因には、個人の問題にとどまらない働き方や社会構造の変化がある。ミドル層に何が起きているのか。その実態と構造を読み解く。
人事異動や新入社員の受け入れなど、4月を迎え、新しい期が始まると、変化を感じることが多くなります。視点を広げて人生全体を眺めると、さまざまな変化を感じる節目があります。最近、目にする機会が増えたミッドライフクライシスもその一つです。
主に40〜50代の人生の転換期に生じる不安や葛藤を指す言葉で、「中年の危機」と訳されたり「第二の思春期」と言われたりします。40〜50代のミドル層といえば、会社の中で職位や給与がピークに達する一方、定年を迎えるまでのカウントダウンが始まるなど、大きな転換を迎える時期です。
しかし、いまは再雇用や定年延長などで60歳以上でも働き続ける人が少なくありません。シニア層になってからのセカンドキャリアを視野に入れた時、ミッドライフクライシスを認識しておくことは、ミドル層にとってどんな意味があるのでしょうか。この問いを整理していくと、個人に起こる変化だけでなく社会の構造変化との関連性も見えてきます。
著者プロフィール:川上敬太郎(かわかみ・けいたろう)
ワークスタイル研究家/しゅふJOB総研 研究顧問/4児の父・兼業主夫
愛知大学文学部卒業。雇用労働分野に20年以上携わり、人材サービス企業、業界専門誌『月刊人材ビジネス』他で事業責任者・経営企画・人事・広報部門等の役員・管理職を歴任。
所長として立ち上げた調査機関『しゅふJOB総研』では、仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層を中心にのべ5万人以上の声をレポート。
NHK「あさイチ」「クローズアップ現代」他メディア出演多数。
気付かないまま直面している「ミッドライフクライシス」の実態
ミッドライフクライシスという言葉は1960年代には既に存在していましたが、認知度は必ずしも高くはなかったようです。
私が研究顧問を務める「しゅふJOB総研」が、仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層を対象に1月に実施した調査では、6割以上の人が言葉も内容も知らないと答えました。言葉自体は昭和時代からあるにもかかわらず、令和になったいまも広く浸透しているとは言い難い状況にあります。
言葉が広がりにくい理由の一つに、ミッドライフクライシスという概念の分かりにくさがあるのかもしれません。同じくミドル層に見られる「更年期障害」は、ホルモンバランスの変化によって生じるとされる医学用語です。一方のミッドライフクライシスは心理学用語で、客観的な判定基準がないため、本人も周囲も認識しづらい側面があります。
ただ、先ほどの調査でミッドライフクライシスを感じたことがあるかどうか尋ねると、「明確にある」と「あるかもしれない」を合わせた人の割合は、30代以下で2割、60代以上は4割程度だったのに対し、40代と50代は6割と、相対的に高い結果となりました。この結果からも、ミドル層にはミッドライフクライシスを感じやすい傾向があることがうかがえます。
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