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30代後半は「捨て駒」なのか? 新卒&シニアへの大盤振る舞いの陰で広がる「働き盛り」の絶望感の正体河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/4 ページ)

今年の春闘では新卒初任給アップやシニアの待遇改善といった動きが目立ちました。そんな中、働き盛りであるダブル氷河期世代へは目は向けられていません。

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著者:河合薫

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了。千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。その後、東京大学大学院医学系研究科に進学し、現在に至る。研究テーマは「人の働き方は環境がつくる」。


 今年も全く実感を伴わない“アノ言葉”が、メディアと経済界を席巻しています。「賃上げ」です。毎度毎度ではあるけれど、この春もメディアでは「賃上げ」「満額」「過去最高」など、景気のいい言葉が連日連夜報じられています。

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「賃上げ」「満額」「過去最高」など、景気のいい言葉が連日連夜報じられているが……(提供:ゲッティイメージズ)

 全日本金属産業労働組合協議会(金属労協)は平均賃上げ額が統計開始以降、過去最高の1万5450円に達したと発表しました。ホンダも1万8500円の要求に対し満額回答。スズキは月1万9000円の要求に対し、まさかの2万500円と要求を超える「回答」です。

 経団連の筒井義信会長は、春闘で大企業を中心に満額回答が相次いでいることについて「各社の労使がベースアップ実施を真摯に検討した結果だ」と評価し、経団連が企業に呼び掛けてきた「人への投資が企業価値を向上させる」というメッセージが着実に浸透していると自賛しました。

 連合の2026年春闘の要求集計によれば、定期昇給相当分を含む賃上げ要求は平均 5.94%(1万9506円)。3年連続で5%を超える高水準を維持しています。

 企業が続々と賃金をアップする背景には「若手争奪戦」の影響もあってのこと。なにせ初任給は年々上がり続け、ついには40万円突破も相次ぎました。サイバーエージェント42万円、サイボウズ40万円、家電量販店ノジマは勤務評定が高い自社アルバイトに40万円の採用枠を設けました。ファーストリテイリングでも現行から約12%増の37万円です。

 この初任給バブルに「追いつけ! 追い越せ!」とばかりに、春闘でも「新卒の賃金あげます宣言」が相次ぎました。三菱UFJ銀行、三井住友銀行、広島銀行、パナソニックグループ、三菱電機、東芝、シャープなど多種多様な企業が「新人ようこそ! 我が社へようこそ!」と万札片手に、呼び込みを加速しています。

 さらには、今回の春闘では、シニアの待遇改善に動いた企業も目立ちました。

 セコム、住友生命、バンダイ、三菱UFJ銀行などが、年収の引き上げを明言。私は散々「シニア社員の経験と暗黙知を評価しない企業に未来はない」と言い続けてきましたので、やっと、本当にやっと、技術・スキルを持つシニア層の価値が評価され、この点は良かったとつくづく思います。

 そんな中「納得いかない、なぜ、自分たちは排除され続けるのか?」と不満をもらす年代の人たちがいます。50代に突入した「氷河期世代」と「リーマン氷河期(第二次氷河期)」と呼ばれる30代後半の社員たちです。

 若手の育成やトラブル対応など、現場では重い責任を背負わされているのに、賃金が上がらない。これらの層への投資が進まない背景には、経営者の残念な勘違いがあります。

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