相づちで会話をリードするには?【解決編】:シゴトハック研究所
会話をリードする──というと流暢に話すための話術を思い浮かべるかもしれません。しかし、相づちの打ち方1つでも、相手を動かすことにつながるのです。
今回の課題
相づちで会話をリードするには?
コツ:相づちで、相手に関心があることを伝える
会話においては、一方的に話をするより上手な聞き役を務めることが、コミュニケーションを円滑に進める上で大切です。とはいえ、聞き役に徹するうちについつい聞き流してしまうことは好ましくありません。少なくとも、「あまり身を入れて聞いてくれていないな……」と相手に疑念を抱かれるようでは、会話がしらけてしまうでしょう。
もちろん、話好きの人と話しているような場合であれば、相手に押されるばかりで、なかなか自分の話を切り出すことが難しく、結果として「相づち」ばかりになってしまうことはあるかもしれません。しかし、「なるほど」とか「勉強になります」といった、決まり切った相づちを繰り返し打つだけでは、話す方も張り合いがありません。
そこで、相づちをうまく打つことが必要になってきます。今回は相づちをうまく打つことによって、会話をリードする方法について考えてみます。
相手の話に関心を持っていることを伝える
ポイントは、相手の話に関心を持っているというメッセージを相づちに込めることです。
問題は「なるほど」や「勉強になります」といった言葉自体ではなく、これらの言葉を機械的に繰り返してしまうことにあります。それによって「話に関心を持っていない」ことが伝わってしまいかねないからです。
例えば、話し手が何かについて説明をしている際に、「なるほど」と応えるのは、「合点がいった」という意味で使うことが多く、普通は同意を示します。であれば、次のように言い換えることもできるでしょう。
「そういえば、確かにそうですね」
文脈にもよるでしょうが、ただ「なるほど」とうなずくだけよりも、相手の話をよく聞いているという印象を与えることができます。
さらに、
「どうしてそうなるんですか?」
と疑問を差し挟むことで、会話が双方向的に交わされていることを表すことができます。
あるいは、
「こういう場合はどうなりますか?」
という、応用を意図した質問をすることで、相手に対してあなたの関心の高さを示すことになりますから、相手の話し続けるモチベーションも高まるでしょう。
ただし、話の腰を折ってしまっては本末転倒ですから、つっこむべきか、とりあえず黙って聞いておくべきかの判断は慎重を期す必要があります。これについては、場数を踏んで“空気”のストックを増やしていくしかないでしょう。
「相づち」でも、いっていることの意図を意識する
会話とは、コミュニケートしている人々が、積極的に「参加している」ことを前提として成立します。その前提を確かなものにするのは、発言者が内容を意図している場合です。もっと簡単にいえば、当たり前のようですが、思っていることを喋っているかどうかです。
社交辞令の意味で、「それほどたいしたことはないな」と思うようなアイデアでも「すごい発想ですね!」などと持ち上げることはあるでしょう。それでも、社交辞令には「聞き手の気分を良くする」という明確な意図があります。
逆に「なるほど」を惰性で繰り返してしまうときには、何の意図もないことがあります。相手によっては、「あまり興味がないのだろうか?」、あるいは「早く帰りたいのだろうか?」といった不穏な気持ちを抱かせてしまうこともあるでしょう。
こういった発話の“無方向性”が、会話の成立前提を不確かなものにしてしまうのです。意図している内容をうまく発信できないこともあるでしょうが、まずは、判で押したように全く同じ相づちを繰り返すのを控えるようにすることです。その代わりに、慣れるまでは多少の違和感はあるかもしれませんが、できるだけ自分の意図に沿った表現を心がけるようにします。
こうすることで、相手は「ちゃんと聞いてくれているんだな」という安心感とともに気持ちよく話すことができるでしょう。スマートでそつのない相づちよりも、多少ぎこちなくとも、それによって懸命に聞いているという熱意が伝わる方が、結果として相手に多くを語らせる、ひいては相手を動かすことにつながるはずです。
日々の仕事の中で、このようなちょっとした工夫を積み重ねていくことが、会話をリードできるようになる──というゴールへの最短ルートとなるわけです。
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