デジタルツールを使ったメモの一元化はうまくいかない :シゴトハッカーズ(2/2 ページ)
いろんなところに書き連ねたメモ。何に書いたっけ? とメモを探したことのある人なら、“一元化”しかも“デジタルツールで”という夢を持ったことがあるでしょう。では、メモ整理の達人の2人が行っている方法とは?
アナログなメモを使いこなす(佐々木正悟)
メモというのは便利なものです。頭で何もかも覚えておかなくても、用事やアイデアを必要に応じて用意することができますし、一度に100の用事をリストアップし、済ませるといった芸当も可能にしてくれます。
そんな便利なメモですが、白紙にペンがあればどこでも書き落とすことができるという大きなメリットが、逆にデメリットになってしまうこともあります。いうまでもなく、書いてもなくしてしまったり、たくさんメモを取りすぎて、必要なメモが不要なメモにまぎれて見つからなくなったりするからです。
そこでメモは一元化しろ――。すなわち一冊ノートだけを使って、そこにすべて書き込むようにすればうまくいく、といった方法がいろいろな方から提唱されています。たしかに一冊にすべてのメモを書き込んでいけば、紛失することはなくなるかもしれません。しかし、すべてのメモを一冊のノートに書き込んでしまうと、必要なメモの検索がいっそう難しくなる、という問題が発生します。
しかも、今では仕事にせよ知的生産にせよ、PCやインターネット上で行っていることがほとんどの時代です。いきおいメモも、PCやネット上で記録したくなります。例えばネット上で見つけたものについてコメントするとき、わざわざノートを取り出してそれに書き込むというのは、かなり不自然な作業です。
そうすると、やはりどこにでも小型のPCなどを持ち歩いていたくなります。そしてメモはすべてデジタル化したいという気持ちになります。そうすればいくらでもメモが取れて、あとから瞬時に検索できるという巨大なメリットを享受できるのです。すなわち紙のメモをやめて、デジタルノートの方に一元化してしまうのです。
デジタルへの一元化はうまくいかない
このやり方は一見うまくいきそうですが、紙からすべてをデジタルに移行しようとしても、実際にはうまくいきません。まず、デジタル機器は紙と違って、即座に入力可能な状態になりません。それから、落としたり水に濡らしたりすると壊れるという欠点があります。バッテリーが切れると使えません。紙のメモでは考えられない脆弱(ぜいじゃく)性が、デジタル機器にはついて回ります。
以上のアナログ・デジタルのメリットとデメリットをかんがみて、大橋さんはアナログメモはロディアに一元化することを、筆者はMVPenを使うようにしています。そうすることで2人とも、ある程度までアナログとデジタルの、両方のメリットを享受し、欠陥をカバーできています。
まずロディアの方ですが、少なくとも紙にメモを取る分については、これで一元化できます。ロディアのメモは小型で軽量なので、どこにでも持ち込めますし、取るのに場所は選びません。それに、一冊80シートなので、あとから全部を検索しても、それほど時間はかかりません。大橋さんのように、メモの端にタグをつけておくと、検索が容易になるでしょう。
筆者は、MVPenというデジタルペンを使っているのですが、このやり方でもほとんど場所を選ばずに、アナログのメモを取ることが可能です。紙を選ばないので、チラシの裏でもかまわないわけです。旅行に行ってもホテルでは、たいていメモ用紙を使えます。
メモは書いたらその場で捨てても、ペンに付属するユニットがデータを記録しておいてくれます。それをUSBでPCとつなぐことで、メモの内容をすべて再現できるというアイテムです。
メモは少なからずその場で捨ててしまうことも多いでしょう。買いものメモなどはそうです。それに、書き込んだときには「すごいアイデアだ!」などと思っても、1日おいてみるとゴミ箱へ捨ててしまって惜しくないような内容だったりします。つまり、アナログでメモをしても、冷静になってみれば、デジタル化して後々検索したいほどのものは、それほど多くはないのです。
これはよいことで、ロディアに記録したものであれ、MVPenで記録したものであれ、結局はテキストデータではないために、そのままでは全文検索の対象ではありません。そうしたければ、転記が必要なわけです。しかし、転記する量は少ない方がいいに決まっています。数日おくことで、転記が必要なメモの数を絞ることもできるわけです。
この流れで、基本的にはアナログとデジタルの、両方のいいとこ取りをしたメモ管理ができるようになっています。しかも、必要なものは検索の対象にもなっています。ポイントは、無理にデジタルとアナログのどちらかに統一しないことです。皆さんも、ご自分の環境に最適なメモハックを見つけてみてください。
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