検索
連載

失敗したときに立ち直る方法を知るのだシゴトハッカーズ(4/4 ページ)

失敗して立ち直れない……ってことありますよね。達人の2人は、そんなときに立ち直るための実践的な方法を編み出して使っています。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

「腹立たしい」時は「忘れる」か「スッキリする」か

 生きていればいやなことは当然ありますし、まして社会人として仕事をしている限り、ストレスを感じさせるアクシデントに、全く無縁でいるというわけにはいきません。

 「ストレスは必ずしも悪ではない」という意見がたくさんあることは承知していますが、個人的見解では、ストレスというものは原則として悪いものだと思っています。特に現代のように、精神にどのような影響を与えるかわからない、真新しい環境に囲まれる時代では、あっという間にストレス過多になってしまう恐れが十分にあると思います。

 そんな状況にあって、ネガティブな出来事をいつまでも覚えていて、精神的苦痛に悶々(もんもん)とするのは耐えがたいことです。できるだけサッサと忘れ去ることができれば、それに越したことはないでしょう。

 その目的で私(佐々木)と大橋さんがやっていることは、一見違うようですが、共通点がいくつかあります。

 共通点とは、「書き出す」というやり方であること。それから、自己完結的なため、火に油を注ぐ結果になる怖れがない点です。腹を立てたなら抗議をしたり、自分の言い分を相手にはっきり伝えることが必要な場合ももちろんあるでしょう。しかしそれは最終手段です。いつもいつもそのような手段に訴えていては、心が休まらなくなってしまいます。

 もちろん同じ「事件について書く」「自己完結的」な方法とは言え、大きな違いもあります。端的にいって私の方法は「忘れること」に主眼あり、大橋さんの方法は「留飲を下げる」ことが目標なのです。

書き留めれば忘れられる、書き出せば疑似体験できる

 まずは私の方法ですが、「忘れる」というのはつまり、脳が「覚えておく努力」を怠れば、自然とそうなるのです。「いやなこと」が忘れがたいのは、「同じ目に遭うことがないように」と脳が「記憶に努める」からです。対談でも述べたとおり、「それなら書きとめてしまうから忘れても問題なし」というメッセージを送ってあげれば、脳は記憶する努力をやめるので、忘れてしまいます。

 どんな事件にせよ、忘れてしまえば、そのことでいやな気持ちになる理由はなくなるのです。

 次に大橋さんの方法は、単に書き出して忘れるだけではなく、疑似体験をすることで「すっとする」という考え方です。腹立たしい思いをさせられた時、当の相手に「メールを出した」という体験を疑似的に得ることによって、「思いのたけをぶつけた」というカタルシスを得るわけです。

 そんな方法で、本当に気持ちがスッキリするのかという疑問を持つ方もいるでしょうが、十分に効果的だと考えられます。

 社会心理学者がよく指摘するとおり、私たちは「演技と現実の区別を忘れる」動物です。恋人との別れの場面で涙している女優さんは、現実に何が起きているわけではないはずでも、本当に悲しくなっているのです。そうした例はいくらでもあります。例えば、実験的に囚人役と看守役に人々を分けて活動させると、囚人役はどんどん精神的に弱っていき、看守役はサディスティックになっていくのです。

 このように、それが単に「演技」や「ふり」なのか、それとも「本当」なのかを、感情的に区別するのは、難しいことなのです。したがって、疑似的に怒りのメールを送ったことにするだけでも、本当に実行した気持ちになって、留飲を下げることもできるわけです。

関連キーワード

ストレス | | ノート | 不安 | 失敗 | 心理学


前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る