人と会ったらお礼のメールを出すのだ :シゴトハッカーズ(4/4 ページ)
人と会ったらお礼のメールを返そう、というのはよくいわれますが、なかなか実行は難しいもの。その心理的ハードルを下げて、うまく実行するコツを達人2人に聞きました。
準備しておいただけで、メールが書きやすくなる理由
大橋さんが、「パーティーに行く前にメールを出す準備をしておく」と言っていますが、この程度のことで、メールを出しやすくなるというのは、不思議に思えるかもしれません。
しかし、人間の取りかかり前に感じる「面倒くささ」というのは不思議なほど悪影響を及ぼすものです。お礼のメールを書くとなると、心理的な抵抗を感じる、という人は少なくありません。メールを書く意義、メールを出す必要性、メールを出すことのメリット、などなどをしっかりと認識しているという人ですら「実はちょっと大変」なのです。
そんなわけの分からない大儀さが、始めと終わりの部分を書いておくだけで、緩和される。それも結構大きく緩和されます。なぜかというと、あて先と書き出しが決まっていることで、メールをどのように書き出し、どんなことを書くかがとてもはっきりしていくからです。書いているうちに、むしろいろいろなことを書きたくなることもよくあります。
メールを書き始める前は、ほかのことをするように脳が「最適化」されていたのです。しかしメールを書き出せば、メールを書くように脳の「態勢」が変化していきます。両者を隔てる、そのすき間が問題なのです。ネットブラウズする「態勢」とメールを書く「態勢」とは違うのです。その切り替え時こそ、心理的には一番エネルギーを必要とします。
そこで、あて先、書き出しなどを事前に準備しておく。できればアプリケーションの切り替えなどもしなくて済むように、自動的にポップアップするよう仕掛けておく。そこまですれば「ちょっとした大変さ」を大いに軽減することができます。
心理学ではこれを、プライミング効果と呼んだりします。コーヒーの銘柄名は、フィットネスクラブよりも、喫茶店でのほうが思い出しやすいのです。人間が生物であってコンピュータではない証拠でしょう。まず「何か」が始まってしまうと、続けて何かをするのは、比較的容易になるというわけです。
何事も、一から始めるのは大変だということです。だからこそ、「一から始めた」ときには、1.2くらいで終わってしまえると、楽なのです。そして次に始めるときには、1からではなく1.2から続けられると、やはり楽なのです。大橋さんのメールを書き出しておくのは、この応用です。
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