ビジネス文書、活用のための電子化で考える4つのこと:紙、時間、空間――3つの無駄をなくす文書管理(2/2 ページ)
「紙、空間、時間 3つの無駄をなくす文書管理」をテーマに、現場の生産性や効率を向上させる文書管理を考える2009年2月の総務特集。選別、入力、検索などの観点から活用できる電子化を考える。
ファイル形式は作成中と完成形で分ける
活用を考えるなら、保存したファイル形式も気にしたい。WordやExcel、PowerPointなどのOfficeファイルの形式で完成したファイルを保存すると、後から改ざんしやすい。「例えば、完成したらPDFにする、というルールを作る」(津山さん)。
PDFも改ざんできないわけではないが、一般的に導入されているOfficeソフトに比べたらPDFの編集ソフトの導入率は低いし、「Adobe Acrobat 9」などのPDF作成ソフトを利用した場合、閲覧や編集などの制限も付けられるからだ。また若干コストはかかるが、マイクロソフトの「Office SharePoint Server 2007」を導入すれば、作成中のOfficeファイルを検索でヒットさせないようにもできるという。
なお、PDF化するメリットはほかにもある。例えばバージョンの異なるOfficeファイル。Office 2007で作成したファイルは、Word 2007では「.docx」というようにそれまでのWordとは異なるファイル形式で保存する。.docx形式のファイルをWord 2003以前のバージョンで読み込むには、マイクロソフトのWebサイトで閲覧/編集用の対応プログラムを別途ダウンロードし、インストールする必要があるのだ。もちろん、インストールすれば問題なく見られるが、必ずしもすべての人がインストールしているわけではない。大事な顧客なのに「このファイル、見られませんでした」ではビジネスにならないのだ。
だがPDF化すれば、こうした問題も大半は解決する。Adobe ReaderのようなPDF閲覧ソフトは多くのPCでプリインストールされており、CADソフトのようなアプリケーションで作成したファイルもPDF化すれば、ソフトなしに閲覧できるというわけだ。
名刺管理、あなたは何派?
せっかくドキュメントスキャナで電子化するなら、名刺の電子化も実施したい。ただ、名刺こそ何百枚、人によっては何千枚とあったりする。これを1度に電子化するのは無理がありそうだ。性格に応じて、できそうな方法を考えてみよう。
- コツコツ派。1度にやらず、毎日数分から数十分名刺整理の時間を取ってスキャンするタイプ。日にちがかかるので、飽きっぽい人は挫折するかも。
- 大掃除派。期末の大掃除の時期などにまとめて整理する。名刺管理の大多数がこのタイプみたい。ただ、期末も忙しいとやるタイミングを逸する恐れあり。
- 引っ越し派。引っ越しのタイミングで整理する。大掃除派の1つ。引っ越しのない会社や部署だとあまり関係なさそう。
- 異動派。異動のタイミングで整理する。大掃除派の1つ。異動前後であまりに仕事の内容が違う場合、前の部署で関係していた人たちの名刺をばっさり廃棄できたりするみたい。でも、それほど異動のない人には無関係。
- 新しい名刺から派。最近増えてる新しい名刺から派。使える名刺から電子化するという意味では合理的かも。
- 新しい名刺だけ派。新しい名刺から派の1つ。古い名刺は無視か、廃棄。割り切りタイプで男らしいかも。
- クラウド派。すべての名刺を廃棄して、そのつど同僚に聞いたり、相手に直接たずねたりする。名前は今風だけど、ちょっと極端かも。
というわけで、ビジネス文書の電子化から活用できる文書管理を考えてみた。デジタル・アナログに限らず、実は文書管理がすでにできているのがいわゆる製造工場だという。「工場の現場では3S(整理整頓清掃)が徹底されている。この3Sができれば文書管理もできるはず」(PFUの楠さん)。
ただ大量生産を行う工場と異なり、ビジネスパーソンの直面する現場では毎日異なる提案書や企画書を整理する必要があるわけだ。「工場は150年の歴史がある。近代的なオフィスはせいぜい50年」。特にWindowsなどのPCが一般的になったのはここ10年程度。そういうわけで、オフィスの文書管理はこれから。現場のビジネスパーソンが模索することで、新しい文書管理の方法が見えてくるのかもしれない。
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