苦手な仕事はアナログノートにまとめなさい:あなたの不安、見積もります
読者から「仕事のためにノートを使うとしたら、どう使ったらいいでしょう?」という質問が届きました。デジタル人間のわたしが見つけた、アナログノートの効果的な使い方をご紹介しましょう。
『モレスキン 「伝説のノート」活用術』の紹介がてら、MOLESKINEのノートについて紹介した回の翌日、早速メールを受信し、ちょっとびっくりしました。
ご質問は、極めて率直なもので「仕事のためにノートを使うとしたら、どう使ったらいいでしょう?」というもの。このような質問はぜひ、上記モレスキン本の著者にお願いしたいところですが、せっかくのご指名ですから、お答えしましょう! 今わたしがやっていて、わりと効果が上がっている方法を紹介させてください。
いつでもどこでもメモを取れる環境を整えておく、いわゆる「ユビキタス・キャプチャー」のことであれば、すでにこの連載でも多少触れましたし、先ほどのモレスキン本を読むのが最善でしょう。とはいえ、あえて「仕事のために」とありますから、もっと限定的なやり方のことを指しているのだと思います。
単純に仕事全般のためであればアナログな紙のノートを使うより、やはりスマートフォンがいいと思います。わたしは10年前から、仕事には電子手帳を用いてきた人間なので、これほどスマートフォンが進歩してきたのに、ここでアナログに戻す理由はちょっと見あたりません。
しかし、やや特殊な使い方であれば、アナログノートの使い道もポツポツ見つけ出しました。その1つが「苦手な分野に限って、アナログノートを使う」というやり方です。
これは、モレスキンでなくていいと思います(もちろん、モレスキンでもいいでしょう)。仕事の中で、どうも「これはあまり気が乗らない」とか「進めにくい」とか「いつも先送りしている」というものがあれば、そのプロジェクトだけにはアナログノートを集中的に用いるのです。
そのノートに書くべきことは、とにかく苦手なプロジェクトだけに関わることです。
- 先送りしたくなった時の日時や気持ち
- 先送りして、代わりにやったこと
- 少しでも進捗させたら、その記録すべて
- もしプロジェクトを進められたら、どうやったか、全部書く
こういう記録をとっておくと、そのノートを後から見直したとき、専属カウンセラーのような仕事をしてくれます。
「なぜアナログノートの必要性があるのか。デジタルノートでもいいではないか」と言う人もいそうです。アナログノートを使う方がいいのは、「ワラをもつかみたい」ときにすぐ開けて、そこに「救いのアドバイス」が載っていてほしいからです。
デジタルノートだと、おそらく関係ない情報を完全に排除できないでしょう。気持ちが弱くなっていると、たくさんの情報の中から、役に立つアドバイスを探すということすら苦しいものなのです。
筆者:佐々木正悟
心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。
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