「暖房はエアコンが圧倒的に省エネ」を自宅実験で実証:冬の節電DIY(3/3 ページ)
電気ストーブとエアコンはどちらが省エネなのか? 今回は消費電力に焦点を当てて検証してみた。
新しいエアコンは省エネ
最新のエアコン(他の家電品も)は省エネといわれる。最新機種に買い替えるとどれくらい省エネなのか気になるところだ。過去製品も含めスペックを調べてみると、以下のようになっていた。
製造年 | 型番 | 暖房能力 | 暖房消費電力 | エネルギー効率 | APF |
---|---|---|---|---|---|
1996年 | MSZ-GX256 | 3.6キロワット | 990ワット | 3.64 | − |
2001年 | MSZ-G25H | 3.0キロワット | 865ワット | 3.46 | − |
2001年 | MSZ-WX25J | 3.0キロワット | 585ワット | 5.13 | − |
2006年 | MSZ-CS25T | 3.0キロワット | 515ワット | 5.83 | 5 |
2006年 | MSZ-ZW25T | 3.0キロワット | 435ワット | 6.90 | 6.4 |
2011年 | MSZ-GM281 | 3.6キロワット | 810ワット | 4.44 | 5.8 |
2011年 | MSZ-ZW281 | 3.6キロワット | 650ワット | 5.54 | 6.9 |
(※)現在使用中のエアコンが三菱電機製なので2001年以降も三菱電機製で比較した
1996年製は今回実験に使用した機種。同じ年に発売されたモデルでも高級機と普及機では効率が違ったりするので、2001以降は2機種掲載した。2006年モデルと2011年モデルはエネルギー効率の計算では2006年モデルの方が優れているが、APFは2011年モデルの方が優れている。機種によるが5年前の機種であれば現行品と大きな差はなさそうだ。
もし筆者宅のエアコンを新しい機種に買い替えると、推測では設定温度19度の実験値は0.17キロワットアワーから0.12キロワットアワーくらいだろう。新しいエアコンを購入したら省エネ=節電になるが、経済的な分岐点を見つけるのは難しい。多くの人が実際にエアコンが消費した電力を把握していないはず。年間でエアコンの実消費電力を測定し、現在使用中のエアコンと新しいエアコンの性能差を計算すれば、ある程度は何年後に分岐点が訪れるか推定できるだろう。
もう少し分かりやすい例を挙げると、白熱電球とLED電球だ。計算を簡単にするため寿命は無視して計算してみよう。60ワットと10ワットなら消費電力が6分の1であることは簡単に理解できる。白熱電球の単価を50円、年々安くなっているLED電球を1000円とし、電気料金は一般的な22円=1キロワットアワー(数年先はもっと高くなる可能性もある)の単価で計算すると、
- 電球の価格差:1000円−50円=950円
- 1時間の電気料金の差:(60ワット−10ワット)÷1000×22円=1.1円
- 元が取れる時間:950円÷1.1円=864時間
1日8時間使えば108日(3カ月半)、1日1時間使えば864日(2年半)、1日10分使えば5184日(14年以上)となる。イメージとしては長時間使用する店舗ならすぐに元が取れるが、独身で1日10分しか使わないトイレは、そのアパートに住んでいる間に元が取れる可能性は低い。家族4人で入浴時間が15分の父、40分の娘……というように4人の合計が1時間半なら1年半で元が取れる。
なお、この計算は節約のための計算だ。エコやCO2削減を主に考えれば、1日も早く省エネな製品に買い替えた方がいい。とはいえまだ使える家電品を数年で廃棄、買い替えするのはやはり「もったいない」。工業製品は製造段階でもエネルギーが使われているので、長く使うことがエコという側面もある。やはりバランスを考えながら買い替えるのがベストだろう。
次回は部屋の放熱について検証したい。
関連記事
- 節電DIYバックナンバー
- 自宅のエアコンとストーブで暖房器具の消費電力を調べてみた
電気ストーブとエアコンの暖房はどちらが消費電力量が多い? 自宅で実験した結果を基に、効率的な冬の節電対策を考えてみた。 - パソコンの節電どうしてる? MSの「Windows PC節電策」を試してみた
PCの節電に関してはマイクロソフトが発表した「Windows PC節電策」が参考になる。ただ、OSによって本当に消費電力が変わるのか、など疑問も残る。そこで実際に試してみた。 - ISOT 2011:首からかけるか、ボールペンとして使うか、iPhoneに付けるか――持ち運びできる扇風機3つ
7月6日に東京ビッグサイトで始まったISOTで、持ち運びできるような小型の扇風機をいくつか見つけた。ビジネスパーソンが持ち歩けそうな“扇風機”を3つ紹介しよう。 - 3分LifeHacking:USB扇風機をUSB以外で使う――PCの電源がオフでもOK
最近オフィスでよく見かけるUSB扇風機だが、PCの電源をオフにしたあとに使えないのが欠点だ。いざという時にPCのUSBポート以外からの給電で、USB扇風機を駆動させる方法を集めてみた。 - ビジネスフィールドワーク:摩天楼がない都市・福岡のビジネス環境を見てきた(神尾寿編)
「日本の中だったら福岡が、いま“熱い”よね」。東京でITや新ビジネスに関わるメンバーと会うと、その話がでることが増えてきた。中州や福岡美人が目的ではなく(おそらく……)、福岡だったらおもしろいことができそう、と本能的に感じているのだ。そこで今回は、経済的にもビジネス的にも注目の街・福岡についてリポートしてみたい。 - 脱ガンジガラメの働き方:あなたをしばっているものは何?
もう朝の通勤ラッシュの電車に乗らなくてもいい――そんな働き方が増えつつある。震災の影響による節電対策で、各社で勤務の方法を柔軟にしているためだ。今までビジネスパーソンをしばってきたものが急激に変化しつつある今、その実態を追う特集「脱ガンジガラメの働き方」を始める。 - プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術:夏場の電力不足問題――ロジックツリーで解いてみる
問題解決において一番重要なのは、問題点の発見や対策を系統だって考えられるかどうか。今夏の電力不足問題について、ロジックツリーで問題解決を考えてみましょう。 - 3分LifeHacking:計画停電情報のTwitterをニュース速報風の字幕で表示する
計画停電情報がTwitterで配信されるたび、デスクトップ上で字幕で表示するための方法を考えてみよう。 - 大規模停電を回避せよ!:目指せ35%省エネ、今だからこそ“本気の節電術”(後編)
東北関東大震災の影響で、首都圏の大規模停電も懸念されている昨今。この大規模停電を避けるためにも節電できるところは節電するのが肝心だ。節電効果の高い、本当に効果のある節電を考えてみよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.