年収440万円、独身の場合は? 節税のコツが分かる税金の話:大増税時代(1/6 ページ)
税金を理解すると、入籍や退職など、同じことでも実施時期によって得をする(=節税できる)タイミングが分かる。今回は自分の税金がどのような仕組みで算出しているのか、基本的なところを解説しよう。
前回「増税は消費税だけじゃない。大増税時代の税金を理解しよう」は、間近に迫った消費税、所得税、住民税などの増税に関する話をお伝えした。その中で出てきた課税所得、給与所得控除などといった言葉は普段あまり縁がない人もいたと思う。前回は細かな計算のプロセスを省略したところもあるので、今回は皆さんが自身の税金を計算できるよう詳細を解説したい。
サラリーマンは毎月の給与明細に記載してある所得税、住民税の金額をどうやって計算しているか理解しているだろうか。前回も書いたが、筆者は23年間のサラリーマン時代、税金に対して興味も知識もなかった。よって自分が毎月の税金をいくら払って(納めて)いたのかまったく知らなかった。ましてその金額の根拠となる計算方法を調べようと思ったことなどなかった。筆者と同じようにじっくりと税金に向き合ったことのない人はそこそこいるだろう。
先日50代の知人と飲んだ際に「1980年代は就職ができることが当たり前だった」「1990年代に互いに転職したが、バブル崩壊後とはいえ特に苦労することもなかった」「2000年代にはそれぞれ独立し現在に至るが高いハードルを越えたという意識もなかった」と、「いい時代だった」という話をした。だがこれから先のことを考えると、景気、税金、年金……と先行きの不安材料は多々ある。なんとなく会社が成長し、なんとなく役職が上がり、なんとなく給料が増え、なんとなく裕福な暮らしができ、何の心配もなく老後を迎えた時代は終わったように感じられる。昔のサラリーマンは税金や年金の知識がなくても何も問題なく過ごせたような気がするが、これからは知っておいた方が何かと安心、安全だろう。
税金を少し理解すると一生と通じて得をする可能性がある。PC好きな誠 Biz.ID読者は、PCに詳しくなるとPC関係のコストダウンができると感じたことはないだろうか。例えばタイ洪水を聞き、慌ててデスクトップPCに2Tバイトの内蔵HDDを6000円で増設したとか、光学ドライブが壊れたのでオークションでDVDマルチドライブを買って1000円で修理完了した、といったことで知識はコストとして帰ってくることが多い。
税金も同じで、入籍は年末にした方が年始より11万円お得、子作りを今月したら来月より20万円お得、退職日を来月に延期すると7万円お得、同じマンションで2008年入居の人より2009年に入居した自分は190万円お得――と、知識があれば得をする(=節税できる)可能性がある。会社の若い女性にチラッと税金の説明をすると「スゴ〜イ」と言ってもらえる副産物があるかもしれないのが税金の知識だ。
増税のニュースなどで「年収500万円、奥さんと小学生の子供が2人いる場合は900円の増税になります」といった説明を聞くことが多い。年収が異なれば税金の金額に差が付くし、同じ年収でも独身の人と子供がいる人では税金の金額が異なるため、このようにモデルケースを使って増税額を提示するのが一般的だ。だが、例となるモデルケースに当てはまらない「我が家は子供が1人だぞ」「俺は年収1000万円以上もらってるぞ」という人は自分自身の増税額が分からないままだ。
税金を計算するプロセスを理解すれば自分の税金を計算できるようになる。子ども手当のための増税で2011年はどれくらい税額が増えたのか、復興増税で2012年の税金はどれだけ増えるのか、といったことが把握できるはずだ。
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