年収440万円、独身の場合は? 節税のコツが分かる税金の話:大増税時代(5/6 ページ)
税金を理解すると、入籍や退職など、同じことでも実施時期によって得をする(=節税できる)タイミングが分かる。今回は自分の税金がどのような仕組みで算出しているのか、基本的なところを解説しよう。
控除の目安は年間医療費10万円以上
その年の生計を一とする家族の医療費が合計で10万円を越えた場合、超えた金額が控除の対象となる。例えば自分の医療費が6万円、妻が3万円、子供が2万円で計11万円を支払っていれば、1万円の控除が受けられる。入院などがあると10万円を越えそうな気がするが、実際にはそうでもない。
入院などで高額な医療費を支払った場合、健康保険の高額療養費や生命保険の入院給付金で支払われた金額を差し引く必要がある。例えば2週間の入院で15万円を支払ったとしよう。健康保険の高額療養費で6万8000円、日額5000円の医療保険で7万円を穴埋めすると、15万円の入院費からそれらを引いて残った1万2000円が対象となり、年間の医療費が一気に増大することはない。
控除額は最高で200万円、所得が200万未満の人は医療費から引く10万円の部分が所得の5%となるので、年収300万円以下の人はややハードルが低くなる。
課税所得と税率で決まる所得税
年収から給与所得控除、各種控除を引いた課税所得に対し税率を掛けると実際に払う(納める)所得税の金額が決まる。それが課税所得×税率=所得税だ。所得税は累進課税方式となっていて、課税所得の金額に応じて6段階に分かれている。
課税所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円〜330万円以下 | 10% | 9万7500円 |
330万円〜695万円以下 | 20% | 42万7500円 |
695万円〜900万円以下 | 23% | 63万6000円 |
900万円〜1800万円以下 | 33% | 153万6000円 |
1800万円以上 | 40% | 279万6000円 |
課税所得が増えると税率が上がる仕組みだが、各段階の税率は下の段階を超えた部分にのみ適用となる。例えば課税所得が200万円の場合、200万円全てに10%の税率が掛かるのではなく195万円は5%の税率、残りの5万円は10%の税率が掛かる仕組みだ。
課税所得200万円の場合は、
- 195万円×5%=9万7500円
- 5万円×10%=5000円
- 所得税=9万7500円+5000円=10万2500円
課税所得400万円の場合は、
- 195万円×5%=9万7500円
- (330−195=135万円)×10%=13万5000円
- (400−330=70万円)×20%=14万円
- 所得税=9万7500円+13万5000円+14万円=37万2500円
先ほど紹介した6段階の税率表の控除額は、簡単に計算するための金額で下記の式で税額を計算できる。
- 課税所得×税率−控除額=所得税
課税所得200万円の場合は200万円×10%−9万7500円=10万2500円。課税所得400万円の場合は400万円×20%−42万7500円=37万2500円だ。
もう一度、冒頭に紹介した3つの式を確認してみよう。
(1)給与の収入金額(年収)−給与所得控除=給与所得
(2)給与所得−各種控除=課税所得
(3)課税所得×税率=所得税
この中で(1)の給与所得控除と(3)の税率は誰でも共通だ。異なる部分の年収と控除が分かれば税額を正確に把握できる。
では実際の例で計算してみよう。対象は平成23年(2011年)の1年間。計算の中で本来は厚生年金、健康保険は実際には4月から6月の平均給与から導き出すが、ここでは年収に料率を掛けている。各料率は1月から9月と天引きする期間の長い平成22年の料率を使用し、1000円単位で数値はまるめている。
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