社内でリーダーが育たない単純な理由:未来の人事を見てみよう
「時間やお金をかけても自社でリーダーが育たない」とお嘆きの人、いらっしゃいますよね。しかし、なぜリーダーが育たないのでしょうか。Harvard Business Reviewに興味深い記事が載っていました。
クレイア・コンサルティングの調です。本日はリーダーシップの教育について。コンサルティング会社、Zenger/Folkmanの研究に関して、Harvard Business Reviewが以下のような記事を掲載しています。
社内でリーダーは本当に育たないのか?
社内でリーダーが育たない単純な理由を一言で表すと「リーダーシップのスキルを教えるのが遅すぎるから」だそうです。なおこの研究はZenger/Folkmanのトレーニングプログラムに参加した、世界各国のさまざまな産業からの参加者(合計1万7000人)が対象。この参加者たちが最初のリーダーシップトレーニングを受講する年齢をひも解いてみた結果、
平均年齢は42歳であることが判明した。そして半分以上が36歳から49歳の間となっている。30歳未満は10%であり、27歳未満は5%にも満たない。
という結果が出ました。しかし日本企業でも同様、あるいはもっと早いかもしれませんが、一般的にホワイトカラーの人が管理的/リーダー的な役割を持ち始めるのは30歳前後から。この調査対象者の年齢の平均で33歳だったそうですが、彼らの平均的なキャリアパスは、30歳で部下を持ち、その後9年間同じ仕事をし続けるそう。そして
その後どうなるかというと、42歳になって初めてリーダーシップのトレーニングを受けることになる、つまりそれまでは全くの研修無しに上司としての役割を遂行することになるのだ。つまり、平均すると、トレーニングを受けないままに10年間もの間、(リーダーシップが必要な)業務を行っていることになる。
まだ日本人は自分で本を読んだりして勉強する性質を持っているように思いますが、アメリカなどでビジネス書は経営幹部が読むもの。トレーニングがないために五里霧中でリーダーシップを発揮せざるを得ない事態に陥っているようです。
リーダーシップ教育は大学生からでもまだ遅い?
日本では近年、若手からの優秀層の育成、幹部候補の選抜やビジネススキル向上などの目的で、マネジメント研修やリーダーシップ研修が盛んになってきていますが、それでもリーダーシップと名のつくものは、なかなか若手には受講させません。
「時間やお金をかけても自社でリーダーが育たない」と嘆く人事担当者をよく見かけますが、ひょっとするとその理由の1つは「リーダーシップを求め、それが身に付くような取り組みをするタイミングがただ単に遅いだけ」なのかもしれません。
先ほどの記事では著者が「小学校の3〜4年生でも、リーダーシップについての基本的な考え方、例えば議論においても『人を糾弾するのではなく課題を議論するべし』といったことは理解・適応できる」と述べています。その意味では、現在の大学から社会への接続が議論になっているのも時すでに遅しで、結局は初等教育の問題なのかもしれません。小学校の授業でリーダーシップという言葉はあまり耳にしませんでしたもんねえ。
※この記事は、誠ブログの「未来の人事を見てみよう:社内でリーダーが育たない単純な理由」より転載、編集しています。
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