したい、でもどうしたらいいか分からない――「はじめての“自炊”」、おすすめ裁断機とスキャナ:本や雑誌も電子化すれば死蔵しない!(2/2 ページ)
手元にある本や資料をデジタル化して持ち歩けるようにしたい、でも、どこから手をつけていいか分からない……。そんな自炊初心者が、何を用意すればいいかをご紹介しよう。
自炊の工程
ホチキス貼りを取り除く
雑誌や書籍の一部には、製本時にホチキス針を使っているものがある。これを知らずに裁断機にかけると裁断機の刃が欠けてしまうため、事前に取り除いておく必要がある。
はりトルPRO(399円 サンスター文具)。紙を傷つけることなくホチキス針を外すことができるリムーバー。先端を針にくぐらせハンドルを握るだけで、力を入れずともスッと針が抜けていく。スチール製で強度も抜群。
裁断する
紙の書籍からきれいなデジタルファイルを作成するには、書籍をきちんと分解する必要がある。複数ページの裏表を連続的に高速スキャンするためには、ページが紙の束として整っていることが必須条件となるからだ。
それには、裁断機が欠かせない。選び方のポイントは機能と価格だが、最近の自炊ブームのおかげか、ずいぶんと低価格で高機能なものがそろってきた。次ページで紹介する「DC-210N」(カール事務器)、「Durodex スタックカッター200DX」(ダーレー・ジェーピーエヌ)あたりならば間違いないだろう。
スキャンする
裁断してばらばらになった書籍をスキャンし、PDFなどのデータに変換すれば自炊は完了だ。書籍ほどのボリュームを一気にスキャンするのだから、スキャナ選びは慎重に。両面スキャンに対応しているか、スピードは速いか、Wi-Fiに対応しているかなど、ポイントを見誤らないようにしよう。
基本は両面スキャン
スキャナ選びの最も大切なポイントは、紙の両面を同時にスキャンする機能を持っていることだ。ドキュメントスキャナならば当たり前だと思えるかもしれないが、「ScanSnapシリーズ」(PFU)の下位機種「S1100」は片面しかスキャンできない。これは同モデルが、モバイル運用を重視しているからだ。
両面スキャンができないと、紙の両面に文字や絵が印刷された書籍のスキャニング=自炊には恐ろしく手間がかかることになる。これだけは絶対外せないポイントだ。
次にスピードだ。あまり遅くては自炊に時間がかかりすぎることになり、毎回のスキャンが手間になってしまう。例えば「ScanSnap iX500」の場合、毎分25枚(※)をスキャンする。これは従来機(S1500)の25%アップに相当する。
モードや解像度にもよるが、これも速いに越したことはないのだ。
アプリ対応もマスト
ユーティリティの使い勝手も外せない条件だ。前述のScanSnapの場合、スキャンすると専用のユーティリティが起動して、どのソフトにデータを渡すか聞いてくる。その中には、DropboxやEvernoteに直接送る設定もある。また、スキャニングモードの設定も細かくできるようになっている。
単にスキャンしたものをPCの任意のフォルダに保存するのではなく、後処理についても簡単に選択できるようになっているかどうかは、とくに書類のスキャニング時に大きな意味を持つ。
Wi-Fi対応ならスマホやタブレットに直接送れる
最近、注目を集めているのがWi-Fiへの対応だ。それまでは、PCとUSBケーブルで接続する必要があったが、Wi-Fi対応になったことで設置の自由度が増した。無線LANの電波が届く範囲ならばどこにでもスキャナを設置できるようになっている。
なお、ほかにもOCRや重送防止機能などスキャナとしての基本機能や、付属ソフトなどもきちんとチェックしたい。一度購入すれば自炊だけではなく書類整理や名刺整理に活躍するドキュメントスキャナ。よく考えて後悔のない選択をしよう。
本当に使えるドキュメントスキャナの条件
自炊に必須なのがドキュメントスキャナだ。紙の両面を連続的かつ高速にスキャニングする機会がなければ自炊はここまで普及しなかっただろう。選択の基準を考えてみよう。
項目 | 概要 |
---|---|
両面対応 | 両面を同時にスキャンできる |
スピード | 毎分何枚くらいスキャンできるか(自炊の場合毎分20枚以上が理想) |
アプリ対応 | 各種サービス・アプリに対応しているか(EvernoteやDropBoxへの自動アップロードができると実用性が高まる) |
Wi-Fi対応 | PCにケーブルで接続することなくスキャンできるか(タブレット・スマホへのデータ転送で自由度UP) |
価格 | 性能に見合った価格かどうか(上記条件を満たしたものなら3〜4万円くらいが適性) |
もはや定番「ScanSnap iX500」
スタイリッシュなボディデザインも特徴的なこのジャンルのデファクト的モデル。使い勝手が練られたユーティリティといい、Wi-Fi接続といい、この分野のリーダーの名に恥じないモデルだ。
買ってソンなし!「DR-125」
「ラウンドスキャン」と呼ばれる独自の給紙・排紙機構によって、フットプリントの小ささを実現したキヤノン製モデル。見たままの状態で原稿をセットできるのもメリット。
裁断できない書籍は非接触型スキャナで!
発表以来、注目を集めているのが「ScanSnapシリーズ」のニューモデル「ScanSnap SV600」(PFU)。非接触型のドキュメントスキャナなので、裁断機を使うことなく、綴じられた本をそのままスキャンすることができる。ページめくりを自動的に認識する機能などもあり、高価な本や貴重な本の自炊に向いている。
↓画像,Photo,「ScanSnap SV600」(5万9800円 PFU)最大A3サイズまで読み取り可。読み取り時の手間を大幅に省く、サイズ自動検出機能、傾き補正機能、向き補正の機能などを搭載。スキャンした電子書籍の管理・閲覧用に、ファイリングソフト「楽(2 らくらく)ライブラリ Smart with MagicDesktop」が付属する。
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