【オフタイム編】結婚式スピーチのフレームワークを押さえよう:岩淺こまきのオン/オフで使えるプレゼン術
結婚式のスピーチで何を話すか。失敗しないように、基本的な構成を押さえておきましょう。必要なポイントはほぼ3つに集約できるのです。
岩淺こまきのオン/オフで使えるプレゼン術
プレゼンテーションが苦手だと思っている人、ちょっとしたコツを知っておくだけで、プレゼン上手になれるのをご存じですか?
この連載では、プレゼンテーションスキルを磨くためのテクニックをご紹介します。といっても、ただビジネスに役立つテクニックを紹介するのでは面白くないので、私生活で役立つテクニックも合わせてご紹介することにしました。
結婚式のスピーチではどのような内容で、どのように話せばいいか。前回に引き続き、気を付けるポイントを踏まえつつ、今回はスピーチの構成を説明します。なお、以下でご紹介するのは、あくまで基本的で会場全体が安心して聞けるスピーチです。奇をてらったものや、会場を盛り上げるような内容はまた違ったアプローチが必要になります。
早速ですが、結婚式のスピーチに必要な要素は以下の3つにまとめられます。
- 冒頭のWhy
- 独自のエピソード
- 結びの言葉
スピーチの原稿は、1分程度で話せる分量で用意した方がよいのは、前回お話ししました。結婚式は予期せぬアクシデントなどで時間が押し気味になりがちで、短めのスピーチが望まれる場面が多いためです。もちろんこの短い間でも、冒頭のWhy、具体的な裏付けエピソード、結びの言葉は構成に含めます。準備した内容に、この3つのポイントが入っているか事前に確認しておきましょう。また、若い方は特に使い古されたスピーチネタ(3つの袋や新婚旅行ネタ)などは使わない方がよいです。これらの話題は年長者が使うのが一般的で、若い人が使うと違和感があります。
冒頭の“Why”を抜くと違和感が残る
スピーチの冒頭に欲しいのは、なぜ自分が今回のスピーチすることになったのかという理由や背景です。冒頭の決まり文句としては、「新郎新婦や親族への祝辞」「招待への感謝」「自己紹介」「花嫁への賛辞」などがありますが、すべて入れるとこれだけで1分を超えるので、新郎新婦への祝辞と自己紹介のみ話し、シンプルにします。自己紹介では主賓との関わりについて必ず話しましょう。
友人として主賓の人柄を話すのか、同僚として話すのか――参列者はスピーカーの自己紹介から、スピーチの意図を推測し、聞く準備を整えているためです。この説明が抜けると、参列者に「あなたは誰?」という疑問を持たせ続けることになり、話の内容が頭に入らなくなる可能性が高いのです。
○○さん、○○さん、ご結婚おめでとうございます。ご両家の皆様、本日はおめでとうございます。私はただいまご紹介にあずかりました、○○さんの大学時代の友人で、▽▽と申します。○○さんとは一緒のサークルに入ってから○年来の付き合いです。本日はサークルを代表しまして、お祝いを述べられる機会を頂き、大変ありがたく思っています。
これはビジネスのプレゼンでも一緒です。なぜ私が今回のプレゼンを担当するのか、そもそも今回のプレゼンは行う背景は何かを導入部で伝えることで、聞き手の思考をそろえることができます。司会から紹介されたから省く、という人もいますが、ちゃんと話しておくのがよいでしょう。
エピソードは、言いたいことを裏付ける内容を1つか2つ
エピソードを決める前にまず新郎(新婦)の何を伝えるかを決めます。例えば“周囲に慕われ、信頼される人物”であることを参列者に訴えたい場合は、それを裏付けるエピソードを1つ選択します。自分以外のスピーカーと話題がかぶらないように気をつけたい所ですが、ほかのスピーカーが自分と属性(新郎側・新婦側の友人/同僚/上司/後輩など)がかぶるような場合には、自分だから話せるというエピソードを選ぶとよいです。例えば、こんな話はどうでしょう。
○○さんがいかに慕われているかは、皆さまの中にも実感される方が多いことと思います。これは彼が「困難な場面でも、愚痴ではなく、解決策を考える」を実践しているからだと思います。私と○○さんは、長いつきあいですが、一度も愚痴を聞いたことがありません。○○さんは「どうしたらよりよくなるだろう」「何ができるだろう」と常にそんな風に考え、周囲によい影響をもたらしてくれるのです。
どうしてもエピソードを2つ取り入れたい場合は、両方を説明した後に要約し、テーマに紐づけるように展開するといいでしょう。
結びの言葉は、スピーチの内容と未来を結ぶ内容で
スピーチの締めは、テーマと、2人の未来が明るいものであることを関連付けて、幸せを祈る言葉で締めます。
これからの結婚生活では、さまざまなことがあると思いますが、○○さんの強みである「常によりよく前向きに考える力」で、楽しく、幸せな人生を創っていかれることと思っております。お2人の幸せを心より、応援しています。
ビジネスのプレゼンと違うのは、聞き手の行動を自分の意図する方向に変容させるという目的意識が弱いことです。とはいえ、構成や気をつける点は共通している部分も多々ありますので、難しいものと考えずに構成してみてください。
著者プロフィール:岩淺こまき
グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/ヒューマン・スキル講師
大手システム販売会社にて販売促進、大手IT系人材紹介会社にて人材育成、通信キャリアでの障害対応、メーカーでのマーケティングに従事。さまざまな立場でさまざまな人と仕事をし、「ヒューマン・スキルに長けている人間は得をする」と気づく。提供する側にまわりたいと、2007年より現職。IT業界を中心に、コミュニケーション・ファシリテーション・リーダーシップ、フォロワーシップ、OJT、講師養成など、年間100日以上の登壇及び、コース開発を行っている。日経BP「ITpro」で、マナーに関するクイズ形式のコラムを連載中。
- ブログ:「岩淺こまきの『明日の私を強くするビジネス元気ワード』」
- シゴトに効く姉妹連載「田中淳子の人間関係に効く“サプリ”」はここから。
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