少人数チームでは、“リーダー”という言葉に惑わされてはいけない:時代が求める「少人数チーム」の作りかた(1/2 ページ)
「リーダーにはなりたくない」という若手ビジネスパーソンが増えていると言われていますが、少人数チームでは“誰もが得意分野でリーダーシップを発揮する”ことが求められます。
回答者の7割が「リーダーになりたくない」――。これは、若手ビジネスパーソンを対象にした調査の結果です(ベストチーム・オブ・ザ・イヤー実行委員会調べ)。「先が読めない時代に、チームを引っ張っていくのは難しい」という思いがあるのかもしれません。
一方で、「“リーダーになりたくない”というのは“仕事をしたくない”というのと同じこと。これからの時代は誰もがリーダーであるべき」とする考え方もあります。取材中に、こんな印象的な発言を耳にしました。
現場の声1:(コンサルティング会社経営者)私はチームのメンバー全員にリーダー意識を持って仕事をしてほしいと思っています。それは別な言い方をすると「当事者意識を持ってほしい」ということであり、自分が最後まで責任を持って遂行するぞという意識です。
「リーダー意識」と「当事者意識」という2つの言葉が、同時に出てきたのはなぜか――。そこで思い出したのが、私が企業研修を行うときによく使っているチャートです。
このチャートは「仕事」が一般論としてどんな順序で進むかをおおまかに4段階で示したもの。何か困った問題が起きたら、まずは正確にどんな状況なのかを把握し(状況把握)、どうすれば解決するかを考え(方針立案)、それを関係者に説明して合意を得て(行動提案)、そして「実行」する、というフローです。業種や職種が違っても、現代の仕事はおおむねこういうワークフローになっています。
メンバーそれぞれが得意分野でリーダーシップを発揮する
このような「仕事」をするのはいったい誰でしょうか? リーダー? それともチームのメンバーでしょうか? 私が思うに、答えは
「この一連の仕事を、“自分が司令塔となって最後まで遂行する意志と能力”がリーダーシップであり、それは職位とは関係なく誰にでも必要なものである」
というものです。
職制上、チームには1人のチームリーダーがいることでしょう。しかし、チームが何か問題を解決しようとするとき、常に「チームリーダー」がワークフローの司令塔を務めるとは限りません。
例えば、こんな場面を想定してみてください。
イベント企画会社、溜池産業(仮名)企画一課の赤坂君と課長の会話
赤坂:課長、それでは明日の最終プレゼンで冒頭のあいさつをお願いします。
課長:ああ、分かったよ。
赤坂:先方の社長は生真面目なプレゼンを嫌うタイプなので、遠慮なくジョークをかましてください
課長:そうか、了解!
赤坂:会社の創業の経緯に当社との共通点があるので、それを言っておいてもらうとベストです
課長:よし、分かった! まかせとけ!
この場面で司令塔としてリーダーシップを取っているのは赤坂君であって、職務上のチームリーダーである課長は、ここでは赤坂君の指示に従ってあいさつをする「役者」に徹しています。
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