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スマートフォンで私たちが失ってしまった3つのスキル3分LifeHacking(2/2 ページ)

いつも手元にあって、私たちを助けてくれるスマートフォン。しかし、それによって私たちが失ってしまった能力があり、いざというときに対応できなくなる恐れがあります。

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ライフハッカー[日本版]
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私はこれでGPSをやめました

 紙の地図があれば役に立ったでしょうし、あらかじめ経路を記憶しておけば、かなりのトラブルを防げたはずです。地図アプリを使うにしても、もっとしっかり見て経路を覚えておけば、充分役に立ったでしょう。

 そもそも、それまでずっとGPSに頼り切っていたので、土地勘が全然身についていなかったのです。どのハイウェイがどこでつながっているかも、どの通りを行けば自宅まで戻れるかも知りませんでした。

 それに、方向感覚もまったくありませんでした。以前はコロラド州デンバーに住んでいたのですが、そこではどこにいても、「山並みのあるほうが西」だったので間違いようがありませんでした。でも、シアトルに越してからは、その手のランドマークを見つける努力をしていなかったのです。

 その日以来、GPSに頼るのをやめました。最近では、渋滞の確認はするけれど、それ以外ではターンバイターンのナビはオフにしています。方向の手がかりになるようなランドマークもいくつか見つけました(それでも分からなくなったら、衛星放送のアンテナは南を向いていることが多いはずなので、それを探します)。この街の地図も紙で手に入れました。

 クチコミサイトでレストランを探すときも、地図上に表示はせず、リスト機能だけ使います。目的地と自分との位置関係を、地図に頼り切らずに把握しておきたいからです。街の中を移動する時も、ナビの指示にただ従うのではなく、視線を上げてよく見回すようにしています。こうしたテクニックは、旅行で知らない街に行ったときにも有効です。まずホテルの目印になるものを覚えたら、街に出てGPSに頼らず探検してみるのです。これまで見過ごしていたものの多さに、きっと驚くことでしょう。

3.居合わせた人との会話

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 かつて私たちは、たまたま居合わせただけの人とも会話をしていました。でも今日では、そこにいるのが誰であれ、存在を無視するのは難しくありません。スマートフォンに目を落とすだけで良いのですから。

 ところが意外なことに、居合わせた人と話をするのには、さまざまなメリットがあるのです。近所の人と顔なじみになっておけば、健康に良い影響が出たり、通勤中の気分が良くなったり、視野が広がったりという効果が得られる可能性があります。

 スマートフォンのおかげで、今やいつでもポケットの中にエンタメを持ち歩いている状態。わざわざ顔を上げて隣の人に話しかけなくても、ゲームをしたりTwitterを見たり、溜まったメールを処理したりできるでしょう。

 もっとも、これは今に始まったことではありません。以前だって、バス停などでは新聞や本を読んで、なるべく人と話さずに済ませていた人は多かったのです。読書のほうが生産的な時間の過ごし方のように感じられるかもしれませんが、実はそうすることで、「他者とのコミュニケーション」という人間の基本的な欲求を押し殺しているのです。『ニューヨーク・タイムズ』紙はこの問題について、こんな風にまとめています。

無言のまま(ネットワークに)つながっている人々は、多くの人と接触して安らぎを得ています。ただし、相手との距離を慎重にはかりながら。テクノロジーを使えば、コントロール可能な距離を互いにキープできます。互いを充分に知ることはできませんが、近すぎず遠すぎず、ちょうど良い距離が好まれます。一種の「ゴルディロックス効果(訳注:物事が適正値の範囲内に収まる様子)」と言えそうです(中略)。
リアルな人間関係は濃密です。厄介で、多くのものを要求されるでしょう。私たちはテクノロジーを使って、それらを整理する習慣を身につけてしまいました。「会話」から「つながり」への移行も、そのあらわれです。でも、こうしたプロセスの中で、私たちは自身をごまかしてきたのです。しかも時がたつにつれ、それを気にしなくなり、(以前とは)違うということを忘れてしまいました。
オンラインのつながりで「ちびちび」やるのも、積もり積もれば、実際の会話で「がっつり」いくのと同じこと、と考えたい誘惑に駆られますが、やはり同じではありません。メールもTwitterもFacebookも、今や政治や経済、恋愛や友情の中で、確固たる地位を占めています。でも、それらにどんなに価値があろうとも、リアルでの会話の代わりにはなりません。

 現代の私たちは、基本的なコミュニケーションがあまりうまくありません。ソーシャルメディアでの接触と違って、顔を突きあわせての会話はゆっくり進みます。また、私たちはそうした会話を通じて、相手のことを知ると同時に、自分のことも学びます。私たちがそれをしないのは、時間をかけてやり取りから何かを学ぼうとしていないからなのです。

 そうした「人としての基本的なスキル」を取り戻すには、自分でルールを決める必要があります。通勤中はスマートフォンで時間をつぶすのではなく、誰か自分と話したそうにしている人がいないかどうか、見渡してみましょう。そこまでしなくても、せめて時々は顔を上げてみましょう。日中も、少し空き時間ができるたびに携帯を取り出すのはやめて、居合わせた人と実際に会話をするようにしましょう。

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