悩んでいる暇があるなら、考えろ:外資系エリートが実践する「すぐ成長する」仕事術
すぐに成長する人は、大きなミスを犯したりトラブルに巻き込まれたとき、悩むよりも考えるタイプの人が多い。早い段階で気持ちを切り替えれば、事態をリカバリーする方法を考える時間もできるのだ。
集中連載「外資系エリートが実践する「すぐ成長する」仕事術」について
本連載は、川井隆史著、書籍『「外資系エリートが実践する 「すぐ成長する」仕事術』(日本実業出版社)から一部抜粋、編集しています。
一般的に、外資系企業に勤めるビジネスパーソンは「成長のスピードが速い」と言われます。それは、最短3日で将来の幹部候補生を見分けるというGEのように、社員に対する激しいプレッシャーと期待感があるからです。そのような環境の中、外資系エリートたちはつねに努力をし、日系企業に入社した同期とは比べ物にならないほどの速さで成長するのです。
外資系エリートが実践する仕事術といっても、基本的には誰もがすぐにマネできるものばかりです。中でも、特に大切な3つの心構えがあります。
1. GEで学んだ 「すぐに動け」
2. アーサー・アンダーセンで学んだ 「期限は死んでも守れ」
3. 日本コカ・コーラで学んだ 「言われたことだけやるな」
この3つの心構えを守るだけでも、あなたは「すぐ成長する」人に変われます。
「悩みの損切り」をする
自分がGEの事業計画責任者のとき、利益が出ないはずなのに出ると報告するという、最悪の誤りをしてしまったことがあった。予算の積み上げの際、部下からもらった資料に計算違いがあり、それを見落としてしまったのである。事業計画のプレゼンテーションが終わったあとで「間違えた!」と気付いた。
正直に言うと、まず浮かんだのは「上司に怒られるだろうか。左遷されるのではないか」ということであった。
次に、もともと計算を間違えたのは私の部署のマネジャーで、かなり経験のある人間であり、彼を責める言葉が浮かんだ。
最後に、そもそも日本法人社長がプレゼンの前日に重要なパラメーターを変える決断をしたため、利益計算をすべて徹夜でやり直さなければならなかったからだと、社長を責める言葉が出た。
ようは、悩みと言い訳だけが最初に浮かんだのである。
ただ、最初の衝撃から少し立ち直ったところで、私は「悩みの損切り」をした。考え得る最悪の結末を思い浮かべ、そこで、投資の損切りのように悩むのをやめたのだ。
犯したミスは大きいが、さすがに命をとられるようなものではない。まだ報告して数日、上層部に対しては非常に恥ずかしいが、ビジネスに実質的な影響が出るわけではないのでクビにはならないだろう。信頼を失ったので昇進などには差し支えるだろうが、最悪のケースでもそれくらいだと開き直った。
すぐ成長する人は、悩んでいる暇があれば考える
次に考えたのは、間違って報告を受けた社長や上層部は何をしてほしいだろうかということである。部下が間違えたせいだとか、社長が突然パラメーターを変えたせいだとか、そのような言い訳をくどくど聞きたくないことは確かだ。
そこで、私は正しい結果を出すとともに、上層部が望んでいたような数字を達成するための新たな素案を考えて社長に報告をした。数字が間違った旨を伝えたさいは、さすがに一瞬驚きと怒りの表情が浮かんだが、素案の部分まで話し終わると、「分かった。素案もまだ不十分な内容だが、これを叩き台にリカバリープランを作ってくれ」と静かに言った。
その後、短いお小言は頂戴したが、この件はそれで終わった。最終的には望むレベルの利益の事業計画はできなかったものの、かなり近いものが作成でき、実際かなり苦しみつつも達成することもできた。
すぐに成長する人は、何か大きなミスを犯したりトラブルに巻き込まれたとき、「悩むよりも考える」タイプの人が多い。当然、人間なので最悪の事態を想像してしまうことはあるだろう。しかし、そこで「悩みの損切り」をすれば早く開き直れ、とりあえずどうやって事態を打開するかに気持ちを切り替えることができる。
あなたも悩むことがあれば、途中で気持ちを切り替え、懸念点をどのように打開するか、そのリカバリープランを考えてほしい。
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