部下に迷いを打ち明け、相談する:マッキンゼー流“できる上司”の習慣(1/2 ページ)
どんなに仕事ができる上司でも、ときには迷うこともあります。そんなときは、正直に部下に迷いを打ち明けて相談しましょう。すると、部下たちに「自分たちも考えなければならない」という自発性と、「信頼されている」という気持ちが生まれるのです。
集中連載「マッキンゼー流“できる上司”の習慣」について
本連載は、大嶋祥誉著、書籍『マッキンゼーのエリートが大切にしている39の仕事の習慣』(アスコム)から一部抜粋、編集しています。
「成功したければ、今すぐ、習慣を変えよ!」
どんなに高名なシェフでも、客を3時間待たせるわけにはいかない。数分、数十分の間に、最高の料理を出す必要がある。
世界最高のサッカー選手も、与えられる90分の試合で結果を出さなくてはならない。点が取れないからといって「あと10分延長してほしい」とは言わない。
プロフェッショナルとは、限られた時間の中で、最高のパフォーマンスを出す人たちのことだ。クオリティーだけを求めるのではなく、また、スピードだけを求めるのでもない。その両方を追求しながら最高のバリューを出す。これが一流の一流たるゆえんだ。
本書では、世界最高峰のコンサルティングファームで大切にされている39の仕事の習慣を紹介。マッキンゼー流で、仕事のクオリティーとスピード、両方を身につけよう。
あなたが昇格して上司になったということは、何らかの実績を会社に認めてもらったのでしょう。同期の社員より速く昇格したのだとすれば、きっと、仕事ができる優秀な人にちがいありません。
でも、優秀な人が上司になったときに、かかってしまう病があります。
「だれにも相談できない病」です。
責任感が強く、仕事もでき、バリバリこなしてきた人ほど、プライドも高い。部下が困っていれば手をさしのべ、自ら解決しようと試みる。こんな上司は、当然、みんなから尊敬され、慕われます。
でも、責任感もプライドもあるため、分からないことや困ったことにぶつかったときに、だれにも相談できずに1人で抱えてしまうのです。これは結果的に、チーム全体の仕事の進行を遅らせてしまうことになりかねません。
「仕事の質が高く、速い人」であったはずが、上司になってチームを率いたとたん、「仕事が遅くて質の悪いチーム」をつくり出してしまうのです。
これは避けなければいけません。
マッキンゼーでは、チームで課題を議論することが当たり前でした。エンゲージメントマネージャーと呼ばれるマネージャーがプロジェクトを実質的に回し、各チームメンバーがそのプロジェクトの分担を受け持ちます。
このとき、上司であるマネージャーは、チームメンバーにさまざまな相談をしていました。部下であるメンバーから、知恵やアイデアを引き出しているわけです。
仮にあなたが右か左か判断しかねている局面で、部下たちとミーティングを行ったとします。あなたは部下に対してどのような接し方をしますか? また、次のAとBのうち、どちらのほうが結果として仕事がスピードアップし、バリューを最大化できるでしょうか?
- A 迷っていることはいっさい表に出さず、自分の直感だけを信じて突き進む
- B 迷っていることを部下に開示し、適切な問いを使って、部下からアイデアや知恵を引き出す
現実的には、多くの上司がAを選択するでしょう。
そのほうがスピードが速そうですし、本音では心のなかを吐露したくても、プライドや肩書きが邪魔をして我慢してしまうのです。「上に立つ者は、孤独と闘わなければならない」という思い込みもあるはずです。
でも、私はBを選択することをおすすめします。
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