人生は、1つの「舞台」:「働く意味」がわからない君へ(1/2 ページ)
たとえあなたの上司があなたを評価していなくても、自分のことなんか誰も見ていないと思っていても、実は、あなたは見られているのです。
連載:「働く意味」がわからない君へ について
本連載は、諸富祥彦著、書籍『「働く意味」がわからない君へ ビクトール・フランクルが教えてくれる大切なこと 』(日本実業出版社)から一部抜粋・編集しています。
「希望の職業に就けていない」
「今の部署ではやる気が起きない」
「上司が評価してくれない」
「失敗するのが怖くて動けない」
本書は、このようなビジネスパーソンが抱きがちな48の悩みに、ビクトール・フランクルの言葉と彼が創始したロゴセラピーの考え方をもとに答えます。
ロゴセラピーとは、フロイトの「精神分析」、アドラーの「個人心理学」に続く3つめの潮流として位置付けられている“生きる意味”の発見を援助する心理療法です。
「あなたには、あなたにしかできない使命がある」。『夜と霧』の著者であり、人生の意味を見つめ続けたフランクルが贈る運命のメッセージです。
日々の仕事に「意味」を見い出し、「使命感」を感じて取り組むためのヒントが詰まった一冊です。
誰も私のことを見てくれていません。ときおり「どうでもいいや」と、投げやりな気持ちになってしまいます。
フランクルの多くの言葉の中でも、私が最も好きな言葉の1つを紹介します。
フットライトとスポットライトのために目をくらませられて、ステージの上の人は観客を見ることができない。観客の代わりに、そこには巨大な黒い穴がある。
彼は、彼を見つめている人たちを見ることができない。人生というステージの上に立ち、人生における役割を演じている人間は、自分がだれの前でその役割を演じているのかを、見ることができない。
(『意味への意志――ロゴセラピイの基礎と適用』)
フランクルは、人生とは、ステージの上で役を演じている舞台のようなものだと考えます。舞台の上演中は照明がついているので、役者はそれに目をくらまされて客席は真っ暗にしか見えません。観客からは見えていても、役者のほうからは客席が見えないのです。自分から見ることはできないけれども、観客はじーっと目を凝らしてこちらを見ているのです。
実は人生も同じようなものです。たとえあなたが「自分のことなんか誰も見ていない」と思っていても、実は、あなたは見られているのです。
ここでフランクルは、神のことを念頭に置いています。見えない神が、絶えずじーっとこちらに視線を注いでいる。誰も見ていないと思っても、神が常にあなたに視線を注いできていると言っているのです。
たとえあなたの上司は評価していなくても、神はあなたのことを見ています。このことを、私たちはつい忘れてしまうのではないでしょうか。
神なんていない、と思う人もいることでしょう。そんな人でも、自分はステージの上で人生を演じているとイメージしてみてください。そうすれば、一見誰も見ていないようでいても、実は多くの人が自分に視線を注いでいるという感覚を感じることができるのではないでしょうか。
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