『かもめのジョナサン』――働くことの意義を見直す:藤沢烈の3秒で読めるブックレビュー
1羽のかもめジョナサンが、生きることの意味を探究する物語『かもめのジョナサン』。働くことの意義を気付かせてくれる。
「重要なのは食べることよりも、飛ぶことだ」――。1羽のかもめジョナサンが、生きることの意味を探究する物語が『かもめのジョナサン』。米国の小説家リチャード・バックが1970年に発表し、ヒッピー達の口コミから広がり、全米で1500万部のベストセラーになった。
ジョナサンの生き様
3部構成、100ページほどのストーリーに、人生とは何かを考えさせられる。
所属中のかもめ集団からジョナサンが離脱する第1部から話は始まる。ただ食べるだけの生活に嫌気がさして、どこまで速く飛べるかの限界に挑戦したくなるのだ。第2部では、自分より速い師匠達について飛行訓練を続ける。そして、隠れた力に気づいた瞬間、ジョナサンは1つ上のレベルに達する。第3部では自分を追放した仲間たちのもとに戻る。次の世代である若きかもめに、自分の気づきを伝えるために。
働くことの意義とは何か
ジョナサンを読んで会社を辞めた人も多いそうだが、それは慌て者だろう。自分にとっての「コミュニティ」とは、家族であり地元であり日本である。そうした原点を離脱し超えるためにこそ、会社で働いているのだと考えたい。そこで仕事の師匠たちから教えを受け、次第に力をつけ、やがてジョナサン同様に原点へと戻る。そこでの次世代とは、自分の子供であり地元の若者達だ。マネーを稼ぐのでも自己成長でもなく、次へバトンタッチすることこそ働くことの意義だと、ジョナサンは気づかせてくれる。
著者紹介 藤沢烈(ふじさわ・れつ)
RCF代表取締役。一橋大学卒業後、バー経営、マッキンゼーを経て独立。「100年続く事業を創る」をテーマに講演・コンサルティング活動に従事。創業前の若者に1億円投資するスキームを企画運営し、話題を呼ぶ。「雇われ経営参謀」として500人以上の経営・企業相談を受けてきた。ブログに毎日書評を掲載し、現在1000冊超。
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「エゴは罪悪ではない」「200年先を見据えて考える」――思案しながら藤沢さんが選びだす言葉は非常にユニークだ。その彼が企画したのは“起業経験がない若い人に、1億円出資します”という一大プロジェクト。彼の思いは、そこに至るまでの人生とは……?
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