「e-Japan」が巨大な市場を生む──富士通

富士通の高島章専務は,「富士通ソリューションフォーラム2001」の基調講演でe-Japan計画が市場に与えるインパクトについて語った。

【国内記事】 2001年7月11日更新

 富士通のプライベートショウ「富士通ソリューションフォーラム2001」の初日,基調講演のトリを務めた同社の高島章専務は,「e-Japan」が実現する社会と富士通の取り組みについて語った。高島氏によると,「e-Japan重点計画」の発表以来,政府や自治体のプライオリティが変わってきたという。これまで,ほかの自治体の動向ばかり気にかけていた官公庁が,技術力のある民間企業に目を向けはじめた。それは,富士通のような企業にとって大きなビジネスチャンスだという。

 2001年3月に提出されたe-Japan重点計画は,1月の「e-Japan戦略」(5年以内に世界最先端のIT国家になることを目指した)から一歩踏み込み,具体的に政府が実施すべき施策を示している。その骨子は,大きく分けて以下の5点。

  1. 世界最高水準の高度情報通信ネットワークの形成(2005年までに3000万世帯に高速ネットワークを提供)
  2. 教育および学習の振興ならびに人材の育成
  3. 電子商取引等の促進
  4. 行政の情報化および公共分野における情報通信技術の活用の促進(電子政府の実現)
  5. 通信ネットワークの安全性および信頼性の確保

 さらに,6月末に提出された「e-Japan2002プログラム」では,約220の推進項目において,期限と責任省庁を明確化した点が大きい。例えば,学校のインターネット接続を高速化=文部科学省および総務省,離職者などを対象としたIT職業能力開発=厚生労働省などだ。高島氏は,IT基本法(高度情報通信ネットワーク社会形成基本法)により,「内閣が変わったとしても,プログラム自体には変更がない」ことも重要な点だという。これにより,政府や自治体のプライオリティに変化が現れたからだ。「ITそのものが,各機関でメインストリームの仕事になった。政府や自治体の関心は,(従来の)ほかの自治体のやっていることではなく,民間企業のほうに向いている」(高島氏)。

 中でも,2003年までに実現される電子政府は,富士通にとって最も重要なターゲットだ。電子政府は,生活者が家にいながらオンラインで種々の行政手続きを行えるようにするもので,その適応範囲は公共料金の支払から選挙投票,電子ヒアリングと多岐に渡る。「in G」(政府内IT投資)と「G2B」(政府─企業間取引)で2兆円規模の市場が形成される見込みだが,高島氏は,電子行政が最終的に一般家庭まで繋がっている点もポイントだと指摘(画像参照)。この部分を含めると,市場規模は2〜3倍の5〜6兆円に拡大するという。また,公共事業の入札などもすべて電子化されるため,ゼネコンなどの企業もIT投資を進めなければならない状況におかれている。この市場で主導権を握った企業は,将来の成長を約束されたようなものだ。

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 富士通では,複数の行政サービスに1枚のICカードで対応するソリューションを提案し,既に全国20の自治体でモデルを構築している。「巨大な,そして目に見える市場が出現したということだ。そして,この市場のメインプレーヤーは,民間産業界になる」(高島氏)。

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関連リンク
▼ 富士通ソリューションフォーラム 2001
▼ e-Japan重点計画概要
▼ e-Japan2002プログラム

[芹澤隆徳,ITmedia]

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