News | 2001年7月11日 11:50 PM 更新 |
7月11日に開催された「富士通ソリューションフォーラム2001」の基調講演で,秋草直之社長が「“Everything on the Internet”の新しいステージへ」と題してスピーチを行い,ブロードバンド時代における富士通の事業戦略を紹介した。
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秋草社長 |
冒頭で「これまでのインターネットを河川に例えるなら,ブロードバンドインターネットは,大海のようなもの。今,まさにネットワークの“大航海時代”に突入した」と語った秋草社長は,インターネットの利用方法として携帯電話やADSL,CATVなどが急伸しているデータを示し,新しいインフラでのインターネット利用者の急増を指摘した。「日本のインターネット人口はすごい勢いで増えている。メールアドレスを持っていないと,コミュニティに参加できないといった状況まで出てきている」(同社長)。
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新しいインフラでのインターネット利用者が急増している |
富士通は他社に先駆けて1999年に“Everything on the Internet”を提唱し,全事業領域をインターネットビジネスに集中してきた。「今となってはインターネットが当たり前だが,ちょうど2年前の今ごろ“Everything on the Internet”を掲げた時は,なぜ富士通がインターネットなのかと不思議がられた」と秋草社長は当時を振り返る。
ブロードバンドの世界では,大容量の光ネットワークやハイエンドのサーバ技術,最先端のデバイス技術,高度なセキュリティ技術や運用ノウハウなどが必要となってくる。「IT全体にわたる事業領域を持つ富士通ならではの強みを活かして,“高性能・高信頼プロダクト”“高付加価値サービス”に注力し,企業や社会の強固で効率的なインフラを支える企業として,ブロードバンド時代に貢献していく」。
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ブロードバンドを支える技術 |
同社は,「テクノロジー」「プラットフォーム」「サービス」という3つのコア事業分野商品の高付加価値化に取り組んできたが,ブロードバンドという新しいステージでは「有機体経営」を推進。「有機体経営とは,独立した各組織がシームレスな連携を実現し,全体として最大の力を引き出そうというもの。これによって,当社の持つ多様な技術のコラボレーションと融合を進め,IT全体を見渡せる広い事業領域を持つ当社の強みを発揮していく」。
また,次世代のインターネットにおける共通基盤技術であるXMLに対する取り組みを,全社共通のプロジェクト「プロジェクトA-XML」として強化,短期集中的にリソースを投入している。「ブロードバンドにおける基盤技術として,XMLが最も重要と考えている。全社で横断的なXMLへの取り組みを実施している」と語る秋草社長。社内のXML専門家160人を同プロジェクトに集結させ,プロフェッショナルの育成,エキスパート4000人のXML資格取得推進,4万5000人のSEへのXML教育の実施などを行っている。
グローバル展開については,米国のDMRや欧州のICLといった子会社をFUJITSUブランドに統一していく方針。「これにより全世界で6万人の専門家集団が“FUJITSU”ブランドのもとで世界58カ国をサポートする。グローバルな事業展開を行っているユーザーに対して,ワンストップソリューションと各国のニーズに合った細かなサービスを提供していく」。
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“FUJITSU”ブランドのもとで世界58カ国をサポートし,グローバルな事業展開を目指す |
富士通は,社内のIT化にいち早く取り組んだ企業として有名だ。「私の机の上には,紙の書類が無い。サラリーマンの最後の砦であった給与袋も,とうとう廃止した。稟議書も100%電子化されており,社内メールが毎日300万通も飛び交っている」という。このような企業体質が,ブロードバンド時代にどう生かせるか。
秋草社長は「ブロードバンドインターネット時代に,企業や社会の中核となる情報通信システムを担える企業を目指したい」と締めくくって,講演を終えた。
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