ブロードバンドコンテンツに立ちはだかる“厳しすぎる規制”

NetLiferium 2001会場でのパネルディスカッションでは,ブロードバンドコンテンツを制作・流通する上で鍵となる“著作権”の問題について,ホットな議論が交わされた。

【国内記事】 2001年12月17日更新

 「ブロードバンドコンテンツの可能性」と題したパネルディスカッションが12月16日,「NetLiferium 2001」会場で開催された。内容は多岐にわたったが,中でもパネラー達がヒートアップしたのが,“コンテンツの著作権”に関する話題だ。


左から慶応大学教授の村井純氏,Jストリーム社長の白石清氏,インプレス社長の塚本慶一郎氏,デジタルハリウッド社長の杉山知之氏

 この話題に火をつけたのは,ブロードバンドコンテンツの配信を手がけるJストリームの白石氏の発言。同氏は「一番困っているのはライブ中継などの時。たまたまBGMが流れると,それがもう著作権侵害になってしまう」と,不満を述べた。

 コンサートのライブ中継などでは,興が乗ったアーティストが,ほかの歌手の楽曲を歌うケースもある。「その場では許されるかもしれない。だが,これをインターネットで公開するとなると,著作権の問題が生じてくる」(同)。現行制度下で“著作権を遵守”しながらコンテンツを配信することは,ことほどさように難しい。

 話を引き継いだのは,慶大の村井氏。「この問題はたいへん奥が深い」と述べた上で「私が大学で授業をしていて,ネット上に生徒のレポートを掲載させる時は,どういう用途なら他人が使用してよいか,明記させるようにしている」と自らの対処法を紹介した。

 複製利用の容易なネット上では,著作権を遵守する側(利用側)だけでなく,著作権を保有する側(許諾側)も,明確な著作権意識を持つことが求められる。仮にも自分に著作権があるコンテンツ(=大学のレポート)であれば,その権利をじゅうぶん意識し,前もって主張しておく必要があるというわけだ。

 次に発言を求められた塚本氏は,苦笑しながら「やっぱりちょっと,厳しすぎるんじゃないですかねえ」とコメント。今の著作権はインターネットがない時代の規制が多いため,現状にそぐわなくなっていると指摘した。

 同氏もまた,問題があまりに複雑で,知らない間に侵害してしまうケースがあることに触れ,「そもそも,こうしたことに関するオフィシャルな(取り決めの)データがどこにも公開されていない」ことを問題視した。おかげで,どうすれば違反せずにすむか,いまひとつ不明確になっているのだという。

 現在,およそコンテンツと名のつくものには,そのほとんどに著作権が発生している。たとえば,音楽や絵画などは,原則として著作権者の死後50年まで著作権が保護される。法人所有の場合は,その作品の公表後50年だ(「戦時加算」などの特例もあるので注意が必要)。

 だから,自由に使用できるものは相当古い映画やクラシック音楽などに限られる。著作権保護対象のものを利用しようと思えば,著作権を保有する側などの了承を得なければならない。

 しかし実際には著作権を保有する団体の連絡先が分からず,うまくいかないことも多い。村井氏の話すように,予め使用条件を明示していれば別だが,そうしたケースはまだ少ない。

 結局,この日の議論は,ディスカッションのコーディネーター,朝日新聞デジタル編集部の服部桂氏が「これは別に機会を設けて話し合わなければならないような深いテーマですね」と引き取って,明確な結論のないまま終わった。服部氏を含め,集まったパネラー達はインターネット分野の先駆者であり,また,論客としても知られる人たちばかり。それでもなお,明快な問題解決策を提示できない――このあたりに,ネット時代の著作権問題の難しさが,図らずも浮き彫りにされていたようだ。

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[杉浦正武,ITmedia]

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