ネットワークの可能性としてのIPv6――Net.Liferium200115,16日にパシフィコ横浜で開催された「Net.Liferium 2001」。会場ではIPv6関連のデモンストレーションが多数展開された。
ブロードバンドでのライフスタイルをテーマにした展示会「Net.Liferium 2001」(主催・キースリーメディア・イベント)がパシフィコ横浜で12月15,16日開催された。同イベントではIPv6に関連したデモンストレーションが多数行われ,来場者の注目を集めた。その中から目に付いたものをいくつか紹介しよう。
IPv6対応のIP電話VoIPの技術開発を手がけるソフトフロントのブースでは,IPv6対応のIP電話を展示。ヤマハのVoIPゲートウェイを利用して一般電話網との互換性を持たせていた。実際に札幌や大阪との通話をデモしていた。
写真の端末は試作品。会場にはPC上で動作するVoIPソフトウェアも展示されていた プロトコルにはSIPを採用しており,Windows XPなどで利用できる。現在は技術の商用化を進めている段階で,「端末メーカーと協力して,中身にうちの技術を載せて発売してもいいし,PC用アプリケーションとして販売してもいい」(ソフトフロント)。機能のカスタマイズが可能なため,価格設定はある程度融通が利くという。 IP電話は電話番号の代わりに固定のIPアドレスを利用するサービス。アドレスが枯渇すると“電話番号(IPアドレス)の空きがない”ということになってしまう。それだけに,IPアドレスをほぼ無限に提供できるIPv6への対応は,普及上の鍵になってくるだろう。
IPv6対応の無線ルータ無線製品の開発などを手がけるルートは,IPv6対応の無線ルータ「RGW2400/ID」を展示していた。来年の3月から4月ごろ発売する予定という。ソフトウェアのバージョンアップでIPv6に対応できるため,価格は従来の製品とほぼ変わらない。
外見上は既存のRGW2400/IDと同じ。デモでは隣にPCが用意され,ネットワーク接続を証明していた 同社は関西電力系通信事業者であるケイ・オプティコムの3Mbpsの無線インターネットサービス「eoメガエア」(7月18日の記事参照)向けに製品を出荷している。展示された製品も,サービスプロバイダから提供されるラストワンマイルの無線を受信するためのもの。 無線LANを実現させるIPv6対応ルータは既に存在するが,屋外からの無線を受信できるルータでIPv6に対応した点が新しい。「これに5GHz帯の無線ルータ機能を追加するなどして,家庭内ネットワークでの無線レジデンシャルゲートウェイとして利用することもできる」(ルート)という。
IPv6上でのIPsecのデモ会場ではIPv6の関連技術や応用分野などを解説する展示も多く見られた。情報技術に関する調査,研究,コンサルティングなどを行うインテック・ウェブ・アンド・ゲノム・インフォマティクスのブースでは,IPv6上で動作する暗号化技術:IPsecを紹介。PCから情報を発信する横で盗聴を行い,機能を検証していた。
適当な情報を発信する。電話番号など個人情報が含まれているが……
特に暗号化しない場合。ハッカーが操るPC画面に「Yamada+Taro」「11111」「03-9999-9999」などの入力データが盗聴されてしまっているのが分かる
暗号化した情報を送信した場合。ハッカーのPC画面では,暗号化された数字列が並んでいる もちろん現状のサービスでも暗号化は行われているが,それはオプションとしての機能。IPv6ではIPsecが標準で搭載されているため,安全に通信を行うことが可能になる。同社はこのIPsecをより簡単に利用する技術について研究を進めているという。
本格的な普及は2003年以降?IPv6を実際に利用する場合は,ユーザーのPC・端末とネットワークの両方がIPv6に対応している必要がある。現在,PCではWindows XPがIPv6に対応。ネットワークに関しては複数の通信事業者が試験的にIPv6対応ネットワークサービスを開始している。 ただし,本格的な普及には,ブロードバンドに常時接続するユーザーが増えるなど社会インフラの整備を待たねばならない。あるハードウェアベンダーは,「IPv6対応のコンシューマ向けデバイス(家電など)が市場に投入されるのは,だいたい2003年から2005年ぐらいではないか」と話していた。
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