LifeStyle：攻勢に出る有線ブロード，法人向けパッケージとIP電話サービスを発表

攻勢に出る有線ブロード，法人向けパッケージとIP電話サービスを発表

【国内記事】 2002年2月5日更新

　実際，新規に配線の必要がある光ファイバーを個人宅に導入するには，コストや認知度の問題など，まだまだクリアすべき課題は多い。次代の主力と注目されているとはいえ，ADSLの利用者数推移グラフに比べると，FTTHのソレはまだほとんど寝たまま。当面の需要と利益を確保する上で，法人ユーザーに対する付加価値サービスは欠かせない。

　同社では，2002年3月末までに都内20区にサービスエリアを設け，他地域を含めたカバー世帯数は約104万（昨年末時点では約64万），サービスに対応できる事業所の数を約27万（同じく約8万7000）にまで拡大するとしている。事業所に対する展開ペースが速いのも，戦略上法人ユーザーの比重が増していることの表れだ。また，今回からは，販売パートナーとして大塚商会，内田洋行，ホーチキといった有力SIもそろえた。

　さらに有線ブロードは，大規模企業向けにギガビットクラスの帯域幅を持つ「GIGA GATE」（仮称）を4月をメドに提供するとしている。従来の「Office 100」をあわせ，速度とアプリケーションによるラインアップが完成する。

個人ユーザー向けロードマップ

　もっとも，同社にサービス全体を法人市場へシフトする意図はない。個人ユーザーに対しては，実用性と分かりやすいインタフェースを備えたアプリケーションで訴求する構えだ。

　同日発表された「GATE CALL」は，メディアのIP電話サービスを利用したもの。VoIPゲートウェイを使って一般的な電話機を接続するタイプで，形としてはYahoo! BBの「BB Phone」に近い。異なるのは，着信もVoIPで行うため，「03-44……」という10桁の専用電話番号がふられること。また，ゲートウェイ本体に4ポートのハブ機能が付いているため，これだけで小規模なLANを構築することが可能だ。

デモンストレーションでは，有線ブロードの北海道営業所と通話

　もちろん，有線ブロードのFTTHユーザー同士であれば通話料は無料。一般固定電話との通話は距離によって異なるが，市内であれば4円／2分となる。また，携帯電話との通話も可能にする予定で，「各キャリアとの交渉は最終段階に入っている」（同社）という。ただし，110番などの緊急電話はサポートされていないため，今のところ固定電話を完全にリプレースすることはできない。

　GATE CALLは，3月6日より東京23区でサービスを開始し，6月には東京都全域と千葉，神奈川のFTTHサービスエリアに展開する計画だ。初期費用は1万8000円（IP電話端末1台，事務手数料含む）。月額基本料として，個人ユーザーは500円／1電話番号，法人ユーザーは700円／1電話番号が必要になる。

STB投入と動画配信の高画質化

　もう1つの目玉が，STB（セットトップボックス）によるVoDサービスだ。動画再生はクライアントPCの性能にも左右されるが，専用デコーダを内蔵したSTBなら「安定した環境で視聴できるのがメリット」（同社）。これにより，現在は2Mbpsの動画配信サービスを4Mbpsまで高画質化することが可能になる。また，大画面の家庭用テレビで視聴できること，そしてPCの扱いに慣れない人でもリモコンを使って操作できる簡便さもウリだ。

STBのデモ機。中央のスロットはファームウェアアップデートなどに利用する

　STB本体は海外で販売実績のあるものを採用し，S端子出力やコンポジット出力，コンポーネント出力を持つものなど，いくつかのバリエーションが検討されている。また，本体背面にはUSB端子も備え，製品版にはメーラやWebブラウザを使用するためのキーボードが同梱される。

　有線ブロードでは，3月にSTBの実証実験を開始する計画で，6月頃の実用化を目指しているという。価格は未定だが，「少なくとも，ゲーム機よりは安く設定する」（同社）。

　このほか，有線ブロードは，回線の新規敷設が困難な集合住宅住宅に向け，VDSLやFWAを使ったサービスも予定している。スピードは10Mbpsクラスの「ミドルバンド」（同社）になるが，工事を簡略化できるため，管理組合や大家の同意を得やすくなる。こちらは，3月から実験を行う予定だ。

　サービスのバリエーションを増やし，それぞれのユーザーセグメントに対して全方位的な展開を進める有線ブロード。発想としてはいずれも目新しいものではないが，市場全体がサービスの高付加価値化を模索する中，アプリケーションの豊富さで他社を引き離しにかかる。

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[芹澤隆徳，ITmedia]

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